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393 日課

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

3/8 6:30


まだまだこんな時間だってのに

「ねぇ~ぇ」

遠慮無しかの様に


「ジ~ン~!」


聖堂内へと幼い声が響くのだが

残念な事に希望通りの反応は無い


静まり返りって間も無く

フロアを覗き込むと周囲に目を向け

「にぇ、、ねぇ~  ってばぁ」

もう一度張ろうとした台詞を小さく抑えてから礼拝堂へと踏み出す



何を隠そう声の主は早起き吸血鬼だ

(今日はまだ起きてないの?)くらいにしか思っていない


その為、暗く、今も一切の反応が無い奥部屋に向けて目を凝らし

幼女は周囲の灯明とうみょうへと先に歩み寄る


ゆっくり


恐る恐る


、、と言う事は無く

どちらかと言うとしっかり届く物へと手を伸ばし


火をくべて回る


馬鹿みたいに口を開けながら、往復まではせず

雑に何本かを灯した程度で匂いのしない厨房へと到着した


灯りも無いし香りも無い訳で、本人だって分かってはいるのだが


「まだご飯作って無いのぉ?」

幼女は確認に確認を重ねる


・・・


返事がある筈も無く


「も~全く~、う~寒いのだわ~?」

それでも言葉を発すると言う事は止めないまま


小さな手は渇いたたきぎに手を伸ばす




今更ながら




漏らしたと訳では無い




単純にここ最近の生活で学んだからこそ火の扱いなんて自然なルーティンであり

もはやお手の物、日課の様なものだ


窯へと渇いた樹皮を何枚か重ね


手に持つ松明たいまつを被せる様に置く



パチパチ



パチパチパチ



音が聞こえ始めると次に細かい枝を巻き、徐々に大きな物へと移していく


以前の様

焚き過ぎてボヤ騒ぎを起こさぬ様にと


しっかり加減をしながら






ニ、三十分程の火遊び

もしくは葛藤の末


「出来たのだわ!」


しっかりと灰で汚れた幼女は右手に大きめの一本を持ち

左手には移し火に使った松明を掲げる


調子に乗ったのだろう


不思議な格好を構え

「ふ、ふふふ? コレは、ふふっ そう!ダブルね」

満足そうに一人口遊くちずさ


ので


その小言、タイミングをのがさぬ様にと

「カカカ、二刀流とは格好が良いのぉ」


曇った外窓から声が掛かる


聞き覚えのある声と言葉使い、見ずとも直ぐに理解した

行儀悪く作業台へと登り

小窓を開け


「あら、カセンじゃない!おはよう!」

身形みなりの事は棚に上げながらも品のある挨拶を交わす


「うへえばっちぃのぉ  あいあいおはよう、じゃがロゼは」

「ねぇ、寒かったんじゃない?」


「ん?お~」

「でしょお、良いからこっちおいで! 早く火に当たりなさいよ」


「あ~、んじゃあまぁ、当たらせてもらうとしようかの」


無邪気な優しさと得意げな表情

これには酒神様も「なんか別のもん燃す気がするから」とは言えなくなり


扉を



バキン



と開いてから


眼を合わせる


「あちゃあ、開いてなかったんかぁ」


「だ、駄目じゃない、、ドアの鍵はちゃんと確認しないと~」


「お~お~まさかあっしのが問題児んなるとは思っとらんかった」


「え、ちょっと何を言ってるの?私は問題事なんて起こさないのだわ? ほらぁ、しっかり注意しないと   人間の建物は弱いのよ?」


「っく ふふ  あぁ、そうじゃな」


なんて、何の生産性も無い事を話しながら

一番年齢差のある怪力娘らは破損した部分の建て付けを始める


そして「ああでもない」「こうでもない」としばらく難航していると



「あのよ、早い時間に裏門からすまねぇんだが」



とは到底思っていないであろうボリュームで


「巫女さんはいるかい?」


小汚い男が壊れた扉を覗く



封などされていない


一通の手紙を手にして


久々のほのぼのであり別パートの繋ぎ

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