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第6話

 二人は寄り添って、たまにちらちらと僕を見ている。


 「ど、どうしたらいい?」

 『どうしたらって、あなたに出来る事はないと思うけど?』

 「だよね……でも……」

 『仕方ないわね。一緒に行ってもいいけど、秘密は守る様にしてもらうのよ』

 「秘密って?」

 『私の事よ。って、あなたの魔法って事になるけどね』

 「わかった」


 僕は、今日買ったランプに明かりを灯していた。施設の建物には、明かりなどない。


 「こっち、おいで」


 二人は、パッと嬉しそうな顔をして僕の所に来た。


 赤い髪で一本に結っているのがレンカ、青い髪でショートなのがサツナ。

 彼女達は、まだ十三歳で三年前に施設に来た。どうやら元から知り合いだったらしく、ずっと二人で行動していた。


 「スラゼお兄ちゃん、これランプ? 買ったの凄いね!」


 レンカがランプを物珍しそうに見て言った。サツナも凄いガン見している。


 「うん。これから旅をするのには必要だと思ってね」

 『二人のステータスを聞いてもらっていいかしら?』


 僕は頷いた。


 「ねえ、ステータスってどうだった?」


 二人は、おずおずと用紙を見せてくれた。今回の結果を紙に書き出してくたんだ。


――――――――――――――――

 名前:レンカ

 レベル:3

 HP:15/15

 MP:0/0

 力:5

 素早さ:20

 魔力:0

――――――――――――――――


――――――――――――――――

 名前:サツナ

 レベル:4

 HP:10/10

 MP:15/15

 力:3

 素早さ:10

 魔力:20

 スキル・魔法:

  ファイヤ―ボール

――――――――――――――――


 うーん。三年間しかやってないとはいえ、僕のと差があるな。


 『どう? 魔力とかMPとか、スラゼが桁違いだって気がついた?』


 え? 僕がすごいの?

 そう言えば、僕レベル10なのに力はレンカと一緒だ。


 僕達は、冒険者だったけどモンスター退治をやっていたわけではない。採取をさせられていた。険しい場所などにも行かされた。だからほとんど戦闘はしていない。

 って、剣とかなんて数本しかないから一緒に行く仲間で一番強い奴が持って歩いていた。だから剣なんて握った事もない。


 「そうだ。装備品とか買ってないよね? お金はある?」


 二人は頷くと。お金を見せてくれた。銀貨60枚だ。どうやら1年で銀貨20枚の計算らしい。


 「これだけあれば、装備品買えるよね? 選んでもらっていい?」

 『仕方ないわね。彼女達が足を引っ張っても困るし、そうしましょう』

 「ありがとう」


 視線を二人に戻すと、不思議そうに僕を見ていた。


 「僕には、妖精さんがいるって前に話したよね?」


 そう言うと二人はこくんと頷いた。


 「僕にしか見えないけど、これ見て」


 僕は、冒険者カードを見せた。


 『妖精ミミミラスの加護』という文字を指差す。


 「これが証拠。でね、色々アドバイスくれるんだ。これ、三人だけの内緒ね」


 二人は、大きく頷いた。


 「明日、装備品を買いに行こう。ラスが見立ててくれるって」

 「うん……ありがとう」


 レンカがお礼を言うと、サツナもありがとうと呟いた。


 『めちゃくちゃオープンね。まあいいわ。悪い子じゃないし』

 「うん。いい子達だよ」


 僕達三人は、寄り添ってその日は、眠りについた。



 「おはよう」


 うん? え? 目の前にはバイガドさんがいた。って、毛布?


 「おはようございます。これ……」

 「餞別だ。あげるよ」

 「いいんですか?」


 バイガドさんは、頷いた。


 「ありがとうございます」

 「あれ? あ……」


 バイガドさんが居て驚いたようで、レンカが僕にぎゅっと抱き着いた。


 「毛布くれたんだよ。お礼言って」

 「ありがとう……」

 「君達が最後みたいだね。何と言うか、みんなあった物を持って行ったというのに……。もう空だから、俺達のお古だけどね。ここにあったのよりはいい物だよ」

 「はい。助かります」

 「うーん。何?」


 サツナも目を覚ました。


 「毛布もらったの。お礼言ってだって」

 「……ありがとう」


 バイガドさんが頷いた。


 「で、君達は三人で行くのかい?」


 僕達三人は、そうですと揃って頷いた。


 「その方がいいね。十五歳未満の冒険者は、宿にも安く泊まれるよ。まだ慣れてないし、お金があるうちは安い宿でいいから泊まった方がいい」

 「はい。そうします」

 「でだ。この建物は今日、取り壊すことになった」

 「え!」

 「三人しかいなくなったからね。壊して処理が終われば、俺達も帰る。なので、冒険者協会で何か配達の仕事でも請け負って行くといい」


 配達かぁ。そんなのもあるんだ。


 「わかりました。冒険者協会に寄ってから行き先決めます。色々ありがとうございます」

 「すまないね。追い出す様で。では、元気で頑張って」


 僕達は頷くと、手を振って去って行った。

 まったりして居られないって事か。



 僕達は、ここでの最後の朝ごはんを食べ、まずは二人の装備品を買う為に防具屋に向かった。

 戦闘をした事がない僕達は、採取専門冒険者を目指す事になった。

 なので、守備を固める事にする。


 頑丈で軽い冒険に適した服を買い、靴も軽い物を選び、二人もベルトを買った。その上に二人は、防水付きの外套を羽織る。


 レンカとサツナは、新しい服装に嬉しそうにしている。新品なんて、施設に来て初めてだろう。


 武器屋では、レンカは弓をサツナは杖を買った。

 レンカの弓は、弓と言っても腕に装着するボーガンだ。

 サツナの杖は、僕のと違って高級な杖。回復の杖といって、微力ながら回復機能がついている。なので、魔力さえあれば、回復魔法が使えちゃう杖だ。


 武器だけを見ると僕より凄いんだけど……。


 買い物が終わり、冒険者協会へと行った。だいぶ落ち着いた様だ。


 「あの……僕達、ここを立つのですが、配達の仕事ってあるんですか?」

 「ある事はあるが……重いぞ?」

 「え? 重いんですか?」

 「普通は、アイテムボックス持ちに依頼する仕事だからな」

 「アイテムボックス?」

 『受けてもいいわよ。今、あなたが持てるなら』

 「え?」

 「アイテムボックスも知らないなら……」

 「荷物持たせて下さい!」

 「やめておけ……違うの紹介してやるから」

 『まあ、そうなるわね』

 「そうですか。ではお願いします」


 しばらくすると、大量の紙を持って来た。


 「これはチラシと言って、宣伝とかするものなんだが、この領土で来年初め領主祝賀会をする予定なんだ。領主が変わったらするものなんだけど、違う土地に行くんだろう? 宿屋にこれを置いて来てほしいんだ。頼めるか?」

 「はい!」

 「じゃ、これ代金な」

 「え? 先に貰えるんですか?」


 「うーん。正確には冒険者協会の仕事ではないからな。実はまだ、領主は決まってないから依頼も来てない。でも祝賀会の日にちは決まってるんだ。領主が変わるのも決まってるだろう? まあ、そういうわけだ。ほら三人分」


 銀貨3枚もあった。

 で、紙って重たいんだね。小さいけどリアカーを貸してくれた。しかも来年の祝賀会まで貸してくれるっていうんだ。

 僕達は、それに沢山の紙を乗せて貰った毛布なども乗せた。

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