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第3話

 「なあ、さっきから何、ブツブツ言ってるんだ?」

 「え? あぁ、あのね……」

 『私の事は言ってはダメよ』


 え? 言っちゃいけないの?


 「こ、これからどうしようかなって……」

 「だよな。自由になったって、生活が楽になるわけじゃないもんな。まあ稼ぐしかないわけだし。防具とか武器とか買いに行かないか? 本読むの飽きただろう?」

 「飽きたというか、よくわかんないかな……」

 「じゃ行こうぜ」

 「うん……」


 僕は、アーズラッドと二人でまず、武器屋に行った。


 手持ちは金貨一枚。これが五年分の報酬。

 ハッキリ言って、実は銅貨しか見たことがなかったから、どれくらいの値打ちがあるかわからないんだよな。あ、そうだ!


 「ねえ、ラス。お金の事を教えて」

 『え! お金? あなたお買い物も出来ないの? 仕方ないわね』

 「う……。だって、銅貨しか見た事ないし、それで金貨一枚渡されても……」

 『それもそうだったわね。銅貨千枚で銀貨一枚。銀貨百枚で金貨一枚よ』


 うん? えっと、そうすると金貨は、銅貨十万枚分!?

 凄い価値あるお金だった!


 「なんか使うのがこわいんだけど……」

 『私が選んであげるわ。ここで買う前に防具屋も見たいわね』

 「そっか。じゃ、ここ見てから防具屋も行こう」


 って、凄いな。大きな剣からごてごての剣まであって、ナイフもある。腕輪みたいのもあるし、杖もある。あ、斧もある。

 これは、弓だ。


 「何買うか決まったか?」

 「あ~。僕、防具屋も見てから決めようかなって。防具屋行くけど、アーズラッドも一緒に行く?」

 「俺は、武器を選んでからそっちに行くよ」

 「わかった」

 「あ! 買うなら考えて買えよ」

 「うん。じゃ、また後で」


 って防具屋は、武器屋の向かい側だ。

 ここは、鎧からローブ、鞄や靴、帽子まで武器以外の身に着ける物が売っていた。


 『そうね。法衣のローブがいいかもね』

 「法衣……?」


 値段を見て驚いた。銀貨50枚もする! あっという間に半分だ。


 「あのさ、高くない?」

 『高くないわよ。法衣のローブと言うのは、自分の魔力の力を使ってシールドを展開するローブよ。そういう魔法が組み込まれたローブって事。つまり、自分の魔力が強ければ強い程、守りが高くなるって事』

 「でもな……」

 『壊れない限り一生もんよ。そう考えると安いでしょ。本来ならあなたが買える様な品物ではないわ。でも今手元に金貨があるなら買うべきよ』

 「わかった買うよ」


 どっちにしてもわからないのだから従っておいた方がいい。


 「じゃ、これを買って戻ろうか」

 『まだよ!』

 「え? まだ買うの?」

 『あのね。その靴で歩き回る気? いい? これからはもっと遠出するのよ』


 靴かぁ。確かにこの靴ボロボロなんだよね。しかもこれお古。新しいのを確かに買った方がいいかも。


 「うん。そうだね」

 『鞄もないと不便よ』

 「鞄はあるけど?」


 今、斜め掛けしているボロイ鞄はある。継ぎ接ぎだらけだけどね。


 『あるって……それまた穴開きそうじゃない。買いなさいよ!』

 「……はい」

 『あと、採取用の手袋もあった方がいいわ』

 「うん……」


 もうこの際だ。言われた物を全部買おう!


 で装着したら見違える自分になっていた……。

 フード付きの淡い空色のローブ。靴と鞄は、同じ焦げ茶色にした。ちょっとしたものをセットできるように、ローブにはベルトをつけた。ベルトの色は青。ここに、ナイフとかも装着できると言っていた。

 グローブも買った。

 後は、こまごまと言われた物を……今更ながら大丈夫だろうかと心配になってきた。


 手元に残っているのは、銀貨40枚。


 「うぉ。お前、一瞬誰かわからなかった! いくら使ったんだ? やっぱりついていくべきだったか……」


 って、僕を上から下まで見て防具屋に来たアーズラッドが言った。彼は、腰に剣を下げている。買ったんだ。


 「俺、靴と外套買うから待ってて」

 『では、私達は武器屋に行きましょう』

 「え? でも待っててって……」

 『武器屋で待ってればいいわよ』

 「そう?」


 チラッとアーズラッドを見ると、真剣に外套を選んでいる。

 まあいっか。どうせ、ラスが選ぶんだし。

 僕達は、武器屋に向かった。そして、ラスが言うコーナーへと行く。

 僕は魔法系だから杖なのかと思ったら、リングだった。


 これも武器屋にあるのだから、武器なんだろうか?


 「ねえ、リングって武器なの?」

 『そうね。正確には違うと思うけど、ここでは武器扱いみたいね』

 「そうなのか。リングってどういうものなの?」

 『そうよね。使った事がないものね。杖はわかる?』

 「え? うーん。魔法を使う時に使う物だよね?」

 『まあね。別に杖がなくても魔法を使えるのよ。でも杖があると、魔力が一定するの。たとえば、火の魔法を使った時に、火がちょろっとだったり、ゴーって出てしまったりする人は、杖を使う事で毎回、ちょうどよい火加減になるのよ』


 火加減って……。なるほどね。


 「リングは?」

 『リングは、魔法をセットしておくものよ。例えばMP切れや魔法を封印されても、リングがあれば魔法は発動するの。大抵は、ヒールなどをセットしておくのよ』

 「へえ。そうなんだ。僕は、杖よりリングの方がいいって事?」

 『そうよ。だってあなたは、魔法を使えないでしょう?』

 「え!? そうなの? 魔法系だって言われたけど……」

 『あなたの家系は、召喚師よ。知らなかったの?』


 知りませんでした。お父さん達と一緒にいたのは五歳までだし、誰も教えてくれなかった。確かに魔法は使った事はないけどね。


 「じゃ、誰かにこのリングに魔法を入れてもらうの?」

 『私が入れてあげるわ』

 「え!? ラスって魔法使えるの?」

 『はぁ……。そこからなのね。その話は、時間があった時ね。どうせなら一番いいのにしましょう』

 「一番いいの?」

 『軽いやつよ』


 なるほど。持ってみると全然重さが違った。重いのは靴一足分と同じぐらい重かった。ずっと靴をぶら下げているのと同じだ。軽いのは布のように軽い。


 「え? 銀貨5枚!?」

 『武器なんてそんなものよ。あと、ナイフも買っておくわよ。持っているのは、刃がぼろぼろだから捨てましょう』


 ……大丈夫かな? 人間と妖精の感覚が違うって事ないよね? でもまあ、銀貨がまだいっぱいあるから大丈夫かな?


 「もう! 待ってろって言っただろう。で? 杖は買ったのか?」


 と突然声を掛けられ僕は、驚いて悲鳴を上げるところだった。


 「あ、アーズラッド。杖は買ってないけど、ナイフと……」

 「え? 杖じゃなくてナイフ買ったのかよ。まさか杖を買うお金ないとかいわないよな?」

 「いや、僕、魔法使えないし……」

 「使えない? 魔法系だって言われたんじゃなかったっけ?」

 「そうだけど……使った事ないし」

 「……そうだな。じゃ、あの人達いる間に、魔法の使い方教えてもらえよ。だから杖を買え!」

 「……え」

 『仕方ないわね。まあいいわ。一番安い杖を買っておきましょう』

 「魔法が使えないのに?」

 『いいから』

 「だから買っておけって」

 「……はい」


 誰と会話しているのかわからなくなりそうだよ。

 二人に言われた通り杖を買った。今まで買った中で一番安かった! 銅貨50枚。お店の人に、本当にこれでいいのって言われちゃった。何せ、リングは一番高いのを買ったんだからね。

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