今日こそ、婚約破棄!
プロローグ的な話。多分こんな感じのテンションで話が進むと思います( ˇωˇ )
私は待っていたのだ。今日この時を。
今日こそ、無駄に眩しい金髪の王子からあの言葉を言わせることができるはず!!
さぁ!どんとこい!
「リリア!また君は幼子のようなイタズラをして!!ルイス嬢に謝るんだ!」
「嫌です。その子嫌いなんですもの。」
フンっとこの無駄に眩しい王子から目を逸らす。
王子の横では、先程ルイスと呼ばれたそれはそれは可愛らしい女の子がおろおろした様子で立っている。
本当はルイスのこと全然嫌いじゃない。むしろ大好き。ふわふわしてて優しくて可愛らしい姿と声。もう撫で回したいくらい私の好みの女の子。あ、恋愛対象って訳では無いわよ?
でもね、私はこの子をいびり倒さなきゃいけないの。何故ならば、私は完全な悪役令嬢になり、この王子と婚約破棄し、ルイスと王子を結婚させたいのだから!
「そんな態度を取り続けるというのならこちらにも考えがあるぞ……」
「婚約破棄ですか!?」
「…………は?」
しまった。嬉しさのあまり先走って言葉が出てしまった。ついでに表情もワクワクウキウキな感じになってしまったかもしれない。王子がポカンと口を開けて間抜けな顔になっている。
「…………何故そうなる……。というか、何故そんな嬉しそうに言う……。」
唸るような声で王子が言う。
「……考えというのはね……1週間俺が付きっきりで一日中勉強することだよ」
「……へ?」
その瞬間、これまでのスパルタ勉強タイムが走馬灯の様に頭をよぎる。まじで怖いのだ。もう鬼畜と言っても良いほどに。
それが1週間だなんて……無理……死んじゃう!!
あと一人称が、いつも人前では「私」なのに「俺」になってる……。あれ、なんかガチギレしてる?!
「る、ルイスさん謝りますわ!カエルを投げつけたり、出涸らしの紅茶を飲ませたり、目の前でヒソヒソ話をして申し訳ありませんでしたー!」
「い、いえ良いのですよ。今後気をつけて頂ければ」
……なんか口に出すと自分でもしょうもなさすぎて、恥ずかしくなってきたな……。うん、最近婚約破棄上手く出来なくてヤケになってたものね…。
「……リリア?よかったね。ルイス嬢に許してもらえて」
全然目が笑っていない王子が徐に近づいてきた。私は嫌な予感がし逃げようとしたが間に合わなかった。王子に手首を掴まれたのだ。
「でも、俺は許さないよ?嬉しそうに婚約破棄なんて言葉を口にしたこと。」
王子にズルズルと引きずられる。
「で、殿下……あ、あのどちらへ」
「いつも、言ってるだろ。殿下じゃなくて、レオンだ。婚約者なんだから名前で呼べ。」
さらにイライラしたようにいう王子、もといレオンに、質問の答えになってないじゃんと内心涙目になりながらも、為す術もない。
「ルイス嬢。私の婚約者が、迷惑をかけて本当にすまなかったな。」
「ふふ。可愛らしいものです。私は大丈夫ですよ。でもリリア様ご自分の為にもちゃんと淑女らしい振舞いをしてくださいね。殿下もお仕置は程々になさってあげてくださいね。」
花が咲いたような笑顔で微笑むルイス。あぁ、やっぱりルイスは可愛らしいなぁ。好き。
「……リリアの態度次第だ。」
不穏なセリフを低い声で吐くレオンに私は怯えるしかなかった。
その後、レオンの自室にて1週間みっちりお仕置をされるのだった。
あぁー、また失敗かぁ……。クソ、次こそは!!
婚約破棄成功させるぞー!!!