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192 瘴気

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

2/13 13:00


「ここに来て7~8年程が経った頃、今から計算すると12年くらい前の事です」

ご丁寧に従者はいらない現代からの計算も交えて話し始める


先程、老紳士が酒と軽食やらのおかわりを二個目のキッチンワゴンと共に持って来た所だ


とてもじゃないが水以外を口にする気にはなれないのだが、気合を入れるのに強めの酒を一口だけ口に含んだ


「お~、待て待てその前にそのおチビはなんで狙われとるんじゃ? 状況からするに巫女らの襲撃者と言うよりは当主を殺害しに来たんじゃろアイツら、それにニールって騎士も敵側だった場合良く分からんぞ?どっちかと言うと形的に手助けんなった訳じゃから」


「確かにな」

巫女は一旦口の周りを拭ってから今度は酒に手を伸ばす

(わんぱくだな~)


「まとめて排除、でも狙っていたのでしょうか?」

バルは水を二つ注ぎエルフとシフへと配布する


「あぁすまん、ありがとう、、、あの、私にはいまいちピンと来ないのだが、そもそもなんで巫女殿もジン殿も、シフ殿の故郷もロゼッタもそれに、、バルも、何故  命を狙われなくてはならないのだ?」


本当にその通りだ


エルフは悲しそうに、悔しそうに自らの素直な疑問を吐き出す


綺麗事の様な台詞

ラフィの性格では理解が出来ないのもしょうがないのかもしれない


舌打ちでは無く、小さく溜息が聞こえてから巫女が語り始める


「簡単な事だ、東の国に撒かれたのは恐らくゾンビパウダーって代物、水源にでもやられたんだろうな、私も実在するとは思わなかったが」

ベットから足を下ろし立ち上がると自分の飲んでいた酒瓶をラフィに渡す

「噂や記事だけでの考察では呪術や魔法だと思っていた、、ディーン王国からの光でウイルスを除去したってのは要するに証拠隠滅したんだろ、何に使うのかは分からんがもし戦争でもするんなら強化兵が作れるな」


「強化兵!?」

目を輝かせながら幼女が声を上げるがすぐに従者に取り押さえられた


「そこの胸無しチビが狙われてる理由は分からんがバル王子の場合は何かしらを知ってしまっていたって所だろ、それに私も、、要するに『邪魔』なんだろ?」


(あれ、俺の理由は?  胸無しチビは何?わざとなの?)



わたくしからも少し、宜しいでしょうか」


三台目のキッチンワゴンが到着したと同時に紳士が一礼する


ありがたい事にワゴンには新品のタオルやぬるま湯、消毒液から消臭剤まで乗っている


「執事、すげぇっスねほんっとありがたいっス」

早速ぬるま湯に軽くタオルを漬け、顔中から首、胸、脇と拭いまくる


「カカカ、おっさんじゃのぉ」


「あ~おっさんだよ、いんだよ、全然テンションが変わるってもんだ」


いまだに扉の少し向こうでは悲惨な光景が広がっている事を簡単に忘れる事は出来ない、だが気分としては大分違うってものだ


老紳士はそんなジンを見て一度微笑み話を始めた


わたくし達がここに館を建てたのには理由がありまして、シフは偶々保護したに過ぎませんでした」


「うそぉ、くそっ、重い感動的な話からの!?」

再び首周りを拭いながら年上に営業する時の様なテンションになる


「ふふふ、そもそもなのですがこの屋敷にはもう一方が共に生活をしておりました、、それはそれは美しく、優しい方でした」



・・・



「そう、ね」


幼女が眉を寄せ、普通の返答をした事にいささか抵抗があったのだがジルバはそのまま話を続けた


「その方とお嬢様でこの地を鎮める為に、旦那様の遺言通りやって来たのです」




聞けばその光が原因なのか巨大な穴が開き、ゾンビパウダーの影響なのか東の国からは日々大量の瘴気が立ち込めているらしく

それを『その方』とロゼッタで『なんとか』しに来たのだという



ちなみに『その方』

先代、所謂いわゆる旦那様

あ~、そこに居る幼女ロゼッタの父親の友人で特別な力があって


なにやら





傷を治癒が出来たんだとか


そろそろ一度まとめ入れねば

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