316 懸案
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「えっへぇ? 死神って~え~なんだかな~」
三十路は次の食材を片手に薄ら笑いを浮かべる
天狗の発した言葉がしっくり来ない
だってそうだろう? あくまで聞いた話だがなんか思っていたよりも、、間の抜けた印象に聞こえちゃったし
「本当だって、俺も任務中に一度だけ似た様な事があったんだよ と言うより同業の間じゃ結構知れてる存在よ?」
「え? ってかさぁ、ライアさんの同業って言うのは何に当てはまる んです?」
ツインテールの少女がひたすらに卵を割りながら顔を向ける
「密偵」
「え!? 忍者じゃないの?」
「カカカ、いやいや暗殺者じゃろ」
正直どれも一緒じゃないの? と思ったのだが
「こんな格好で忍べると思う?」
(あ、自覚あるんだその格好)
「え~、じゃあなんでそんな格好してるの?」
怖い者知らずのツインテールからは敬語が直ぐに消えた
(と言うか「そんな格好」は失礼になるからな?)
「これ着てる理由?」
「うんうん、だって明らかに猫ちゃんらと違うじゃん? 汚れも目立ちそうだしなんか意味があるのかな~って」
「あぁ好き好んでって言うよりは意味あって来てるよ」
「え~何々~!?」
「簡単な事よ、そりゃ~」
その答えは意外でありながらも
「目立つからでしょうが」
只々シンプル過ぎる事であった
・・・
「ふ、ふ~ん」
少女は手元の卵に目線を戻し、掻き混ぜる作業へと入った
(おいいいい従業員! 気持ちは分かるが間を置いてから流すんじゃないよ お前から聞いたんだしさ)
「あっはっはっは、そりゃそういう反応になるじゃろ~て ぷ、くふふふ」
「んで? その死神ってのはなんだ? ソコの神様と似た様な括りで考えて良いのか?」
面倒臭そうな表情をした少女?が割り込み話を戻す
「さぁねぇ、申し訳無いが俺もやり合ったとかじゃないんだよ」
天狗は先程の事など特に気にする事無く続けた
「取っ捕まえる予定だったターゲットを先に始末されちゃってね、あっという間に灰にされたよ 手口が同じだからそうだろうな~って程度」
「そう考えると森の時も一緒だ、、クソ 目的が分かんねーな」
「お~そうじゃったのぉ仕事って言うとったから一応意味はあるんじゃろうし」
「死神ってのもそうだがあっち側の連中、ドワーフの記憶だと『賢者』って連中らしいが奴らもオーブには目もくれなかった、なのにドラゴンを殺った理由は何だ?」
巫女は誰に言う訳でも無く一応は報告とばかりに言葉を発しながら思考を巡らせる
「賢者、、推測だが軍師の手足になってる奴らかなんかだ、だとしたら」
のだが
「賢者ぁ!?」
今までが難しい話だったからか話に入って来なかった幼女が巫女の方へと寄って来た
「ちっ、うっとぉしいのが来たな 邪魔だあっち行ってろ」
「うぅ何よ良いじゃない、私にも少しくらいお話し聞かせてよぉ」
両手でスカートを握る幼女を見て
閃いた
「そうか、単純に毒抜き方法を潰したかったって訳か」
「へ?」
「あ~破滅の阻止をされない様にと懸念事項を潰したって事かの 瘴気を収める材料になりえるとあっちも分かっとるんじゃな」
続けて赤鬼がポンと手を叩く
「え、ちょ、ちょっとぉ 賢者の話ぃ」
「だとしたら次に狙われるのは私だけじゃなくシャーマンの可能性も出て来る、、いやそれだけじゃないか、ジンが狙われる理由も当てはまって来るな」
「!? だとしたら急がんと」
「あぁ、今日中に擦り合わせ終えて明日には編成分けしてやる、、段々見えて来やがった」
頭脳である二人には色々と見えて来たらしいのだが
恐らく、あえて、、言葉に出さなかったのだろう
ジンが狙われると言う事は
キーロも狙われる可能性が大きいと言う事
そんな事をいざ知らず
「ん~、死神、仕事、、意味 ねぇ」
思考するメンバーとは別に
少女から大量の卵を受け取り調理を始める
どうにも難しいから話が追えないとか、、そういうんじゃなくて
途中から別の事しか脳裏に浮かばなくなったからだ
だって
死神が出たのってエバが助けに来てくれてた時の事だもんな
じゃあなんだ?
俺はその死神ってのに助けられたって事なのか?
じゃあなんだ?
マエバはソイツに殺されたって事になるのか?
別の意味で思考を巡らせ
特大の卵焼き、その片面は見事に黒くなった
まだまだ解説が続きそう




