2.白い部屋
目を覚ますとそこはなにもない真っ白な空間だった、よく見ると壁があり正方形をした部屋であることがわかった
「ここどこだ?俺は確か川に流されて……そうだ、俺は川に流されて溺れて死んだはずだ、まさかここはあの世なのか」
少しの間自分が死んでしまったショックとこれからどうしたら良いのかと考え込んでしまった
考えていても仕方ないので俺はここを出ることにした、だがこの部屋はドアもなければ窓もない、扉らしきものを探すため壁に手をあてて押したり叩いたりしてみるが効果はないようだ
「う~むどうしたものか、こんなときはばあちゃんの知恵袋に頼るか」
俺のばあちゃんは今年でちょうど80才をむかえる、何でも知っていて俺にいろんなことを教えてくれる、昔からばあちゃんの教えてくれる言葉や話が大好きだった、話してくれたお話の中に宝物庫を開けることの出来る魔法の言葉があった
「開けゴマ!……なんて開くわけないよな」
元気よく魔法の言葉を唱えたが部屋に変化は見られなかった諦めかけて壁の中央を蹴ってみたすると
ゴゴゴコ
突然部屋全体が揺れ始め蹴った場所を中心に壁に二つの亀裂が入り壁が開いた
「おっ!開いた」
とりあえず部屋から出て思いっきり空気を肺に送り込むように大きく息を吸う、そして深く吐き出した
ゴゴゴコ
俺が出た後の壁が今度は閉じ始め完全に閉まってしまった、壁が閉じた後は元々そこに何もなかったかのようにキレイさっぱり消えてしまった
「なんだ今のおと?ん?うゎ!どどやって外に出たんですか!?」
今の音を聞き付けたのか一人の小柄な男が近寄ってきて俺を見て驚いた
「普通に出たよ」
「そんなバカな、あの部屋は完璧に施錠されてた筈なのに、ヒラケゴマナンテと唱えた後に壁の中心に衝撃を加えないと開かない仕組みなのにどうやって」
「え!えーーとたまたま男の感ってやつかな…」
すげぇ!ミラクルじゃねぇーか、なんかついてるな、死んじまったけど
「あぁ、それとなぜ俺は閉じ込められていたんだ?」
「いえ閉じ込めていたわけではなくあそこは待合室となって今して、転生の手続きをお待ちしている方があそこで待つようになっております」
「そうだったのか」
なんか悪いことしたな、勝手に出てきてしまって申し訳ないな
ガシッ
ん?急に左方向に体が引っ張られた、見てみると一人の泥だらけの子供が俺の裾を引っ張っていた