395 不意
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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【ちと前に爆発事故が起こった所がありましてぇ、そこで被害にあわれた研究員さんの、、えっとぉ、介護?をしてもらいたくてですね~ ぁ~ん、要は~お姉ちゃんに~元気付けてもらいたかった人がいた みたいな感じッスね】
【 え、何?ケイちゃんに関係ある人なの?ってか誰?】
【名前~なんって言いましたっけねー?あのおとっさん】
【ソコ!肝心な所じゃないの?】
【なんでしたっけ~ 蜂みたいな、ビー? ビーさん? あんま覚えたくない人だったんで】
【それ大丈夫なヤツ!? あーまぁ、了解、良いや んで?肝心のケイちゃんは?】
【もう帰ってるっスよ】
【はぁ?】
【なんで~二人共周りには上手い事言って下さいっス】
【ハードル高ぇ、っつかどうせなら一回ケイちゃんをこっちに向かわせてくれよ! 打ち合わせたかったっつの】
【そんなん知らないっス】
【デスヨネー】
そんなやりとりもしてたから
感覚的にも俺の中ではつい先程の事だと思っていたから
寝起きに嬉しい報告を聞いてしまったから
巫女達だって物理的に、皆が近くに居るから
油断した
よくよく考えれば分かる筈だった
やりとりしていたのは八時間以上も前なんだ、休憩無しなら一日の通常勤務くらい終ってる
今朝ヴェヌが言ってた言葉そのまんまに言うなら
【キドナっちがお兄さんをお呼びらしいんスわ】
確かにそんな事を言っていた
正直、咄嗟に出たのは「ッファ?」とか間抜けな音
整理出来ないまま反応しただけなのだが、そりゃあそうだろう? 巫女でもカセンでも無く、俺だ
グングニル狙いであったとするんでも直過ぎる口説き文句
逃げ口上に並べた台詞だって
【ぉおう、そう?でも会った事だって無いしさ? すぐ?】
みたいな適当な返答
だったのに
【いあいあ言ったじゃないっスか~時間的には全然!って 人の話聞いてました~? あ!時間と言えばそういえばなんスけど夜から起きてた場合って今からご飯食べると夕飯扱いなんスかね~? ん!!でもアレっスかね?ちょっと寝てから食べたらお昼ご飯が朝ごはんになるし?ガッツリ食べてもカロリーゼロになるんじゃ・・・】
飄々(ひょうひょう)とした感じのまま延々と他愛なさそうな話を並べ
ラブコメ系とは違うのに中々電話を切れなかった
なのに
まさか直接、こんなにも早く行動して来るなんて
危機感が足りなかった
(狙いは俺だけじゃないんだった)
一気に脳味噌を回して抱えたボウルから生野菜が飛び出る程の急発進
「カセン!!」
三十路は皆が居る筈の居間へと飛び出した
危機迫る表情のまま
なりふり構わずに
まず最初
一番近い位置の巫女が目に映った
怪我なんて無い
無言のまま淡々と咀嚼に勤しんでいる
そして向かい側
「あい? ん~?」
先程名を呼ばれた者が酒を呷りながら振り向いた
から
「 ぇ、ぅぇ?」
少し空気を飲み込み、確認出来たからこそ変な声が出た
角度も角度だったのかもしれない
「ん˝ぅ! ぅ ぷぁあなんじゃああ「ぅぇ?」はこっちの台詞じゃて、折角の酒を吹き出しちまう、、って なんって顔しとんのじゃ」
赤鬼は珍妙な顔つきで正確な返答をくれる
「はぁ な、なんだよ~ 良かっt!?」
安心したのも束の間なんて言葉は正にこの事
酒飲みの隣では
「コレが合うんだ!なんなら野菜は何と食べても良いのだがな?こっちだけをそのスープに入れても意外に『混ざる』んだぞ!?」
美しいエルフが意味不明なオススメを述べ
脂っこそうな調味料を片手に
肝心の少女へと笑い掛けている
いつも通りのカオス状態とは別の意味で
息を呑んだ
そんな
凝視する俺に気付いたんだろう
こちらの考えなど知らんとばかりに
「あ~美味いっスよね~ 嫌いじゃあ無いんスけど、自分」
しっかり瞳を合わせてから
「マヨはガッツリしたのと食べたいんスよね~?」
眩しい笑顔で微笑みかける
一頻りイベント事終わったので来週くらいから通常に戻せるかどうか




