第十六項 求める証明に諸説あり
実証実験まで行うものの、なかなか芳しい成果が出ない。焦りと苛立ちに筆者の精神は疲弊していく。袋小路に迷い込み、オリジナルの設定に活路を求める。筆者の想像力が今、試される。
結局ツインテール実用的説も破棄せざるを得なくなってしまった。もう筆者のステゴサウルス並みの脳みそで思いつきそうな説はない。しかしそれでは埒が開かないので、ない知恵を絞ってなんとかひり出してみる。
無理矢理ツインテールを作品に出したいと思うなら、これはもうツインテールでなければならない設定をあらかじめ作っておくしかないのではあるまいか。
例えばツインテールにすることによって魔力が溜まりやすくなるとか、除霊の効果があるとか。しかしこれでは女性キャラがみんなツインテールになってしまう。ツインテール魔力が溜まる説は無理がある。
じゃあ仕方なくツインテールになってるというのはどうか? ツインテール女子は実は全員人型アンドロイドで、作った博士が病的なツインテールマニアであり、髪の毛が形状記憶合金的な物質でできており、無理矢理ツインテールになる……アホだ。ツインテールに仕方なくなっちゃう説はギャグなら辛うじてありうる、という程度の設定だ。
ならもっと現実的に家訓というのはどうか? ツインテール女子の生まれた家は代々女子は結婚するまでツインテールにしておかねばならないとかいう特に意味のない厳しい掟がある。これならお母さんまでツインテールにする必要はないし、ツインテール女子の処女性まで担保される。これならなんとかなりそうだ。
しかしそれってやっぱりおかしくないか? そんな家訓一体いつからできたんだという疑問はまあフィクションなのだから措くとして、それがなぜツインテールであるのかという根拠に乏しい。それが許されるなら別にショートカットでもポニーテールでも、なんならアフロだっていい、なんでもアリになってしまう。
どうも筆者の腐った脳細胞ではよこしまなアイデアしか出ないようである。
大体作中に登場するツインテール女子に無理のない設定を加えるのがクリエイターというものであり、これではツインテールを登場させたいがために無理矢理設定を加えているようなものである。世界中のツインテール女子が一堂に会し、最強ツインテール決定戦を行うとかいうあざといまでのカルト作品ならそれでもいいだろうが、そんなバカな設定を俎上に上げても意味がない。
そもそも筆者が求めていたのはツインテールを無理なく作品に出す手段ではなく、サブカル世界に存在するツインテールの魅力の根源や成り立ちだったはずだ。先達がツインテールに込めたメッセージを読み解かなければ、素人とはいえ自分の作品にツインテールを軽々に登場させてもいいものだろうか? というのがこの考察の立脚点だったはずだ。




