438 天網
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
思えば昔から何度も
何度も
思い描けるだけのシュミレーションはしてきたつもり
例え古いデータであっても、自分と反する答えに繋がっていようとも
一つ一つ脳内を片隅まで、それはそれは念入りに思い返し
何度も何度も 何度も
反芻を繰り返した
異変に気付いたのイツぐらいからだったか
駄目ね
最近は延々と良からぬ思想までがダブって見えてしまう
、、遠い 幼子の時に見た夢だった様な
もしくは、ほんの数秒だけ過った片鱗 なのかもしれないのだけれど
例えば生きて来た事から始まり
世の中の仕組みや道理
改変する為に必要な在り方
星を行き来する方法から未来へと意識を残す為の過程等々
何をどうしたからこうなる
そんな事ばかりを考えるのが好きだったのよ
それに伴い
実行に移す為に何が必要でどれくらいの時間と予算があれば良いのか
手に入れる方法、具体的な手法
可能にする為に排除すべきモノ
等々
調べれば 考えれば、単純な答えには辿り着けた
ソコまでは簡単なのよね
今でも
現実でも
逆算してみれば出来ない事の方が少ない
だけど
その奥
知りたい事があまりにも多過ぎた
生命だけでは無くて
生物、とは言えない子達もいるから一言で言うなればイキモノの事、とでも言えば良いのかしら
所謂親心
関与など出来なくたって良い
言えば考察通りになるのか実験を行いたいだけなのかもしれないのだけれど
見てみたい と思ってしまった
知恵があっても私利私欲にならず、平和なまま
今いる者達が誘導などしなければ素敵な生き方が出来るのではないか
なんて
夢を見て
禁忌に手を染めず
『私は』託そうとしたのだけれど
違う私と『あの子』は知識欲を優先してしまったのかしら
2/12 23:55
「室長?喉が渇いていたのなら こっちの水をどうぞ」
上司の行動を流し目で追っていた男は不思議そうな表情を浮かべたまま別の荷物を寄せる
「ふふ、そうよね分かりにくかったもの ごめんなさい?これでも用途としては正しいのだけれど、ありがとう 大丈夫よ」
この状況下で微笑むその温度
「頑張ったわね、大丈夫、キーロをこんな所で死なせはしない」
絶対的な安心感を植え付ける声色と台詞は
一人不安そうにしている私の頭を軽く撫でた
「っ でも !」
震え、急ぐ手を調整するかの様に強く拳を握り
零れ落ちそうな涙を
拭われた
のに
「今から私の秘め事、、いえ、特別秘密にしていた訳でも無いのだけれど そうね チート級の裏技 そういったモノを見せてあげるから」
場違いな
何やら珍妙な事を言い出し
「泣かないで?」
止めを刺されたから
自然と足掻く事を止めた
何故こんな事を、調べずに来てしまったのか ありえない
何故、知らされなかったのか
・・・
恐らく きっと 情報を消された、、もしくは書き換えられた?
そう考える方が自然だ
考えれば考える程、怖くなる
知っている筈の情報を覆す様 ソノ
正体不明に目を向けた
何の事は無い
彼女は
適合性等を確かめず
自分の腕から直接的に彼へと輸血を始めた
「な゛ ちょっ!」
目を丸くしている男を再度跳ね除けてから
そんな馬鹿な事をする訳が無いと気が付いた
資料としては目を通し、噂程度には頭へ入れていた
一切の抗原を持たない血液型
意味合いを嚙み砕くとすれば、、どの血液型の人にも輸血が出来るという点だ
大変貴重であり、非常に価値が高く
実在する 万能な血
所謂『黄金の血液』と呼ばれている
Rh null (アールエイチナル)型
「それが私の血液型 あら、ハル、来ちゃったみたいだからあっち側をお願い」
息を呑んだ
ゆっくりと、だが深く頷いてから
彼女を守る為
私は侵入して来た側と別の通常出入口へと急いだ
飛び込む様に迫る生命体、侵入者を感知した複数のソレらを撃ち抜き
目を見開き、足を止めた
巨大な像
いや、河馬の様な
とにかく バケモノクラスの大物を目にしてしまったからだ
「あっちもこっちも、頭 可笑しい」
思わず
口の悪い言葉が漏れた
文字数と次回に繋げる為書き直しと補修しました




