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プロローグ

「やー!メーン!ドォーー!」


 スポーツの剣道で使われる竹刀と呼ばれる竹でできた刀を打ち合い乾いた音が響く

 面を叩き鈍い音、胴を叩き甲高い音が響き合うそこに男たちの声と足を踏み鳴らす音が重なり一つの大合唱を作り出す

 道場の端の方で”田中 さつし“と呼ばれる剣士が三軍のコーチに怒鳴られていた、この光景はいつものことで全く三軍が成果を残せず一軍の監督に嫌みを言われて、そのせいで腹が立ったコーチがストレス解消と言わんばかりに一番背が小さく肝も小さなサツシが特に理由もなく怒られる


 しかしその日は酷かった、委員会のため遅れてしまい急いでやって来て防具を着けるやいなやコーチに思いっきり突きを打たれた、突きとは喉元を狙う剣道の技でとても危険なので高校生以下では禁止されている、サツシは高校二年なので使っても良いのだが準備の出来ていない状態で打たれてぶっ飛んでしまった


「お前はこの程度も避けられないのか!!」


「すいません!」


「すいませんじゃない!俺は避けられないのかと聞いているのだ!」


「突然のことで避けられませんでした!」


「突然のこと?まさか俺に文句を言ってるのか」


「そういうわけではありません!」


「だから文句を言ったかどうかを聞いているんだ!……」


 はぁ、ついてないな確かに遅れたけど元はと言えば一軍の先輩方が俺たちは練習に行くから委員会を変われ!って言われて変わっただけなのに、何でこんなにも怒られなければならないんだ


「聞いているのか!!」


「あっ、はい!聞いてます!」


「何があっ、だ!聞いてなかったな!お前が弱いのは努力が足りないせいだ!努力していれば強くなるはずだ!」


 努力か、俺は努力という言葉が一番嫌いだ何故なら


バンッ!


 頭を思いっきり横から竹刀で殴られた、


「だから聞けと言ってるだろが!」


プチッ


 何が切れた音がした、今まで我慢していた何かが崩壊するような感覚に襲われた、その崩壊したダムは元に戻ることはなく怒りが溢れだした、もう頭に血がのぼって自分じゃ止められない、気づくと俺はコーチに馬乗りにのりコーチの面を外し、自分の面も外しひたすら顔を殴り続けた、手を握りしめて作った凶器で血を流したコーチを殴った右手で殴り左手で殴り指の関節部分の皮膚が裂けてひどい痛みを感じた、異変を感じた回りの生徒や先生たちが止めに入りコーチから離された


 手の甲を見ると自分のかコーチのかわからないほど血で汚れていた、コーチはというと顔全体が腫れ上がり鼻血や口の端こめかみからも血を流していた、そのあとの事はあまり覚えていない、その日のコーチの行動や普段の行動からコーチが悪いということになりその日はとりあえず帰された


 帰りたくないな、親に何て言おう心配かけたくないな、

 帰り道は雨が降っていた朝はどしゃ降りだったが今はだいぶ小雨になっていた、小雨といってもまだ雨は降っているのでとりあえずカッパをきた、膝したぐらいまでの少し茶色が混ざった白いポンチョ、このポンチョは妹からのお古だ、普通は逆だがうちは弟や妹のほうが身長が高い、俺のは前あったのだが破れてしまった、深緑色で気に入っていたのだが

 そのポンチョはフードが有るのだがその日はフードをとって頭を雨で濡らしながら帰った、頭を少し冷やそうと思ったからだ、もうすぐこのまちで一番大きな川にさしかかる、市街が対面に並びその中心を大きな川が遮る、俺の家は川を渡って少し進んだ所にある、川があと少しで視界に入ると言うところで後ろから名前を呼ばれた


「おーいサツシ!待てよ!」


 俺はその時振り返り俺の名を呼ぶ同じ部活の部員でクラスメートのみつるを待ってしまった、もしあの時待たずに家に帰っていればこのあとの運命の出会いには出会わなかっただろう

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