悪役令嬢は軌道修正を試みます!
ブクマと評価ありがとうございます!(T▽T)
皆さんはご存知でしょうか。オタクにとって「解釈違い」がどれ程地雷であるかを。下手をしたらその作品全てが嫌になることもあるのです。反対にそれを乗り越えてむしろ前よりもっと好きになることもありますけど。
本当にどうしましょう。昨日のやり取りでどうやらレオンは私のことが好きらしいという事実が発覚してしまった。キスまでされそうになりましたし。
おかしいなぁ好かれる要素なんかなかったとおもうのですが。
ぶっちゃけ今世の私の容姿は悪くない。透明感のあるさらさらの銀色の髪に肌は白くて、目はぱっちり二重です。
でもレオンやルイスの桁違いの美人達には全然叶わないのに。
それに性格だって良い方じゃないし、悪役令嬢になる為に変なこともしたし。どこで惚れられたのやら。
あぁ私も鈍い系もしくは難聴系主人公みたいなら良かったのにー!そしたらスルー出来たのに!
……は!それいいのでは?!鈍い系を演じるのもありですね!
別にレオンが嫌いなわけではないのです。むしろ顔とか声とかとっても好みですが、相手が私であるのは、駄目。前にも言いましたが全然萌えない。それに3次元怖いし。
申し訳ないですが、私のことはキッパリ諦めて頂き、ルイスとくっついてもらわねば!
とにかく早く具体的な作戦を、と意気込んでいると、自室のドアがノックされました。
「はい?」
返事をするとうちの使用人のロゼが顔を出す。
「お嬢様、殿下がお見えです。」
「え!?」
嘘でしょ!?心の準備も作戦も出来てない!
「か、風邪を引いていて会えないって言って帰ってもらって!」
「ほう?俺には元気なように見えるが?」
ロゼの後ろからレオンが顔を出した。
ロゼェエエ工!?なに主人の許可なしに客人通してるんですか!?寝起きとかだったらどうする気だったのです!!?
「では、お嬢様私は失礼しますね」
待って!ちょっと!もう行くのですか!?二人きりにしないでー!
無慈悲にも部屋のドアが閉まる。
「ででで殿下、お久しぶりです……」
顔を見ることが出来ず俯いてだがやっとの思いで声を出す。
「昨日会っただろう。」
「ハイソウデシタ。」
「それで昨日のことだが」
びくっと私の身体が跳ねる。
何言われるのか、怖い。
嫌……。
こうなれば先手必勝!!
「私、恋愛小説読んだのです!」
「…………は?」
「それであまりに素敵な物語だったから役になりきってみたくて!!」
我ながらむちゃくちゃだー!!泣きそう!
「つまり……ごっこ遊びがしたかった、と?」
「は、はい……申し訳ありません……。婚約者のいる身で他の殿方と、というわけにもいきませんし……」
「…………あの後よく考えてな。おかしいと思ったんだ。昔から俺は恋愛対象として見られてないし、婚約破棄なんて言葉を嬉しそうに口にしたりするし。嫉妬なんかするわけないよなって。」
「…………えっと」
なんかレオンが捨てられた犬みたいな顔になってきた。やばいなに?めちゃくちゃ胸痛いんですが。罪悪感半端ないよ?でもこれでレオンが呆れ果てて婚約破棄ルートになったりしないかなぁ……。
愛のムチだから!あなたがルイスとハッピーエンドに行く為の!今は耐えて!
「……でもいい機会だ。リリア、よく聞けよ」
「な、なんでしょう……」
これで、上手く軌道修正できれば!!
「俺は、演技じゃなかったわけだ。わかるか。」
「…………」
だよねー!!
「俺はお前が、お前のことがずっと前から「わぁぁぁぁあ忘れてましたぁあああ!今日は、お茶会に招待されてるんでしたわぁあ!」
聞いたらまずい。これは聞いてはいけないやつ。そう思うと思わず声を上げていた。
「おい、」
「殿下、申し訳ありませんが失礼しますね!」
そう言って自室を出たけどレオンも後を追ってローカに出てきた。
「待てリリア!こら!聞け!」
「嫌です!」
ハッしまったつい本音が!
「〜〜〜っお前!ふざけんなよ!昨日無駄に期待させやがったくせに!」
ごもっともだけど!
カツカツと2人で凄まじいスピードで、ローカを歩く。突き当たりの部屋に逃げ込もうとドアノブに手をかけたが、後ろからドアを抑えられた。ついでに身体もドアとレオンに挟まれ動けなくなる。
「……お前が俺のことをどう思ってるにしても……婚約破棄なんかしてやらないからな。……一生離してやる気もない。」
後ろから耳元で言われ、背筋がゾクゾクする!いやぁぁぁぁぁ!
「覚悟してろ」
私はどこで間違ったの?昨日?それともずっと前から??
オタクは3次元に免疫ないって言ったよね……もうキャパオーバーです。
そう思ったのを最後に私は意識を手放したのだった。
ここからレオンとリリアの攻防がはじまります。