354 動向
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「すっご~い、骨も腫れもすぐ治っちゃった 跡も 無いよね?」
魔女が両腕を勢い良く振り
転落時に擦った部位の確認を行っている
「すいませんチエさん!俺なんかを庇ったかr」
「してもらってなかったら一撃でお陀仏だったんじゃろが、こういう時は素直に感謝せんか」
言葉を遮った赤鬼は頭を掴み
同時に腰を折ってくれている
「そんな大袈裟な~ ほらっ!森暮らしで骨折とかは慣れてるしさ~大丈夫大丈夫~、あ!でも一緒に潰されたりとかしなくて良かったよね~」
空気を読んだとかそういうのでは無い
そもそも性格の問題
多少物騒な事を言っている辺り読み切れていないのだが不思議な空気を放ちつつ
優しく赤い髪を撫でた
一行は先程大聖堂に到着しムラサの治療を終えた所
トンネルから出た後もバードマンからの奇襲は無く、念の為にとカセンが付近を連れて来た?爺様共々捜索したのだが蟷螂ですら見つからずの状態
それどころか南地区街への被害はそれ程無く、明らかに狙いを定めて出現させたのだという事だけは分かった
休憩を取って情報の擦り合わせを行おうと思ったのだが
「ふぅ、じゃあ一旦私は他の地域状況やら情報収集、処理なんかも終わらせて来る」
気怠そうに首を揉む役職持ちにはそんな時間も無いらしく
「何枚か寒さ対策用に持って来るのでもうちょっとだけ待ってて下さい、自分も行きますからー」
従者がせっせと準備を進めている
「当たり前だろ、誰がおぶって帰るっつぅんだ」
おまいう!? ってな話なのだが
「あ~怪我人の治療も込みじゃろうしのぉ」
「あ、そう だよな」
当たり前の事
王都全域がこんな状態、いや、もっと酷い所もあるかもしれないんだ
確認出来ただけでも異形らは『急に現れた』訳で、それは脅威でしかなく、逸早くに警戒と対策が必要になる
治癒に聞き込みに神父の代わりの供養から王への会見 ご苦労な事この上ない
それにヤツらはゲームの様に消えたりだとか前みたいに灰にはならなかったから、、燃やしたりだとかな訳だし
溜息を吐き出そうとした瞬間
「ジーンーお湯沸いたのよ、グツグツいってるから早くっ、早くぅ!」
換気するかの様に幼女がキッチンから顔を出した
「ほらっ、呼ばれてるよ~」
「お~お~そうじゃの、ジンは小難しい顔しとらんであっちじゃな」
「ん、まぁ そうね、シフの代わりに給仕担当頑張るかなぁ」
未だに聖堂内外には大勢の巫女ファン、、基、住人が避難所として此処に留まっている
只々いつものようにくっちゃべってるだけではあるのだがシエルの支えである事は事実
なので俺なんかが出来る事はフォロワーのフォロー、、人数分のお茶やら味噌汁を作る事くらいだ
「はっやっくぅ! 溢れちゃうから~」
「はいはいはい、ミトンは~どこかな~」
手招く吸血鬼の手を摘まみ
ふと自分の手に引っ付いて来た紙切れに気が付いた
「んおっ、あ、コレ ってか電話なんか出来んのか?この世界、、の前に電池もう無理なんじゃね?」
手汗でくっ付いたままのソレはだらしなくへにゃへにゃと
いや
超高温に焚かれた薪の熱風で勢い良く揺れる
「なぁああ! あ ぁ 水っ!水ぅぅうう!」
「水?水ならそこのお湯があるのだわ?」
「あ、そっか、、じゃねぇわ! ってか水っ、、で良いんだっけ?こういうのおおぉお」
・・・
「早速騒がしいのぅ」
「あははは、しんみりしてるより良いよ~」
「カカカ、まぁそうじゃな、、あ~ して、姉さんや」
「ん~?」
大きな帽子を支え不思議そうに顔を覗く
「ちょいちょい思っとったんじゃがのぉ」
「うんうん、どした~?」
「お前さん 何者なんじゃ?」
自称神様はいつも通り
酒を片手に首を傾げた
完全に説明会




