271 留守
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
2/25 23:00
「ねぇ、良く見えないけどあれって人影だよね?」
黒い方のエルフが隣の肩を叩く
が先に返事をしたのは荷台から顔を覗かせていた商人の方だ
「エルフは目が良いって本当なんですね!全然見えないですよ~ あ、コレどうぞ」
茶髪の青年は追加分の松明に火を灯してから前に渡す
「流石と言うか本当に気が利きますね、、どっかの誰かさんと違って」
白い方が振り返り、受け取ってから前を照らす
「待って?俺の事じゃないよね?」
寝そべっていた男のエルフは即座に反応した
勢いをつけて起き上がり、グイグイと前に出るが双子からは相手にされないでいる
王国から喫茶ギルドへと馬を走らせ八時間程
余裕を持たせ、しっかりとした休憩も入れた
特に此処まで何の問題も無い、目的地の酒場までも残り数メートルといった所だ
だがエルフ達はこの道のりに良い思い出が無い
少し前、、ライオンの件がある
警戒心も高くなると言うものだ
「少しでもそう思うんなら役立つ機会だ、一応戦闘準備しな」
「真っ暗でも威嚇射撃くらいはしてやるよ」
いつものやり取りではあるのだが
馬車を止める双子のトーンは真剣そのものだ
「えええ!いやいや、そんな、待って下さい?一応此処、ジンさんのお店って喫茶店兼居酒屋ですから!お客さんとかじゃないですかね?」
馬車を降り、苦笑いを浮かべながらもう一つ松明を灯す が
店の中からの灯りは無い
こんな時間、真っ暗な中ポツンと見える何かだ、明らかにおかしい事はリッツでも分かっている
一行はゆっくりと
目を細めつつ、注意深く
距離を詰める
「、、少年?かな」
「ん~? いや、小さいけど出るとこ出てるから女の子じゃね~かな?」
一応は腰元の剣に手を当てながら、眉を寄せる
「あんな小さい子でもまずそこ見るの?」
「引くわ~」
緊張感があるのか無いのか
ぼやっとした照明と話し声にこちらを伺っている様にも見える
黒髪少女
「猫耳付いてんじゃん」
スティルは警戒を解き剣から手を放す
「ライアさんとこの子?ごめんなさい、怖がらせちゃった?」
「灯りの一つも付いてなかったから」
双子も警戒を解き、白い方が膝を折って目線を合わせるのだが
プイッと我関せず
目の前の者達を一切気にしていない素振りで建物の裏へと回る
「あら、行っちゃった」
「ハハ、モミちゃん残念でやんのおおおっと マジで止めて、雑!だし暗闇での不意打ちわやべえええって」
持っていた松明をそのまま軽く振り回したモミジの手をしっかりと掴んだ
ので、火傷はせずに済んだ様だ
「ん~?でもあの子確か前にも、見かけた様な?」
行商人だけが少しだけ追ってから小さく首を傾げる
「あ~しくったな~、そうじゃん姫様「バァ様の所~」って言ってたもんな~」
「ジンさんもあっちだったっけ、あの人は普通の人なんだよね?少なく見ても一週間かかるでしょ」
「、、姫様が無茶したらちょっとくらいは短縮するんじゃない?」
店の前に火を焚き
野営の準備をするエルフを余所に商人は辺りを見回す
「あの子、帰っちゃったんですかね?」
「ん?あ~、ほっといてやんなよ あっちの道に居る連中はなんだかんだ秘密が多いってやつだよ」
「うわ、知ったかぶっちゃって」
「なんでお前が『あっち』を語るの?」
「おうっふ、そんなにちょい詰めばかりされちゃうと俺ほんっと何も言えなくなっちゃうじゃん、もうちょっとだけでも優しくならんもんですかね~ぇ?」
馬を休ませ、積み荷から人数分の酒と軽食を取り出し抱え、配って周る
「いちいち意味ありげな一言を吐くからだろ」
「カエデもう相手にしない方が良いよ、はいはい、ありがとありがと」
「やめい!そういうのが一番くらうんだってば!」
一回り、いつものが終えたくらいで「どうするか」と話し合いになる
と思ったのだが
「ははは、お二人共本当にスティルさんの事好きなんですね~」
余計な事を言った行商人のせいで朝方くらいまでは飲み会となった
「はぁ、なんか面倒臭くなって来ちゃったなぁ」
あの時アイツ
刈り取っておくべきだったか
「もぐもぐ もぐもぐ」
「 破滅 ねぇ 」
「くっだらな」
六章 完
説明会にしようとしたけど七章冒頭の方に回します 笑
やっと六章終わった
五章、六章で詰め込み過ぎてる分?ぐっちゃぐちゃになって無いか心配です
一回ガッツリ説明入れようかな、、でも繋がった時の爽快感が~ってお話も貰ったのであまりそういうのしない方が良かったり?
兎にも角にもまだまだ続きます




