276 逃亡
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「お~お~、しんどかったんじゃのぉ」
酒瓶を片手に赤鬼は眉を下げる
そんな言葉を余所に
「ん!」
おかわりをよこせとばかりに皿をカウンターに置くのは、、
ってぇ!
「今それやる?」
溜息を吐き
座敷とテーブル周りの洗い物を回収しながら巫女のグラスも一応に受け取る
「 ロリコンが泣き虫って所までは分かっt」
「おいいいいいいい、なんでそうなるんだよなんでピックアップそこなんだよぉ」
台無しである
まぁ、なんだぁ、、その後なんだが
情けない程に泣き止まない俺
その涙で服を濡らし
頭を撫で続けていたのがソノ幼女であったなんて言える筈も無く、、
(うん、まぁ~あ!?その場に居合わせた面子には見られていた訳だが?なんだかんだぁ?み~んな酷い顔だったしぃ?俺だけじゃないしぃ?)
シニテェ~
今の状況、今の店内だが
座敷側周辺の生物達は皆熟睡している
温度的に温かみのある場所を各自で確保し(主にキーロストーブの周辺)
あるだけの布団を奪い合いながら
珍しく従者もお嬢を寝かし付けてたらそのまま寝入ったらしく、起きているのは体力お化けと食欲お化け、、あ、あと天狗だけだ
暫く黙ってるもんだからすっかり寝てしまっているのかと思った
よくよく耳を澄してみると何やらぶつぶつ小言を唱え、瞑想しているのが分かる
それはシエルの詠唱とは別の、、自分への問いかけって方が近しい感じだ
、、ヤバい人にも見えるのは俺だけなのだろうか
と思っていた所に
「み、水ぅ お水をおくれ~」
シャーマンが起きて来た
「おん? あ~ムラサさんも大分飲んだね~」
我に返ったかの様にライアが声を掛ける
のだが水を汲みに来る素振りは無い
「うへ~久々のお酒だったから、、調子にのっちゃったみたい」
泥酔って程では無いのだろう、が良い感じの顔色とはいえない
「ハハ、良いと思うよ? あ!そういえばあの犬っこってどうなったの?」
!!?
その天狗の言葉に巫女と赤鬼が反応した
「ロリコンの話なんざどうでも良い事じゃねえか」と言わんばかりに眉を寄せ
こちらを振り返る巫女の圧が凄い
あ、うん、そうだね、そうなんだけど正直俺もそろそろ限界な訳でして
「ごめんちゃい、一回寝て良い?」
・・・
テヘペロと手を合わせたその姿
日頃大らかな赤鬼にも呆れ(どころでは無くドン引き)顔をされたが許可を頂いたので逃げる様に洗面台へ向かい、歯を磨き
もはやしっかり寝れそうな場所が無かったからリュックを漁り、寝袋を引っ張り出し、換気をしながら厨房付近での就寝です
気を利かせてくれた、、訳では無く、多分暖を取りに来ただけなのだが黒い子猫がもぞもぞと入って来たので幸福です
「おやすみ~」
一言だけ残して意識を飛ばそうとした所でシャーマンが説明を始めた
「毒は多分抜けたと思うんだけどあの子さ~手首が心配なんだよね、もう半分プラプラしてたし雑菌とか入ってまた化膿しちゃわないかな~って」
(、、ん? え、ソコ?)
「お~お~姉さんや、そのワンコは今何処におるんじゃ?」
赤鬼がもちろん割って入る
(あ、そこはバァさんって言わないんだ)
「あ!あぁうん目を覚ましたみたいでさ、みんなが寝てる間に飛び出して行っちゃってね~ 掃除するの大変だったよ~?窓ガラスとか割れちゃって~」
シャーマンはマイペースに自家製の薬をサラサラと口の中へ流す
「むぅそうか、ま~た逃げられちまったのぉ 何か少しでも情報が増えりゃ良かったんじゃが」
「 まぁ、ソレ相手に無事ってだけで良いんじゃね~か?」
(お、巫女がデレたぞ?酔ってるのかな?)
「あれ?けどさ?」
天狗が何かを思い出したかの様に再び酒に手を伸ばし
「あの板、神父の旦那から貰わなかった?」
「お~?板、、板、板? あ~?板ってあれかのぉ ジンの持ってる~あの~鉄の~?」
「持って来たのあの犬っこだよ」
急に重要な情報を吐き出した
そう、確かにそこからならあり得る
むしろそこから以外辻褄が合わない
そんな
重要な事を耳に入れられずに
「zzzzzzzz」
間抜けな顔で眠りに就いた
始めてzzz使ったかも




