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299 毒龍

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

2/25 17:00


「お~お~待て! 待て待てー」


そんな赤鬼の言葉は届かず



グガガアァオオオッ!



見た目通りの凶悪そうな咆哮


ライオン、又はトラなんかが鳴く音とは一味も二味も違う

耳を塞ぎたくなる爆音はビリビリと肌を通るだけで無く、内部の臓器へ当てたかの様に振動を残す


口から漏れ出ている熱は瘴気やら魔法とは別なのだろうが直ぐに危ういと言う事だけは分かった


「下がれっ!」


一番距離の遠い場所から声がした


その声に青年は松明たいまつを放り後方へと駆ける


(クソ、矢は無理だ、障壁、、間に合うか?)

巫女は目を見開き、両手を前に向け早口に詠唱を行う



コォァ ゴゴォォオ



積雪を掻き分ける様に少し高め、だが鈍い音

溜めたブレスをシエル目掛け吐き散らす








事は無く








バッチンッ!!



とシリアスな場面に似合わない音がした


毒だか炎だかを口から吹き出し切れず

爬虫類の様な瞳は瞬膜しゅんまくを多少覆った状態で衝撃の方向へと首を振る


「待て言うたろ~が、聞こえんかったんか?」

手甲をした右手首を振り、赤鬼が眉を寄せる



ゴォォォアアアァァア!!



それが良いのか悪いのか


近距離のカセンに向け雄叫びを上げる


「ちっ、障壁は張った!てめぇも下がれ」

片手を前にした巫女がもう片手を胸元に入れゴソゴソと弄っている


「、、えぇ、巫女様、あれだけダメって言われてたのにそれも持って来たんですか?」

バルはシエルの後ろから手を突っ込む訳にも行かず、撤退の様子を伺う


そんな後方でのやり取りを気にもせず


「なぁにが ごあ~じゃ! 龍なら知恵持ちなんじゃろ?ちゃんと話してみんかいっ!」

赤鬼は自らの拳骨げんこつに息を吹きかけ

龍の眼前、鼻の上辺りに飛び、険しい表情を浮かべている


(え、ドラゴンに目を潰すよ?って脅してるの?  本当にあの人の温度は分かんないなぁ)



その強引な問い掛けに相手もピタリと止まった訳では無い

荒い鼻息は今も熱を帯び、喉元からもゴウゴウだかガオガオと大型エンジンの様な音を鳴らしている



何秒かだけ様子を伺い



巫女が矢の詠唱を始めたところで重い声が響いた





「渡さんぞ」





口を動かしている様子は無い

だが脳に直接と言うよりは音波的な振動を感じる


「なんじゃ、やっぱり意思疎通出来るんじゃないか」


「けっ、何の話か知らねぇが一つだけ答えろ、てめぇが魔物の親玉で間違いはねぇんだよな?」

その手には光が集まり準備は整いつつある


「いやいやいや、とりあえずカセンさんに任せましょう? わざわざ消費する必要も無いですよ」

台無しにさせぬ様、青年が慌てて腕を下げさせる


その姿をギロリと確認すると再び言葉が響く


「貴様らの目的は魔物の討伐という訳か、ドワーフ共めが  割の合わない事をさせる」


「あ~確かにのぉ、カカカカ、お前さんが居ると分かっていたんじゃからあのカッパ頭にゃ説教が必要じゃの」


自称神様は鼻先に座り込むとそのままペシペシ叩き


にしし顔で胸元から小瓶を取り出す
















「えぇ、えぇそうです仕向けました」




「はい、はい え? でも」




「はぁ、えぇそうですけど相手はドラゴンですよ? そんな  はぁ  はぁ そうですか」




「あ~そうですね、それならどちらにせよ生き残れませんね はい、でもですよ?それだと私も危な、、はぁ、はい はぁ分かりました、では後日にでも はい 失礼します  」


一息置いてから


おかっぱ頭の男は溜息交じりに手元の板から耳を遠ざける


「はぁ、何で俺が  はぁ」

男は小言を呟き、板を腰鞄へと滑らせてから歩き出す






「はぁ すいません、鍛冶と発破用に使うので鍵を借りて良いですか?」


悲観的な面を下げ


肩を落としたドワーフが火薬庫へと向かう



本当は変身とかさせたいけど設定上おかしくなるので兄弟では無い感じに(何

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