58 悪魔
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/20 16:40
「え ええっと ど、どどど どうしよっか」
アルはゆっくりと後退りを始めている
(見つけたって言ったか? って事はさっきの魔族?)
「戻ってラフィに斬られるわけにもいかないでしょ」
バルは剣を抜き構えると3、4秒程様子を見る
・・・
(見た目と ラフィから受けたダメージがあったとして 弱点は )
蛙がすぐには動き出さない事を確認すると一気に腹の下へと
滑り込む
ズッ!
鉄の剣を刺し込みそのまま体重をかけ横に切り裂こうとする
が
腹に刺さったまま微動だにしない
「くっ、こっの!」
素早く一度引き抜き、再び傷口へと刺す
「危ない!」
少女の声が聞こえた
のだが蛙の動きが見た目とは裏腹に
素早い
バヂィイ!!
「あが、ぐぅっ」
バルの頭部周辺、ズドンと下から斜めに重い一撃が入る
正確には見えなかったが恐らく化け物の足だろう
声に身構えはしたのだが青年の身体はトラックにでも撥ねられたかの様に力無く吹き飛ぶ
「バ!」
少女は宙を飛ぶ仲間を目で追うが
グギュ ギュギュグググッ
ウエスト部分に蛙の長い舌が二重三重と巻き付く
「うぇええ! ちょ、キモイ 離して!!」
藻掻く様に爪で掻き、義足の両足で地に踏ん張るが
ギギギ ギチギチギギギギギギ
軽いその身体は徐々に血塗れの口元へと近づいて行く
「いやああっ やめ! やだあああああ!!」
巨大な蛙の口元は人間の様な歯が大量に並んでおり
歯と歯の隙間には食された後の髪と思われるモノが絡まり、骨、残骸が詰まっている
「や、やぁだ ぐううぅ こっのぉ!」
ドゴン! ブジャアアアァァ
ブヅヅン
口に入る瞬間に上体を激しく反らし、蛙の顎下から強烈な上段前蹴りが入った
「ゲエギャギャアアアアアアアアアアアアッッ」
気味の悪い高い声、、蛙は並ぶ前歯で自らの舌を噛み切る形となり
その拍子でアルは舌ごと少し後ろへと飛んだ
「ぁ、あっぶ! バ、バル!?」
解放された
一度首を振り、後ろへ吹き飛んだ仲間の元へ駆け寄ろうとする
が
少女の左足を蛙の左前足が素早く掴み
「あうっ!」
アルは足を掬われ床に顔と肘を打つ
「ブッゾいんえんぶぜえがああああ」
舌を噛み切った怪物の言葉は聞き取れない
「はっなっせ! この! このっ!!」
空いていた右足でガシガシ蛙を蹴りつけると
「ウガアアアアアアアアアアアアア」
咆哮と同時
ドガン!!
バヂン!
ガン! ガン!
単純な鈍い音が響いた
それは決して人間から聞こえてはいけない嫌な音だ
何度も
何度も
人形かの様、床へ、壁へと
少女の体が叩きつけられる
「あぐっ ぶっ! ぅ ぁ」
悲痛な声は虚しく
徐々に受身も取れなくなった皮膚は見る見るうちに変色を始めた
打ちつけられる毎に骨が折れ
張りのあった皮膚があちこちに裂ける
その無情な光景を前に
「っぅ や!やめろぉ」
懸命に向きを変え叫ぶのだが
青年の声は何の意味も持たない
(どうする どうする? どうする!?)
少女のおかげで咄嗟に防御を入れた為、頭部や首は無事なのだが左腕は見事に逆を向いている
頭をフル回転させながら歯を食いしばり、うつ伏せに倒れたまま片手で匍匐し
辺りを見回す
「ぐぅう˝っぞがぁああああああああぁああ!」
当の蛙はアルの左足を掴んだまま発狂を始め
天井にぶつかる程高く振り上げる
雑に振り回された少女は逆さ宙吊り状態になり
「あ˝ ぁ ぅ˝ぁ」
声を発するが
意識なんてものはほとんど無い
そしてその口、額から大量に流れ出す血液を
「ふぅうう ふぅう あっあーぁ」
卑しさ丸出しで体内へと溢すと
「 あ ああ˝ああ あああああぁあああああ˝!!あ˝あ˝」
何処か嬉しそうに激昂する化物は彼女の固い右足をもう片方の手で掴み
ゆっくりと股を割る
(足は)
(食えそうにないからな)
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお」
バヅン!
ビジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
通路中に血飛沫が撒き散らかった
ヤメタゲテーって時は大体作者も同じ感じに思ってます




