261 理想
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
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「クックック、ハーブの事なら、わ、私に任せておくのが良いのだZE!」
「待って待って、近い!近いっしぃ、何それ流行ってんの?後半の喋り方もおかしいじゃん」
苦虫を噛み潰した表情を浮かべながら眉を寄せ
ツインテールが押し付けられた大きな胸を押す
「むぅ、アル!これはだなロゼの~」
「あ~はいはい!あの子がやるから可愛いんでしょ?ラフィがやると、、ってか元ネタがわっかんないんだよ」
強めに言う事が嫌とか
別にそういう事では無い んだけど
「あそこにあるのはセージ、むむ?あっちからはラベンダーの香りがほんのりと、あっ、あ!ほらほらあっちにも沢山、、」
楽しそうに、嬉しそうに
こちらを伺いながら振り返る友人を見ているだけで口元が緩んでしまう
(テンションたっかいなぁもぉ、、よっぽど、なんだろな、子供なんだから~)
「アル!こっち、ほら!これは痔王競争に効くんだ」
・・・
「、、はぁ、え?なんだって?」
「だからほらコレをみてくれ!コレ、この植物がな?痔王競争にぃ」
すぅ
少女は大きく深呼吸をした
「滋養強壮でしょぉおおがああ!? 痔の王様が競争しちゃってんじゃんかぁ!!」
まだそう遠くない場所
反響した訳では無いのだが通る声でのツッコミはしっかりと届いた
「はぁ、はぁ 全く~」
「あうあう、あののその、すまない、そうだな、確かに痔の話では無いな」
「、、ぷふ、ふふふばっか、もう!全くもうだよ本当に、全くもう」
溜息を吐きながらも堪え切れずに吹き出した
『他愛の無い』
いや、字的に似合わないのであえて書くのなら
『愛のある』
馬鹿みたいなどうでも良い、何の変哲も無い会話だ
本日も晴天
冬にしては暖かい気温、反射する光の中
少女達は本来あるべき表情で森林を歩く
「ふええぁ~あったか~い」
庭先、簡易的に作られている畑の横
暇を持て余した幼女が生首と共に行き倒r、、横になり、溶けている
暫く陽に当たっていたのだろう
「、、あら?貴女もう私に慣れたのかしら?」
多少充電されたのか、生首が急に眼を見開き隣の幼女に語り掛ける
が
「んぇ~?な~に~?」
日向ぼっこ中の吸血鬼にはどうでも良い事らしい
声の方へは振り向かず、子猫の様にゴロンと別方向へと転がる
「随分自由な子供なのね、動けないので対話くらいはして欲しいのだけれど」
「お!目~覚ました?」
後方から声が聞こえた
「おはよう、マスター」
振り向けずに声だけを上げ
少しだけ待ってみると景色が変わり、レンズに見慣れた男の顔が映る
「おはようエバ、もうそろ昼だからおそようって所だけどね」
「おそよう?おそよう、そんな言葉は無いと思うのだけれど?」
「良いの良いの、そういうもんだ」
「、、そう、そういうもん、そういうもの、そうなのね」
(随分と成長した様な、ってかなんなら適応速度で言ったら一番早いんじゃね?)
聞いた事の無い言葉に対しても柔軟に自分の言葉として直し
イントネーションに関しても以前と違い、どこか柔らかささえ感じる
「あ、ねぇエバちょっと色々聞きたい事があるんだけど~大丈夫かな?」
「ちょっと色々、、沢山あるのね?この天候が極端に変わらなければ二時間と五十分程度であれば起きていられるから分かる範囲の事なら対話出来ると思うわ?どうぞ?」
「はは、充電満タンでは無いんだ?そういやソーラー電池って弱いもんね?」
「あら、ご存じなのね」
「俺の知ってるレベルの物では無いとは思うけどね」
(あれ?そうじゃんあの車もソーラーパネル式だったりエコカーだったりしないのかな? まぁ、エバ連れてければ一番良いか)
「あ~実はさ? かくかくしかじかでさ」
・・・・・・
「どういう事なのかしら?」
「え、分からなかった?」
「かくかくしかじかでは分からないわ?」
「そこかよ!いやなんでよ!ソコは違うじゃん、略しましたみたいなさ」
「失礼、冗談よ?マスタージン」
(本当に、適応速度よ!)
「はは、全くすげぇな~、、はぁ、ねぇエバ?」
「何かしら?」
「平和って、なんだと思う」
先程家主に問いた事については残念?な事に伝わらず
幸か不幸か?シャーマンの知識では答えが出なかった
知った方が良いのか
知らないままで居て良いのか
そんな無駄にグズグズな思いを
作られた筈の命が
「、、大好きな、この世界を、守る事、、とか、どうかしら 素敵だと思うのだけれど?」
しっかり考えた様にまだ下手な間を使いながら
「 !? そう だね、本当に そう、その通りだよ」
簡単に
一番理想の言葉を口に出した
懐かしい 176話を参照すると効果が抜群になります




