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本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
4/10 12:40
「明日出発とか聞いたけど、チエさんもなんか焦ってんのかねぇ あんなバタバタしてさ」
誰に聞く訳でもなく
雑に食器類を自らの前から除け
女は狭いテーブルに突っ伏す
これに
「おい皿! 自分で片せよな」
寄せられた側は嫌な顔を浮かべた
その注意も空しく
「まぁまぁ、ネッキーのは俺が持ってくから」
逆側から嗜める様な声が上がる
「えー、甘やかし過ぎじゃないっすか!?」
「良いって良いって」
「いや!いやいや、駄目っしょ むしろ持って行かせる側でしょう」
「ははは、こんなのついでだしさ あ、シーマの分も一緒に片付けちゃうから重ねておきなよ」
なんて軽く言い終わるとベテランは仏の様な面で残りの昼食を搔き込んだ
「はぁ そーゆー事じゃあねえんですけどねー」
とは言いつつ
食った皿を一つにまとめ
薪の上で沸いたばかりの湯をカップへと注ぐ
此処は建物のすぐ隣に設置されている小さめの四人席
周りの連中は倒した木やらその辺の岩を加工し日々を過ごしているので豪華な待遇ってトコ
俺らは食事を済ました後、晴れた空の下で優雅にハーブティーを決め込むところだ
もう慣れた魔女のお手製物で花の香りが強めの、、そぐわない事なんて自分らが一番分かっている飲み物を頂く所って訳
・・・
いや、訂正しよう
使われていた用途を正しく辿るのなら『大きめの二人掛けテーブル』と呼ぶ方が正しいという事を、、
斜めに傾いた少し歪なソレは雨風に曝され、すっかり色褪せてはいるものの大事に使われていたのだろう
樹脂で何度もコーティングされた為
逆にも偏って出っ張りが出来ている
だが、器用なゴロツキには分かるってもんだ
デザインそのままの木材だけで欠けた部分も補強し、長い間移動させる事無く維持するというのがどれだけ大変なのか
そして
そんな大事な場所を提供する事の寛大さを!
それに比べて
(うちんとこの女と来たらコイツだし 特に年配陣は甘過ぎんだよなぁ)
という具合にモブでは無い感を出す数名
一応は頭脳班である主要な連中だ
メンバーとしては
シャーマンが合流するまでは紅一点だったネッキー
周りのせいで汚い店となっている亭主シーマ
ベテラン組で周囲をまとめる初老のイッサン
そして
女の視線を追いつつ
「 なあ、ネッキーの言う「も」ってのは、あの兄ちゃん「も」って事か?」
瘦せ型の男が目線厳しく呟いた
何も考えずに
「え、あ あぁ、うん キーロ、か あの子も酷く焦ってたよ」
聞かれたから返しただけ
なのだが
こんな他愛なく発した言葉にも
「らしくねぇなぁ 「あの子」 とか!」
「ははっ!お前面倒係だったもんな?」
「いや~しょうがねぇんじゃねえの?怪我人相手だぜ?なぁネッキーよぉ!?」
ガヤが沸いた
紅一点というのは伊達では無いらしく
見かねたベテランが一息してから
「あぁあぁ!話進まねぇからよ! お前らあっち行け!」
珍しく声を張った
のだが
「待って待って!さっき明日って言ってたの何!?」
「え? え!!えっ!?」
「此処出んの?」
「ガチ?」
「俺も聞いて無かったんだが」
耳を澄ましていた癖に話をろくに聞いていない連中達も声を上げ出す
「「はぁ?お前ら何言ってんだ!?」」
ネッキー
共にシーマが
「馬鹿野郎、朝コウちゃん言ってたろーg」
声を上げるかどうかで
タァン!!
と銃口を空へと鳴らし
「黙れ」
一蹴した
周囲の
生きた鳥達以外にざわつく事が無い樹海の中
溜息を吐く様に
しかし、大分デカい声で
「おーおーおーおー何やってん! あぁ、あぁあーあーあー弾よぉ弾ぁ!勿体無ぇし何してん あ~もぉ怖い怖い」
呆れ顔のリーダーが声を上げた
誰も続く事は無いので
そのまま当人の傍まで寄り
「 次こんなんやんなら俺やってからにして? 通常だったら許さないかんね?」
小声で並べた
その後は一息だけ間を置き、鼻を軽く鳴らすと
付近が怪しく思うほど警戒している
眼鏡の青年を連れて来た
わざとですよ?
次から本編




