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15 店名

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

8/13 8:00


「あち~ うは~ やべ~」

黒髪黒眼の純日本人 亭主の新島 仁 (にいじまひとし)三十路

通称ジンはカウンターでうなだれている


ここはしがない喫茶店


店名は「ギルド」


カウンターの端には猫程のサイズをしたクマのぬいぐるみとファンタジーな本が一冊立てかけられている


季節は夏




『あの日』から4ヶ月後である





(くそ~、転生と個人事業主! なめてた~)

正直転生した先でどうにもならないって程困る事はそんなに無かった

言葉にせよ、食事にせよ

新鮮な事は今だにあるし不思議に思う事も度々出て来る

そこそこ柔軟に対応できているとは思うのだが、、、



『電気』と言う概念が無いのだ



(エアコン、、せめて扇風機がほしい)

「なぁなぁキーロ、氷結石加工して持って歩くとか壁に埋めるとか色々作れるんじゃないの?」

氷結石とはその名の通り冷たい石だ、ここの奥の部屋にも冷蔵庫、保存庫として使われている


「それは面白いアイデアかもですねジンさん、でも埋めちゃうと冬寒いですよ?」

このキーロも黒髪黒眼の純日本人、記憶は無いが転生者だ

足は悪いが俺と違い爽やかな眼鏡の優男である


父親の『ダンク工房』を掛け持ち、状況を見ながらこっちも色々と手伝ってくれている(現状無給だが)



「お~お~そういえば王宮には保存庫以外にもそんな部屋があったのう」


「カセンが殴り込みに行った時に見たのか?」


「お~? 手は出してないんじゃが?」

カセンは赤髪ロングを一本結びにし法被の様な?和装の様な服装をした酒豪の鬼だ

一番最初に支給された報酬が一升瓶1本だった為その日のうちに王宮へとカチコ、、物言いに向かったのである


「そもそもあっしが話を通して無かったらこの店、潰れとるんじゃあないんか?」


「うぐ  ま、まだ大丈夫だよ 依頼の方があるし」


土地 店を購入し行商人を雇い残り額は200万程

固定客と呼べるのはキーロを抜かすといまだ4人(カセンも入ってます)

保管庫やら釜等はあった物をそのまま使えているので助かっているのだが

(居抜き物件ってやつだ 電気が無いのでレンジもトースターも もちろんない)


そう ギリギリなのだ


秘策はあったのだが、、なんせ! とにかく!! 客が来ない!!!


と言うか『人』が来ないのだ

『王都が関与しない』と言うだけでこんなにも差があるのかと危機を覚えた程だ



いや、問題は恐らくそれだけじゃない



例のカマキリやヴァンパイアの情報が一切上がって来ないのだ


そのせいで


王都の住人も

港側の町も

エルフがいるって森からも

炭鉱やら遺跡やらなんやらかんやらも

通過点のハズなのだが留まる者はいない


要は『避けられている』んだと思う


(ダブルパンチで立ち上げて早々ピンチである)


一ヶ月くらいまでは様子を見たが何も変わらなかった

そこでここ二~三ヶ月目から秘策を使う事になったのである

(そのおかげで多少は利益を生み出せているって訳だ)



秘策は2つだ


1つ目、カセン宛に配給される酒はここに来る なのでそれを使い利益を出す事

(まぁほとんどこの娘飲んじゃうんですけどね)

ちょっとズルイかもしれないが場所代として考えてもらってもカセンにマイナスは無い訳だ



そしてメインである2つ目

(っていうより店をやる事を後押ししたきっかけはコレだ)

店の名前のとおり『ギルド』として情報を集約し受注出来る場を設ける事である


俺はキーロとカセンとの会食後も『あの日』の事をずっと考えていた


魔物が頻繁に出てきた

討伐隊を王都から送る

討伐隊が来る前に被害が起こる

ここまでの流れ



自分が転生されてすぐにこの流れだ


タイミングが良すぎる気がしていた



言うてこんな事なんか一人で考えても答えなんて出ない

そう思っていたのだが


(ん、今日もそろそろ来るか?)



コツコツ


キィ



「腹減った、飯よこせ」


この綺麗な銀髪

透き通る様な水色の瞳を持つロリっ娘はかの有名な王都大聖堂の巫女 シエル


「おはよう御座います皆さん、今日も変わらずのメンバーなんですね~」

こっちのだいだい色の髪が跳ねた中性的な青年はシフ 巫女様の従者である


「悔しいが変わらずなんだよ~誰か呼べないの!? 巫女様御一行なんでしょ? あと言っておくけど報酬分は昨日までで終了だから今日はご飯無いよ」


「あ? なんでだ、依頼は達成しただろうが 殺すぞ?」

この口の悪さよ


「半分のみだからだよ! なんでやるだけやって報告して来てないんだよ」


「ここで受けたんだ報告もここだろうが」


「ちゃんと依頼表に目を通してくれよ~  あの依頼は前金で半分報告後で半分、だからあちらさんが確認取れても全額届くまではこっちの負担になっちゃうでしょうよ、、はぁ  パンで良い?」

この巫女様と揉めるのはどう転んでも得策ではない

のでパン程度で収まるのなら賢い選択だろう


「良かったですね!シエル様」


「ん、美味い美味い」



店を買う 一週間程前だ



この二人が村の宿舎に住み込むようになったのは


一章スタートです


ありがたい事に少しづつですが反響を頂けたので短めにして日々更新かけて行ける様にしてみようと思います



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