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98 代償

本作品は群像劇です、目線、日時にご注意下さい

8/23 23:00


「、、、何時間落ちてた」


「おはようございます、恐らく3時間くらいかと」


突然喋り出す銀髪の少女?の問いに即応対し従者は横に置いてある水に手を伸ばす


「とりあえずお水どうぞ、起きれますか?」


「無理」

巫女は目だけをぼやっと開け、指一本として動かさない



いや、動かせないのだ



口元、頬の下に置かれた布にはシエル本人の血が付着しており

喉で固まらないように横向きに寝かされている



「まず口の中拭きますんで噛まないで下さいね~」

指に綺麗な布を巻き少し水で湿らせると巫女の小さな口の中を掃除する



「はい、オッケーです 寒くないですか?」


「分からん」


「白湯にしましょうか?」


「ん」


「じゃあちょっと沸かして来ますね」


出て行く従者の背中を目で追ってから見える範囲の確認をする


(あれは、、私の か)


頻繁にシフが取り換えていたのだろう、床には血の付いた衣類やシーツが置かれている


(記憶が 無い、あの猫娘はどうなった 死んだか?)


軽く思考を巡らせ

もし救えていた場合、シフの事だ目の届く位置で様子を見るだろう

、、と静寂の中、耳に意識を集中する



・・・・・・



巫女の背中の方から微かだが寝息が聞こえる



確信が持てた



巫女は満足した様に再び目を瞑る
















「では私は宿を取ってありますので心苦しいですがそろそろおいとましますね」


「いや~、ありがとね二度手間させちゃったし」


「カカカカ、王都でもこんなに飲めるとは思わんかったよ」


茶髪の青年リッツを喫茶店のマスターとご機嫌の赤鬼が聖堂の門まで見送っている所だ


「いえいえこのくらい! 貴重な体験もさせて頂きましたし、ご飯までご馳走になっちゃいましたし」

(神父様にも恩を売れましたし)



リッツはジンが目を覚まし話している間、カセンの為に酒を買いに行っていたのだが部屋へ戻ると今度はジンに頼まれ再び食料や医療品の買い出しへと向かった


ジンは神父ゼブラに治療してもらった事、一泊させて貰う事 等々、様々な恩があるのだが

何よりも、ももを治したシエルへの薬 起きたら食べられる様に、を考えせめてもの礼にと聖堂の台所を使い全員に料理を振舞った



「仕込みも何も出来なかったからあんなもんだけど、今度店来た時にはもう少し手の込んだやつ振舞うよ」


「それは楽しみですね~、では おやすみなさい」

行商人は軽く会釈し馬車を走らせる



「さ~て、あっしはももの様子でも見に行くかの」


「あ、俺も! シエルの事も気になるし」


ジンも分かってはいる、、つもりだ

遺跡でアルやバルの腕を治癒した時にも見ていた


(MPと言う概念など無い)


『魔法の使用には自分自身の生命力を使う』


(つまりは自分の身を削っている訳で)


『治癒魔法は特殊で他の魔法よりも負担が大きい』


(しんどいハズ、、なんだよな)



そう考えていると二人は部屋を出て来た従者と目が合う


「目~覚ましたかの?」


「えぇ、先程 ちょっとお湯沸かして来ますね」


「あ、シフの分も台所にあるから温め直して食べてよ」


「そうですか、ありがとうございます 食べれそうな物であればシエル様の分も一緒に持って来ますね」

従者は軽く微笑んで見せるがどこかぎこちなく見える



「、、疲れてん だろな」

そう見えた


少なくとも



目の前のドアを開けるまでは


ちゃんとお粥も作ってありますよ

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