表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/491

213 花火

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

2/10 21:05


「ソレで最後かしら?」


夜風が白衣の上から羽織ったコートをなびかせる


「モウナイ サイゴ」

木箱を荷台へと乗せ、軽く肉球を払う


「そう、じゃあコレ 3分程で食しなさい」

積み荷の中身を指先で確認を取ってから犬耳に簡易的な食事を渡す


手持ちのコーヒーをすすりながら顎に手を置き、脳内で何度かのシミュレーションを行ってから答えを導き出す


「一時間後で良いわ、この量なら上手くやっても実働出来るのは五分間が限度って所かしらね」


「ンァ! ン イチジカン  ゴフン」

渡された豆の入ったホットドック、半分近くを掌に溢しながら自らの指を折る


「もしすぐに鳴らなかった場合何かがあったと考えて、そうね 三十分だけ様子を見ながら待機しておきなさい」


「ジュップン サンカイ シッテル」


「、、、えぇ間違ってはいないのだけれど、、心配だからコレを持って行きなさい」

フェリスの口元をハンカチで拭き取り、胸ポケットから取り出した物を少し弄ってから首元へとぶら下げる


「ナンダコレ」


(分かり辛かったかしら、話す順番?話し方を間違えたかしら)

返答に不安を覚え、今一度説明に入る


「イイ コレ イッカイナッタライチジカン、、二回目が鳴ったらそれから三十分が経ったという事、分かるかしら?」

前半だけフェリスに合わせて挑戦してみたのだが当人自身が不思議そうな顔をしたのですぐに元へと戻し、続ける

「良い?むやみやたらに争わない事、何か困ったら逃げなさい   アナタには手を出さないと思うのだけれど、、目的と感情を別で考えなさい?」


「モクテキ? ア アラソワナイ?」


「叩いては駄目よ」


「アァ ワカッタ タカカナイ ワカッタ」


(本当に分かったのかしら)

「、、もう時間ねしっかりやるのよ?」

キドナは腕時計をちらりと確認すると犬耳を撫でる


「オォ」

自らの手を旨そうに舐め終え

「オマエモナ」


偉そうな一言を吐き捨てると両手を地に置き、弾丸の様な速度で疾走

乾いた砂埃を撒き散らしその場を後にする


「本当相変わらず凄まじいのね、けどあの子の向かった方向、、やはり聞いていた施設とは違うのね」


キドナは残りのコーヒーを飲み干し、タンブラーを仕舞うと馬車へと乗り込み


目的地へと馬を進める
















「あら、こんな所で、こんばんわ」

キドナは馬車を降りると後方へ小首を傾げる


「そのままお返ししますよ『こんな所で』何をするつもりで?」


「、、元部下の部屋を掃除していたら廃棄物が出て来てしまったの」


「こんな時間に貴女がやる事じゃないでしょう」


「私がゴミ捨てするのはそんなに可笑しいかしら」


「不自然過ぎる、わざわざ施設から距離のある、、」


「フェリスが普通に出て来ちゃう事自体が不自然では無いかしら?  見つける事は容易たやすかったでしょうね、目立っていたもの」



・・・



「早急に目的を教えてもらえますか?」


「目的って、こちらの方が聞きたいくらいなのだけれど? でもまさかあの子がこう動くとは思わなかったのじゃないかしら」


「だからこそ」


「ふふふ、愉快ね」

キドナは嘲笑あざわらうかの様に、そして満足そうに笑みを浮かべる

「さてこんな事で私は消されちゃうのかしら?」


「単純に貴女の働き、能力を失うのはリスクが高いのでそれは、、」


「でしょうね、普通に考えたらフェリスが戻った事を早く報告するべきだと思うのだけれど  まぁ、どうせならアナタも見て行くと良いわ」


荷台部分のカバーを外し手に持つ糸へ火を付ける


!?


見慣れない機器と行動に男は警戒し、構える


「大丈夫よ、こういう物、、らしいのだから」


付けた火を筒状の器具へと連投すると荷台から飛び降りる





(あの子達の見たかった物がこんな使われ方をするなんて、皮肉な物ね)





荷馬車からは多少の火花が撒き散らかってから大きな音が鳴り



季節外れの空に大輪の花が咲いた


本当の伏線回収

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ