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妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります  作者: すみ 小桜
動き始めた運命の歯車

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第31話

 森の奥まで僕達は、昔話に花を咲かせていた。施設に思い出なんてないと思っていたけど、ちょっとした事が、今は懐かしい。

 森に入って二時間、目的地に到着。


 「ここら辺からDか? そうだ、これが採取するもの」

 「うん。ラスお願い」


 僕は、小声でラスに言う。


 『……これは、やめた方がいいわ』

 「え? そんなに危険なの?」


 僕は、鞄から錬金術の本を出し探した。毒でもあるのだろうか?


 「へえ。さすが未来の錬金術師様。そんなの持って歩いているんだ」

 「え? うん。実は調合って今回初めてだったんだ。物づくりみたいのは得意なんだけど」

 「そういえばお前、そういう事得意だったな。器用だよな」


 なんかアーズラッドに褒められて嬉しい。


 あった。ドームマバナ……通称呼び鈴花(アトラクト)。この名の方が冒険者の間では通っている。この花の蜜は、魔物を引き寄せる。採取する時と調合する時は、モンスターに気を付ける事――。


 「え……」

 「どうした?」


 これをツエルさんが? なんで?

 さっきのアーズラッドの話からすると、僕達が戦えない事はわかっているはず。こんな危険な依頼を? それともドームバナがアトラクトだと知らずに受けたのかな?


 『戻りましょう』

 「うん……。あ、あのさ、これに載ってない……あ!」


 本を閉じて、アーズラッドに本に載ってないから無理と言おうとしたら、アーズラッドに本を奪われた!


 「アトラクト……」

 「きっと、知らなかったんだよ」


 ぱたんと本を閉じて、無言でアーズラッドは本を返して来た。


 「俺って、人を見る目ないのかな……」

 「だから……」

 「そんなわけあるか! 知らない物を俺に?」

 「じゃ聞くけど、なんの為に危険な事をさせるの?」


 そうすると、僕をジッと見つめて来た。もしかして僕が原因なの?


 「見限られたのかもな。きっと、呆れられたんだ」


 そう言うと、アーズラッドは空を仰いだ。

 それにしたって、わざわざこんな事をしないだろう。


 「どうするの?」

 「無理でしたって言うよ。そうしたらきっと、クラウンを追い出される」

 「え? 追い出す為にこんな事を?」

 「それ以外何があるって言うんだ……」

 『それ以外があるかも知れないわね……』

 「え? どういう意味?」

 「どういうって……」

 「あ、ごめん。アーズラッドに言ったんじゃないんだ」

 「は?」

 『やばいわね。いつの間にか囲まれたわ』

 「囲まれた? 何に?」

 「どうした?」

 『モンスターによ』

 「なんで? 僕達、アトラクト持ってないよ?」

 「お前、誰と話してるんだ?」

 「え? えーと……」

 『説明は後にして、とりあえず逃げましょう』

 「逃げる? 囲まれているのに?」

 『上に逃げるわよ。アーズラッドを掴んで、フライと叫んで』


 え? アーズラッドを掴むのはわかるけど、なぜ僕が言うの?


 『いいから早く!』

 「フライ!」

 「え!? うわぁ」


 僕はアーズラッドの腕を掴んで叫んだ。

 ダダダと周りから聞こえ、驚いた! サイサイだった。


 「なんでここに?」

 『一旦、森の外まで飛ぶわ』

 「うん」

 「お、お前、なんで飛べるの?」


 震える声でアーズラッドが言った。


 「後で話すよ。一旦宿に戻ろう」

 「………」


 アーズラッドは、頷いた。


 森の入り口に降ろしてもらったけど、二人してその場に座り込んだ。


 『大丈夫?』

 「なんとか……」

 『だったら走って! ここも人気がないから危険よ』

 「え?」


 それって僕達、命が狙われているって事? やっぱりあのサイサイは、偶然じゃないんって事だよね?


 僕は立ち上がって、アーズラッドの手を引っ張った。


 「宿まで走って」

 「え? ちょっと待って。何が起きたんだ?」

 「わかんないよ。でも走って!」


 アーズラッドも頷いて立ち上がり、二人で街まで走って逃げたのだった。

 もしサイサイが仕向けられたんだとしたら犯人はツエルさんなの? 一体なんでこんな事を。そして、どうやってサイサイを集めたんだろう?

 あ、アトラクトか。それがわかっても動機がわからなかった。



 「おかえり……」

 「あ……」


 部屋に戻ると、レンカとサツナがアーズラッドを見て驚いている。


 「はぁ。はぁ。疲れた」

 「お、おじゃまする……」


 二人は顔を見合わせていた。


 「錬金術師になれたの?」


 レンカが聞いて来た。


 「いや……」

 「え!? ダメだったの?」

 「まだ行ってないんだ。ちょっとだけ待って」


 僕は息を整える。

 そうだった。錬金術師協会にも行かなくちゃいけないんだった。


 ベチ。

 僕の頭に紅葉が着地した。

 何だろう。落ち着く。


 『おかえりなちゃい。だれ?』

 「ただいま、紅葉。お友達だよ」

 「何お前、ペット飼ってるのか?」

 「ペットじゃないもん。お友達だもん」


 紅葉を抱っこしてサツナが言った。


 「……そう」

 『少しは落ち着いた?』

 「あ、うん。ラス、一体何が起こったの?」

 「ラス? うん? 誰と話している?」


 怪訝そうな顔つきで、アーズラッドが聞いた。


 「妖精だよ」

 「はあ? 妖精? え? あの見えるとか言っていた妖精か?」


 僕は頷いた。


 「加護持ちって、妖精が見えるのか! 本当だったのか!」

 「うーん。それはわかんないけど……。それより今の状況だよ」

 『ツエルともう一人につけられていたわ』

 「え!? ちょっと待って。なんで何も言わなかったの?」

 『あんな事をしてくると思わなかったからよ!』


 どういう事。二人って? もう一人は誰?


 『錬金術師は諦めましょう。ううん。違う街で申請しなおせばいいわ』

 「それはいいけど、アーズラッドはどうすればいいの?」

 「え? 俺? どんな話をしているんだ?」

 「えっと……」

 『正直に言って判断は本人に任せましょう』


 やっぱりそうなるのか。言いづらいな。


 「ラスの話だと、僕達ツエルさん達につけられていたみたい」

 「ツエルさん達? 複数なのか?」

 「二人だって言っている」

 「二人って……。なあ、俺達殺されかけたって事でいいのか?」

 「それは……」

 『モンスターを倒せないと知っていて襲わせたのだからそうでしょうね』


 やっぱりそうなるのよね。


 「でもなんで?」

 『わからないけど。ただアーズラッドが邪魔になったって事かもしれない。何か聞いたり見たりしたんじゃないかしら?』


 それにしたって、なぜ僕まで巻き込んで?

 もしそうだとしたらシャドウもまた危ないクラウンだったって事になるけど。そんなクラウンが、アーズラッドをなぜ仲間にしたんだろう? 特段、何かをさせられていたわけでもお金を取られていたわけでもない。


 アーズラッドを見ると、俯いて項垂れている。

 きっとツエルさんを信頼していたんだ。ううん。彼の様になりたいと思っていたのかも。憧れの人。


 「ねえアーズラッド。何とかシャドウを抜けて、こっちのクラウンに入りなよ。離れようここを」

 「いいのか? 俺、狙われているんだろう? 抜けさせてくれたとして追いかけてくるかもよ?」

 「何か命を狙われる心当たりあるの?」


 アーズラッドは首を横に振った。


 「あるわけない! 俺の命を助けたくれた人だ。そ、それなのに、なぜ命を狙うって言うんだ!」


 アーズラッドは、瞳に涙を溜めて叫んだ。

 そうだよね。助けて仲間に引き込んだのに。なぜ……。本当にツエルさんがやった事なの? もしかしたらもう一人の単独行動かもしれない!


 「ねえ、ラス。ツエルさんともう一人って一緒に行動していたの?」

 『いいえ。でも森の外から二人共ついてきていたわ。森に入って感知をモンスターにも掛けていたから範囲が狭まって、ツエルしかわからなかったけど、囲まれた時には、二人一緒だった』

 「ねえ。雰囲気とかまでラスはわかるの?」

 『感知っているかどうか調べるものよ。言いたい事はわかるわ。ツエルを追っていたのかもって事よね? でもあのモンスターをけしかけたのはツエルだと思うわ』

 「え? なんでそう思うの?」

 『ごめん、黙ってた。彼は、召喚師よ』


 信じられない言葉がラスの口から出て来たのだった!

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