124 喫茶
本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい
12/13 11:40
(さみ~ うは~ やべ~)
黒髪黒眼の純日本人 亭主の新島 仁 (にいじまひとし)三十路
通称ジンはキッチンの火で暖をとっている
ここはしがない喫茶店
店名は「ギルド」
カウンターの端には猫程のサイズをしたクマのぬいぐるみとファンタジーな本それと青いリボンをした兎が並んでいる
季節は冬
『あの日』から3~4ヶ月後である
「ん!」
おかわりをよこせとばかりに皿をジンの目の前に置く
「ん! じゃないでしょう、おかわりってちゃんと言いなさい、天下の巫女様なんだろ?」
「 おかわり」
少し間が空いたが照れる仕草も無ければイラつく様な顔もしない
「うむ、素直でよろしい」
(あれ?前にもこんなやり取りした様な)
「ん、美味い美味い」
その小さな両手で昨日仕込んだポークカレーを頬張っている
この綺麗な銀髪
透き通る様な水色の瞳を持つロリっ娘はかの有名な王都大聖堂の巫女 シエル
「美味しいですか~シエル様」
こっちの橙色のハネた髪のニコニコしたロリコ、、青年はシフ 巫女様の従者である
「いらっしゃいませ~何名様ですか~?、、、ジン~四人席四名様~全員ホットコーヒーだってさ~、ご飯食べないのかな?」
カチカチと足音を鳴らしながらカウンターへ向かって来る
「さんを付ける、、せめて仕事中は敬語」
この少し生意気な紺色髪のツインテールを揺らす娘はアル うちのウエイトレスだ
(今月から女性陣はサンタ服です、シエルにも着せてます、ハイ)
「アル~おかわりじゃ~」
座敷からもサンタ服を着た従業員の声がする
「も~、なんでカセンはあれで良いのよ~ ズルいな~」
アルは抱いていた黒猫をカウンターへと置き、ぶ~たれながらも奥の保存庫へと足を向ける
置かれたこの子猫はルト
そして座敷で昼前から客と呑んでいる赤鬼はカセン、いつもは赤髪ロングを一本結びにし法被の様な?和装を着ている酒豪だ
「ジンさん、今日の分の水汲みと撒き割り終了しました」
「流石早いな~ありがとね、ご苦労さん」
「いやいや、これくらい何て事は無い ジン殿、私もかれーらいすを所望するぞ?」
ささっとルーティンワークを終わらせカウンターへ腰掛ける二人
主人公ですと言わんばかりの金髪金眼のバル、うちの中では優秀な冒険者だ
隣に座りながらそのエメラルド色の瞳は鍋しか見ていない金髪ショートはラフィ
エルフ族の長で見るからにザ・エルフ
「ちょ!ちょちょラフィ めくれてるめくれてる!」
ツインテールが追加の酒を抱えながらエルフの座る椅子、スカートに駆け寄る
「え? あぁ、あああおお? あのの大丈夫、大丈夫だ」
もとい ザ・アホの子である
「こんにちは~、今日は港町からの依頼を持って来ましたよ~」
扉を開く音と共に茶髪の若者が入って来る
「お、おん ありがとう、、ね? もう少し抑えて取って来ても良いんだよ?」
「いえいえ~全然抑さえてますよ? 美味しい依頼優先してますし、あ!制服やっぱり可愛いですね~」
朝から軽快に営業スマイルで大量の書類を抱えているのはリッツ うちの契約商人だ
さて、何処から説明していくかと言う所だが先に聞いてくれ
好きでこんな格好をさせている訳じゃないんだ(いや、好きだけどね)
しょうがない、そう仕方なく作ったのだ
ディーン王国から帰って来て少ししたくらいか
商人リッツの広告効果、誘拐事件を解決したギルドと言う事が広まり客足が増えて来た訳だが
それだけではない
片腕の無い全裸の少女
それを抱き抱えていたのが
下着姿のメイド
もう一人は大剣を持ち男を背負う
血塗れの露出狂
決め手はディーン王国の有名なラボにて大声を荒げ泣き叫ぶ片手の折れた男
何かのイベントにでも見えたのか不思議と大事にはならなかった
最初のうちは依頼目当てで客が増えて来たかと思っていたさ
来る人来る人
「あれ、女の子は?」
やら
「普通の喫茶店!?」
挙句
「エッチな店じゃないの?」
と言う輩まで来る始末
ちげえええええええええええよぉぉおお!
しかしだ
依頼目当てでは無い客など今までいなかった訳で、、
コレは好機!チャンスだとは思った
結果がコレ
コンセプトカフェですよ
しょうがない
そう
仕方がないのだ
やっと時が進みましたね




