20 王国
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
8/13 15:30
シエルとシフは港町の図書館にいた
「結局お昼ご飯すら食べなかったですね~」
シエルは他国の過去に起こった記事に黙々と目を通す
「何時頃帰る準備します?」
集中しているのかわざとなのか図書館に着いてから一言も喋らずに読み漁っている
王国ディーン
戦の神と呼ばれた大王ディーン 詩や物語、神と称える信仰まであるほどの人物だ
魔法の才は1つにとどまらず
金色の甲冑を身に纏い青いマントを翻し
馬に乗れば空を駆け
ひとたび槍を放てば国が無くなる・・・
その他ありとあらゆる伝説が延々と謳われた天才である
(はっ、胡散臭い)
どこまでが本当なのかは分からないが一つの国が短期間で王都と変わらない程大きく発展したのも事実
優れている事は間違いない
(あのおっさん全てが完璧過ぎるからキモいんだよな、、あぁ、この記事だ)
10年前に一度だけ
『王は暗殺され王子は誘拐された 犯人は一般兵!!』
そんな記事が流れ世界は震撼した
だが王国に表立った動きはなくデマか注目を集める為の手法だと呼ばれていた
実際、シエルは5年前に王都で行われた総会にてディーン王とは対面している
王子とは幼少期に1度だけ会った事がある程度、そしてその王子の名前が
『バル』
(同名であれ、王族の名前を名乗るか? このタイミングで? 奴は本物ではない 瞳の色が違う だが、何かが引っかかる)
「お腹すかないんですか~?」
蜂蜜の香りがすると同時に目の前に簡素なクレープが出て来た
「もうそろそろ出ないと真っ暗になっちゃうので今日は帰りますよ?」
「ん」
具材無し、蜂蜜のみで出来たクレープを奪い取り
外に出ると既に日は陰っている
「みまなんにだ?」
「食べてから喋ってください? えーっと、もうそろ19時過ぎですかね」
「、、は?」
「え?」
・・・
もぐもぐもぐ
むぐむぐむぐ
きちんとクレープを味わってから飲み込み
今一度
「いやいやいや え?」
「え?」
「え? じゃねえだろが、早く言えよ」
「言いましたよ?何十回も!」
「クソが、泊まる金なんか無いからな」
従者の腕をガシガシと殴る
「イタイイタイ 知ってますよ~ 王都まで行く馬車で夜盗除けの仕事を受けたので大丈夫ですってば~」
「 私は働かんぞ」
「ニート宣言です? もう一人同行者いるみたいなので狭いのだけ我慢してもらえれ、、ば?」
急に
ガシャ ガキン
金属音が聞こえた
一気に二人の目付きが変わり、構えると耳に注意を向ける
(どっち側だ?近くに聞こえたが)
ガチャ ガチャガチャ ガシャン
(外 か)
駆け足で合流地点に向かうと早速戦闘になっている様子だ
シエルは魔力識別の範囲を広げ感知魔法として様子を伺う
「 20は居る ちっ、高い魔力持ちが一人いるぞ」
「夜盗ってこんな町中に出ます?」
シフは腰元のファルシオンを抜き先導しながら辺りを見渡す
「え!? あれって」
シフが目を凝らし100m程先にいる生き物を発見し
衝撃を受ける
人間の下半身半分が蜘蛛の足になった様な化け物が数体
ガサガサ ガキガキ ギリギリギリ
「明らかに夜盗では無いな」
「蟷螂の次は蜘蛛ですか」
ギギギ ガチャ
例のカマキリ人間と違い、クモの様な下半身は機械で出来ている
「なんかグレードアップしてません!?」
ガチャ カシャ カシャカシャカシャカシャ
シフを見つけると凄い速さで迫ってくる
(この武器では相性が悪いな どうする)
周りを見渡すが異形の足を破壊出来そうな獲物がある訳も無く
「駄目だ、シエル様一旦引きましょう」
勢いよく反転しファルシオンを収めるとシエルを片手に抱えて走る
「うぉ! ん おい おーい」
小脇に抱えられながら後方を確認すると足をバタつかせる
「え? は、はい? なにか言いました?」
「降ろせ馬鹿!運が良かったらしいぞ! 魔力持ちはどうやら」
ガチャガチャン ガジャア
ガシャン ガチャア!
ガチャア! ガシャン!!ガッシャーン
「味方らしい」
破片の様なものが巫女達の近くまで
いや
シフの横を通り越し飛び散って行く
クレープ屋は少し嫌な顔をして焼いてくれています




