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171 瑣末

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

2/10 21:30


「も~! もお~」


ツインテールを揺らしながらカチカチと足を鳴らし、少女が牛の様に唸っている


「あっはっは、だからエバが言うたじゃろ~アルも聞かん子じゃの~」


「糖分が多過ぎるのよ? 焼く前に散々言ったと思うのだけれど砂糖が卵、アミノ酸に反応して出来る物質が、、、」


「アル!大丈夫だ私は本気であげる相手もいない、私の分を全部持っていってくれて構わないのだぞ」


亭主がいつもいる場所付近が占領され、美女達がキャッキャウフフと戯れている、、様に見える



「う~ん、やっぱ良いね~!」


広めの座敷で顔を緩ませているのはこの店の亭主だ

女性らが始める前に全員分のエプロンを渡し、眺めながら漬物だけで一杯始めている


「やっぱりジンさんは少し変わっていると言うか何と言うか、、」


隣で夕食を食べているのは先程依頼を終え帰って来たバル、王子だ


「いやいやいや!バルももうちょい年食えば分かるって、こんなん恥でも何とも無いんだぜ?」


そういう事でも無いのだが


「そんなもんなんですかね~?」


軽く流してはいるが馬鹿話をするジンの言動を迷惑がっている訳では無い

むしろありがたいとさえ感じている


「え~!?ちょっとも分かんない? ほら、アイツらつらは良いじゃんか!面わ!」

大事な事では無いのだがわざと連呼した


「ん~まぁ確かに中身どうこう無しに美人揃いではありますよね」


「だろぉ!しかもよ? それでいて、エプロンよ!?」


「え、エプロンに興奮してたんですか?」


「ちっが~、わない可能性も無きにしもあらずだけども! く~彼女でも作るか~」


半分強引的にボケ倒したが決して酔っている訳では無い

まだまだこの立ち位置の方がお互いに楽だろう?と言う年上からの気遣いだ


「自分的には見た目がどうとかよりも今あの場のあの火力が凄い心配ですけどね」

従者もバルとは逆隣で酒を付き合ってくれているのだが厨房から立ち昇る火が心配で目が離せないでいる


「ま、まぁ大丈夫だろ?エバに温度気を付けてって言ってるし」


「でもあのカセンさんの足元のたきぎ、量的に多分ストックからも持って来てると思うんですよね? いえ自分はまぁ良いんですけどね?いっその事外でキャンプファイヤーでもした方が、、」

「うん!ちょっと注意して来らぁ」


従者の冷静な観察報告だけではなく、ふとエバの特性を考え身体が動いた


(エバ的に『気を付ける温度』が違うかも知れない、ってかシフも行けって言ってるよね?)

ジンは座敷からスリッパへと手を伸ばす




「何故忠告を聞かなかったのかしら」


「だって~甘ければ甘いだけ美味しい!ってシエルが~」


「理解に苦しむのだけれど?」


「そんなに!?そんな言う程? え~まだ全然食べれるくらいだと思うんだけどな~」

少し上部分が焦げたクッキーなのかパンなのか分からない物体をトングで掴み皿へと移す


「ん     美味い美味い」


立ち昇る炎から少しだけ距離を置き、椅子を置き、暖を取りながら失敗作を淡々と処分しているのは銀髪の少女?だ


(そんなのばっか食っててくもまぁ腹壊さないよな~)

「本当に美味いか?」

ジンが巫女の顔を覗く


サクサクと?いや、ザクザクと咀嚼、口元を鳴らし終え右手のウイスキーを流し込む



・・・



「やらんぞ?」

左手に持つ不思議な物体を後ろへ引きながら眉を寄せる


「いやいらねぇよ!」

(え、何?この子盗るとでも思ったの?)


つい大きな声でツッコみ、他の女性陣と目が合う


「む、なんだ?ジン殿の分はちゃんと取ってあるからそんなに心配しなくても大丈夫だぞ? その、一応だな?私からも気持ち程度なのだが、、」


(うん、さっき「本気」であげる相手いないって言ってたもんね)


「お~なんじゃジンもおかわりか? カカカ、それならついでにあっしの分も持って来てくれぃ」


(そんなペース早くないし、お前はそればっかだな)


「マスタージン、、火の管理は問題無いわよ? 部屋全体の室温は約23度程度、湯を沸かしているので湿度も50~60パーセントを保てている、窓も複数開けているしまだまだ酸欠になる様な事も無いわ、それとも何か別の用なのかしら」



「ちっがうわ、全部違う! と思ったけどエバに関してはちょっと合ってたわ、けどこの火力はいらんでしょ~も~どいつもこいつも~」

ジンは軍手を手に取りたきぎの量を調整しつつ小言を言う

つらは良いんだよな、面わ!)



「はぁ、で?どんな感じなん」

パンパンと手を叩きツインテールに目を向ける


長くなってしまったので自分的には2話に分けた様なほのぼの会です

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