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77話 側近との戦い その1


「グルルルルル……」

「どしたの? ケルベロス」


 誰も居ない閑散としたアルトクリファ神聖国の首都、メルカール……街の中央に位置する荘厳な大聖堂は本来であれば何百人という人々が訪れている。最高権力者の大神官の座する場所であると同時に、観光地としても有名な場所なのである。


 大聖堂の中には現在、黒の狼ケルベロスとヘカーテの姿があった。敵の存在を検知する能力はケルベロスが優れているのか、ヘカーテはケルベロスの唸りの意味がわかっていない。


「え、侵入者? ここの住人はみんな大聖堂の地下に異次元空間で押し込めたけど……外部からの敵かな?」


 ヘカーテはケルベロスと言葉が交わせるようで、侵入者の存在に気付く。そして、奥からはアテナとフェンリルが現れた。


「おら、ヘカーテ。鉄巨人もサイクロプスも倒されたらしいぞ」

「え~? なら、かなり強いんじゃ? ケルベロスもこっちに向かって来てるって言ってるし……」

「だな。よっしゃ、私達で出撃するとするか。久しぶりの本格的なバトルだぜ!」

「やった、やった~~~!」


 戦いの喜びに胸を震わせるアテナとヘカーテの二人。獣耳と尻尾を有する少女二人は、その愛くるしい姿からは想像できない目つきと表情になっていた。まるで化け猫のようだ。


 大聖堂に造られている巨大なフィアゼスの像に向けて一礼をした後、彼女たちはケルベロスとフェンリルの2体を連れて、大聖堂を後にした。



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「あの二人が……アテナとヘカーテ……?」

「見た目に惑わされない方がいいわよ。狼2匹も強いけど、あの二人は次元が違うわ」


 大聖堂の目前まで春人とアメリアは進撃していた。アテナとヘカーテ、ケルベロス、フェンリルとは、大聖堂の前の広場で相対したことになる。


「おいおい、サキアが起動してねぇか?」

「わわっ! ホントだ!」


 影状態で春人の足下に待機していたサキアではあるが、彼女にアテナ達の記憶はない。しかし、こうして名前を呼ばれると懐かしい感じを受けてしまう。


「……久しぶり、と言えばいいのでしょうか?」

「なんだよ、他人行儀だな。まあ、お前は動いてなかったししょうがねぇけど」

「サキアちゃん、かわいい~~~! こんなに可愛かったんだ!」


 人間形態に戻ったサキア。アテナとヘカーテの反応は仲間に対する反応と同じであり、決して悪い印象ではなかった。


「いえ、あなた方のほうが可愛いと思いますが……」



 即、戦闘が開始されることも予想しており、アメリアも準備をしていたが、すこし拍子抜けをした気分だ。サキアとアテナたちの会話はそれ程に日常的であった。


「外見の話はいいから。あんたら、神聖国の人達をどうしたのよ? 何万人もいたはずだけど……食べたわけでもないんでしょ?」


 明るい雰囲気を一掃する意味合いもあるアメリアからの方向転換。アテナ達の表情も変化した。


「大聖堂の地下に閉じ込めてあるぜ。心配すんな、まだ生きている」

「はっ?」


 大聖堂の地下に全ての人間を入れることなどできるわけがない……。アメリアは思わず甲高い声を上げてしまった。


「冗談言うんじゃないわよ、そんなことできるわけが……」

「異次元空間に閉じ込めてんだよ。私達の食肉用だ」

「あまり、想像したい光景じゃないな……人間を食べるわけか」


 春人はその光景を想像してしまい、思わず顔をしかめた。目の前の可愛らしい少女たちが人を食うわけだ。モンスターであるがゆえに当然と言えば当然かもしれないが、春人には慣れない光景となっていた。


「サキアはそっちの人間の影になってるのか? おいおい」

「申し訳ありませんが、既に身も心もマスターの物になっています」


 その言葉を聞いたアテナは若干引いている。


「おい……まさか、デスシャドーを慰みものにしてんのかこいつ?」

「え~~? やだ~~~! 気持ち悪い~~!」


 ヘカーテも気持ち悪い者を見るような目線となっていた。春人としても、ここまであからさまな目線は日本に居たころ以来だ。サキアに手を出したことなどない彼ではあるが、ヘカーテのそんな表情には悲しみを覚えていた。



「なんか、すごい誤解されてるよアメリア……」

「まあ、春人の趣味は置いといて。彼女としては彼氏がいいように言われるのは我慢できないわ」

「……ん?」


 春人はアメリアの会話の中でも違和感も覚えた。アメリアは自分に味方をしてくれているが、聞き慣れない単語が出てきたからだ。


「彼女? 彼氏?」

「ほら、行くわよ春人! こいつらを止めないとマジでアーカーシャも滅ぼされかねないわ!」


 勢いで言ってしまったことを後悔したのか。アメリアは真っ赤になりながら標的をアテナたちに合わせた。かなり強引な戦法ではあったが、春人も状況をくみ取り、それ以上の追及はしない。彼女と同じく構えを取る。


「ジェシカ様の所有物を私物化しやがって……殺すしかねぇな」

「うんうん、アテナちゃん! 食べちゃおう!」

「お前は喰いたいだけだろ……」


 アテナとヘカーテの二人も戦闘体勢へと入る。今宵、アルトクリファ神聖国にて過去1000年の間で最も高レベルな戦いが繰り広げられることになった。


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