439 陸獣
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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騒ぎの真っ最中
少し皆とは離れ、幾つもの部屋へと繋がる広い空間を走る
のだが、相手が相手だ 分が悪い
これは足に自信があるとかどうとかの問題ではなくてですね?
意外にも河馬やら像といった生物は30~50キロで走るのをご存じだろうか
という事はだ
このサイズだと到底
「ブ ブブグ ブ グゥヴアアァア゛ァ゛ァァァアン!」
逃げ切れる筈が無いのだ
お腹痛い
悪魔が薄気味悪く笑った後に大音量の悲鳴でトランペットを吹き壊した音
その様な不快音が鼓膜を破きそうだったので
スカートを破り、目を強く瞑り
「あ、あ、うー うあああーーあーあー!くぅんな くんなくんなぁー!」
出来るだけ口内を広げ
情けない台詞を垂れ流しながら近くの通路へと全力で駆けた
馬鹿みたいな行動と表情
誰にも見られたくないのだけど、、これは圧から逃げる為、あくまで爆音対策なのだ
それを切羽詰まった状態でも正しく行う事が出来てこそ
(で でで で、出来る女ってものでしょう?)
引き寄せる為にも真逆の行動をしなければいけない事
それと
直接的な死の恐怖
ビリビリと張り詰めるソレと吐き気を飲み込んでから
勢い良く反転
しっかりと本体を目に焼き付け、下着付近に残しておいた切り札に触れた
(残弾は僅か そもそもハンドガンじゃきりない けど、爆薬と毒薬 この量で仕留めきれるか?)
宗教の様に全て判断を任せ、覚悟はして来た筈なのだが
この装備で
ベヒーモスアイテナンテキイテナイ
呼吸を整え
「もおー!鳴き終わったかこのやろお」
爆薬を目、鼻付近
毒瓶は少し下の口元へ投擲
慎重にタイミングを合せてから
バン バン と時間差をつけてから撃ち抜いた
しっかりと大口の中へ毒液が飛び散った所までを確認
遅れてからの二発目は鼻を通り過ぎてから眉間辺りで爆発したから残り玉は全弾鼻先へと浴びせてやった
のだが
「ブバアアアアアアアアア」
劇薬に明らかな効果は見えず
バケモノは少しだけ弱った声と視力を調整するかの様に頭を振った
「、、ぅ、やっぱり足止め程度にしか あぁん!こっちだ!追って来いよおお ぷああああああん」
矛盾する言葉と咆哮で再度こちらへと向く様
何度か振り返りながら走った
廊下部へ飛び込むと同時
迫り来る爪が足先を掠め
ギョっとしつつも受け身を取り、出来るだけ奥へと転がってから入口を睨む
(流石に中には進めまい)
なんて思ったのも束の間
ボカンやらガシャンというよりはドカン!と分かり易い爆発音を鳴らし
激突
先程の爆薬の比ではない程に可愛らしくない音が響くと壊れた壁やら天井が勢いの良い雪崩が如く襲い掛かって来た
「なっ わっ、わゅい!」
急ぎ、破片や飛礫でやられない様
衝撃吸収シートを裏地に縫い込んでいる上着を旗の様に振る
・・・
止まっ た?、、程度が重い怪我は 無い 走れる
と思った矢先
周囲を震わせ
自らの指を壁で削りながら前足が迫って来た
「っ!」
咄嗟
軽く後ろへ飛んだ
所で
何かに触れた
その
『小柄な子供』は
赤い泡を溢れ流し
全身に絡まる糸を引きずり
「ゥゥ ゥ゛ アァ ア アア゛ァ゛」
私の前へと立ちはだかった
正直
驚愕した
空いた口が塞がらないとはこの事だ
フェリスが
神を殺す為に作られた子が
これ程までかと、、
一瞬だった
比較的くっ付いている方の腕を下から上に振っただけ
極端に言うのなら挙手をしただけ、それだけで地面と天井に切れ目が入った
相手も思ってみない結果だったのだろう
迫って来たバケモノは縦に抉られた部分を直ぐに引っ込める事が出来ず
その勢いのまま
自分の腕を裂きながら進んで来る子供に威嚇音を鳴らした
久々の登場




