379 信任
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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まだまだこんな時間だってのに
「あ!ジン おはよう!今日はちゃんと早いのね?」
早寝早起きの幼女が灯りを見つけ嬉しそうに寄って来た
今回はしっかり火を扱っている事を確認したらしい
声を掛けてから直ぐに誰も喜びそうも無い腰や尻辺りに触れる
「はいはい、おはよ、起きて来やがったな? っておま!くすぐったいからヤメイ う、うん、まぁなんだ~嫌な知らせで起こされた様なもんだよ」
わざわざ俺から説明なんかしなくとも
「シエルらがあんな時間に出たって事はギルドになんかあったんじゃろ?」
吸血鬼と一緒に厨房へ入って来た赤鬼が声を上げる
「あ、あぁ 起きてた?」
「一応気ぃ張っとったからのぉ」
本当にありがたいったらない
申し訳無いな~と表情に浮かべた辺りで
「ええー、カセン起きてたの? わ、私も、じゃなくって 我も 守れたもん うぅ、ちゃんと言えば起きたのにぃ」
久々に可愛らしい嫉妬を目にした
「カカカカカカ、ジンは幸せ者じゃな? あ~別に何も起こっとらんから良いんじゃよ ふふっ、ロゼはロリコンにとって最終兵器で間違い無いからのぉ」
うん、台無しだ
と思ったんだが
「さ、最終兵器!? うぅ!カッコイイ!!」
コレデスヨ
だから まぁ
「はは、間違ってはいないよな?ロゼも凄かったし、ってかカセンも本当にご苦労さんな えっとそっちの戸の裏!冷えてるの何本か置いてあるから」
グツグツと湯気を出す手元の寸胴と鍋をレードルでぐるりと回し
チラリと酒飲みの方を見る
「あ~うん その辺は良いんじゃが のぉ」
「え、どした?」
珍しく珍妙な表情の神様に
分かり易く首を傾げた
「ジンよ」
「ん?」
「兵なんか何時来たんじゃ?」
腰元から
何度か衣類を引く感覚がする
そのおかげでハッとしたし
ゴクリと
自らが溜め込んだ生唾を飲み込む音が聞こえた
「ぇ ぁ な、何の事?」
明らかな惚けた声
そのまま一度目線を逸らしたのだが相手が相手だ
「嘘 ごめん 無理だよな いや、マジでごめん 兵士なんか 来てない」
簡単にゲロっちまった
だが
お手上げと言う様な弱弱しい返答では無かった筈だ
それでも尚
「店の連中が危ないってのは事実なんか?」
薄紅色の瞳が強引に視線を合わせる
そんな言葉に
何を言える訳も無く
「、、多分」
噓無しの一言を呟いた
「ふむ、多分 か」
「うん、多分」
・・・
続けて直ぐに口を開こうとしたんだが
少しだけ沈黙があったんだと思う
だから
温度としては変わらずに
「そんなだからさ、まだ詳しく言えないんだわ 『賢い』カセンには」
しっかりと見つめた
「 く、ふふふ なんじゃそりゃあ」
その返答には流石の神様も瞬きをしてから豪快に笑い始める
「すまん ほんっと、絶対!その時が来たら話すから ちょっとだけ待ってて?」
ふざけている訳では無い
だからこそ
「ういうい、分かった!それならしょうがないのぉ」
信頼を読み取ってくれた様子だ
「まぁ、んな事言い出したらあっしなんか何も言えんくなるしの あ~今回はとりあえず一杯貰おうかの」
「ん、おぉそーね っつかさ、カセンって寝てる風な時も寝てないんだろ?身体大丈夫なん?」
「お~お~今度は優しさアピールかの? カカカ、じゃがのぉ~今回勘違いだった場合巫女に殺されんかとこっちが心配なんじゃが?」
「あ、あーそれは」
(確かに!)
「ねーぇえ!カセンとばっかりイチャイチャして~」
「してねえよ! なんでそう見えんだよ」
「もぉ!私をほったらかして~ も~も~」
「えー何処ぞのツインテだよ ん、でもまぁロゼにはしっかりお願いしたい事あるからさ 頼むわ」
赤鬼がアルコールを摂取しに向かったのを横目で見送り
三十路は幼女のポケットへと板を滑らせる
なんか対話で進めるの久々な気がする




