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第5話 シズカの思い シズカ視点

 

「ッよ!お嬢ちゃん達。先に始めちゃってるぜ!って言っても元々俺らが来た時にはすでにお前さんとこのリーダーが上機嫌で一人で飲み始めてたから文句ならリーダーに直接言ってくれよ!」


「3人ともウロチョロいているとバカな男どもに絡まれるわよ。こっちで一緒に私たちと飲みましょう」


「バカとはなんだ、バカとは。お酒の席なんだから楽しまなきゃ意味ないだろ。

 3人ともそう思うよな?」


 私たちが居酒屋に入ったとき集合時間前にも関わらず、ほとんどのメンバーが集まっていて打ち上げが開始されていた。

 既に酔っている人から考えながら飲んでる人、グリスがいる席に行くまでにも様々な人に声をかけられた。


「よう、お前らやっと来たか!」


「グリスさんがこんなに飲んでいるなんて珍しいですね。」


「うっわ~!グリスもう酒臭いよ!」


「明日出発なんだからほどほどにしなよ」


 居酒屋に入ってすぐに『オリオンハート』のリーダー、ガビルが言っていたことは正しいく。今日はご機嫌なようで普段あまりお酒を飲まないグリスだが彼の目の前には何本もの空き瓶が置いてあり彼自身もかなり酔っているようだった。

 そんな彼に対しフランもニアも楽しそうに声をかけている。もちろん私も忠告はするが今日はせっかくの祝い酒だ、あくまで形の上の忠告なため例え酔いつぶれても文句は言うつもりないし私自身もここのところドアルゴ討伐に集中するため基本お酒を抜いていたため久しぶりのお酒、それもスバルと一緒に飲むことが出来ると、この打ち上げを楽しみにしていた一人でもある。


「ところでグリス、スバルはまだ来てないのかな?」


「ああ、奴ならパーティーを抜けた、いや抜けさせたよ。

 あいつは俺様たち鉄火の牙の実力に達していない、今回改めて他のSランクパーティーの回復魔術師たちと比べ明らかに劣っていることが分かったからな。追放してやったわ、追放!」


 グリスや他のSランクパーティーと一緒に飲むのも楽しいと思うが私が一番に楽しみにしていたのはスバルと飲んでお話をすることだ。そしてその当人の姿が見えないため同じ部屋に泊っているグリスなら何か知っていると思い確認すると高笑いをしながらグリスは私の想像していたことの遥か斜め上の回答を答えた。


 追放?スバルが?

 私はグリスの言っていることを理解することが出来なかった。


「まあ、スバルさんの追放は驚きですが実力が劣っていたのはわたくしも感じていましたし彼が抜けるのに文句ありません。シズカさんはつらいかもしれませんがこれも何かの縁だったと思い彼の事は忘れて今日のところは飲みましょ。」


「そうだよ!さっきも言ってけどこれを機にスバルなんか忘れて私達みんなで改めて頑張っていこうよ!」


 分からない分からない分からない分からない。

 グリスだけじゃなくリサやフランも意味が分からないことを言い出し私は初めて彼女たちのことを馬鹿な人間だと思った。


 スバルがどれだけこのパーティーのためには働いてくれていると思う?

 スバルがどれだけこのパーティーに貢献していると思う?

 だから私は大声で言った


「あんた達、馬鹿じゃないの?スバルがどれだけ私たちの力になってくれていたかもわからないなんて!」


「あいつが力になるだ?実力がないのは目に見えて分かった、だから追放した。それの何が悪い。実力不足を追放することなんて冒険者家業にはよくあることだろ。

 そんな怒るなって。奴にクビと伝えたときの情けない顔を見たら奴のことをいくらシズカでも奴に失望し笑ってたと思うぜ。しかもシズカは俺の女ってほらを吹いただけでもうこの世のどん底みたいな顔しちゃってよ。ほらを吹いたと言ってもシズカを俺の女にしてやるのは本気だからあながち間違って」


 グリスが喋っている中それを止めるかのようにパチンッという大きな音が居酒屋内に響いた。


 大きな音によって冷静になった私だったがその音は私がグリスの頬を思いっきり引っ叩いて起きた音だった。


「てめえ、何しやがる。」


 グリスは私にはたかれたことで完全に血が上り私のことを殴りに来たが今ここにいるのは私達だけじゃない、女性のみで構成された『白銀の乙女』や女性に味方の紳士パーティー『微風の四重奏』などSランクパーティーの優れた冒険者がいっぱいいるため、グリスは私を殴る前にほかの冒険者たちに拘束された。


 だが今の私はこんなクズの相手をするよりやらなくてはいけないことがある。


 急いで居酒屋を出て宿に戻りスバルの事を確認するがもうすでに宿を出ていた。

 彼が次にどこに行くのか私は分からない。だから私にできることは街を駆けまわり彼を探すことだ。


 スバルはバカだ。私がグリスの女になる?そんなことあるわけない。そんなグリスの嘘を信じるなんて本当のバカだ。


 フランもニア彼女たちもバカだ。スバルのすごさを知らないなんて知らないで実力不足とか言うなんて


 私は知っているスバルの強化(バフ)弱化(デバフ)のすごさを

 私は知っているスバルが毎回私たちの装備のメンテの時に優れた付与(エンチャント)をかけてくれていることを

 私は知っている毎回魔物などの情報をあらかじめ集めてくれていることを

 私は知っている野営時などの料理を毎回作ってくれる時美味しく食べれるように面倒な下処理などをしてクサみを消す工夫などをしてくれていることを

 私は知っているスバルが掃除や洗濯をしてくれてることで拠点が綺麗だったり私たちの着る服があることを


 私だけが彼の手伝いをしているから知っている事実。


 でも本当のバカは私だ

 みんなが知らないスバルの事を自分だけが知っていたかったから、スバルの頑張りを皆には知らせなかった。

 女っぽくない体を言い訳にスバルに私の本心を伝えなかった。


 世の中失ってから気づくことだらけだ。でも私は絶対スバルを失いたくない


 その一心で私はスバルの姿を探しながら街を駆けまわる


『Sランクパーティーを追放された回復魔術師は魔王軍として生きていく』を読んでいただきありがとうございます。


シズカ視点を一度終わらせたかったので長くなってしまいました。

ちなみに初めはもう少しシズカはグリスたちと行動させることも考えたんですが書いてるうちにシズカの一途な気持ちに心打たれてしまいました(;´∀`)


ブクマ、評価コメントをしていただけると私のやる気につながります(*'ω'*)

どうぞ今後もよろしくお願いします!

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