第四項 帰路なき旅路。君よ、振り返ることなかれ。
何も考えずにツインテールキャラを登場させてしまった。その悔恨の念が筆者の心を蝕んでいた。だが、やってしまったことはもう取り返しがつかない。ならばなぜそうなったのか原因を探り、今後の自身の創作に生かそうというのが筆者の導き出した答えだった。筆者はこの後、どのようにして過去と折り合いをつけ、未来に向かって歩を進めればよいのであろうか?
ちなみに自分が設定したキャラの一人はギャルゲーっぽいストーリーのヒロインの一人。とはいっても、五人いる女性キャラの四番手か五番手という、いかにもなキャラである。それだけではあまりにもお約束過ぎるので無表情キャラという属性を付与した。よくいる勝気なライバルキャラではないぞといった、小さな抵抗を試みたわけだ。
いまひとりは巨大ロボットもののメインヒロイン。こちらは実にステレオタイプの、高飛車女王様キャラで、しかも金髪というテンプレ設定なのだが、メインヒロインでツインテールはそうはいないだろう、と、奇をてらったつもりだったのだ。が、某セーラー服で戦うアニメの主人公が金髪ツインテールだった。自分はあのアニメのファンでもなんでもないので気付かなかったのだ。
筆者はさほどゲームやアニメに詳しいわけでもないので失念していたが、ツインテールのメインヒロインなんて探せば結構いるような気もする。カリスマ的な人気を誇るボーカロイドもツインテールだし、猫型ロボットアニメのヒロインもツインテールだ。こんな基本的な知識の裏付けもない筆者が、はたしてツインテールについて語っていいものだろうかという気もしてくる。
仮に世の中に古今東西、ツインテール事情に精通した、ありとあらゆるツインテール女性を網羅する、どうしようもないツインテール廃人がいたとする。ならば、ここはその方に熱く語っていただいたほうがよいのではという意見もあるだろう。が、少し待ってほしい。仮にそんな人物がいたとしても、それはその人にしか理解できない、通の世界である。我々庶民が天下の名品という茶器を目にしても、そのオーラにさえ気付けないのと同じように、コアなツインテールマニアが二十四時間ぶっ続けで語ってくれたとしても、その素晴らしさがイマイチ分からぬ庶民には、やはり意味不明な呪文にしか聞こえないはずである。
だが、筆者は違う。いやしくもツインテールを攻略対象の最後尾に置き、なぜ、ツインテールは数多のサブカルに登場し、現実ではほとんど見ないにもかかわらず、いつまでもサブカルの世界で生き続けているのか。そんな当たり前すぎて疑問にすら思わない、大多数の男性諸氏と同じ価値観を持っている。さらに言えば筆者は趣味の物書きとして、多少なりとも製作の気持ちも分かるつもりでもある。それもバリバリのクリエイターでは意味がない。ツインテールを自身の作品に込めるその熱いこだわりは到底、うまく万人に伝えられるものではあるまい。ここはやはり、何も考えずに作品にツインテールを登場させた凡人である筆者が通訳にはうってつけだろうと愚考する次第なのである。
さてさて、前置きが長くなってしまったが、いよいよ本題に入ろう。我々はまだツインテール探求の端緒にすら立ってはいない。その深遠なる真理に果たして辿り着けるのであろうか? 辿り着けたとして、その先にはいかなる地平が広がっているのであろうか? 興味は尽きない。いや、全く興味なんかないのだが、そうでも言って盛り上げなきゃやってらんないというのが筆者の偽らざる心境である。
では、今こそ旅立とうではないか。ツインテールの魅力とはなんなのか? そこに込められた意味とは? その真実を見つける、探求の旅に!