導入 俺らのステータス
魔王。それは、人類を理不尽に圧制し恐怖に追い込むもの。
その健康寿命は10000年に及ぶが、平均寿命は俺の先代までで換算すると大体500年くらいという生物学的には理不尽な人生である。
しかし、そんな魔王の仕事を受けた俺だが、今年で2000歳になります。
「暇だ・・・・・」
はあ、毎日が暇で暇で仕方がない。
そもそも俺自身、魔王という地位に就くには荷が重すぎる実力なんだがなあ。
なんでも、次期魔王になるためには勇者属性に対する絶対優位耐性がないといけないらしく、偶然生まれつきその耐性能力を持っていた俺(農民生まれ農民育ち)が晴れ晴れと魔王に就任したわけだ。先代も俺を城中に迎え入れてすぐに餅をのどに詰まらせて死亡。何が何やらという中魔王になってこれで1000年目・・・・はあ、暇だ。
まあ、さっきから暇だ暇だというにも訳がある。何故暇かというと魔王討伐に来た優者が一向に俺の部屋までたどり着かないのだ。この魔王城を守る守護者たち。その中でもトップの実力を誇る12人の悪魔がとても強い(1人1人が大体フ○ーザくらい)。正直ここが赤道円周が100万キロもある巨大な星でなかったら、今頃100回は消滅してるだろう。
しかもだ、一人一人の強さはさながら、俺自身の強さがどうもそれに見合わない。そもそも、俺は田舎で農作業をしていたごく一般的な魔族だ。そんな俺の単純なステータスはそこら辺の冒険者と変わらん(大体Mr.サ○ンくらい)。
とまあ、そんな感じで今日も俺の退屈な日常が始まる。
「サタン様」
「?・・・入れ」
「失礼いたします」
げえ。来たよチートキャラ・・・・・
「本日の12支柱会議の結果をご報告に参りました」
「そうか、話せ」
こいつはラファン。さっきの12人の悪魔の一人だ(ちょっと終焉もたらしちゃうくらいの強さ)。いつも執事姿をしているが、単に趣味らしい。黒髪ロングの美青年といった風貌だが、彼の実年齢は7000歳らしい。
「以上3名、今月返り討ちにした勇者です。ただいま地下牢に収容しておりますが、処分はいかように?」
「ふむ・・・・・」
はい来たよこれ。まただよまた!なんであっさり倒しちゃうかねえ~!?
そもそも俺たち、人類に倒される役だよ!?それなのに、三人ともお前が虐殺(まだ死んでない)した奴らだよね?しかも、その倒す過程がエグイ。
「なに?勇者とその他5名が攻めてきた?」
「は、はい!ただいま構成員が戦闘中です!」
「はあ、まったく。人間たちも懲りないですねえ。今月に入って早々に攻めてきた2組も2時間かけて(遊びながら)蹂躙してやったというのに・・・・・」
「ど、どうしますか?」
「いいです、私が直接お相手して差し上げましょう。」
「ぬ?貴様、こいつらとは違うみたいだなあ?幹部か!」
「はあ、こんな貧弱な者どもと一緒にしないでください。私も暇じゃないんですからさっさと切り掛かるなり、殴り掛かるなり、魔法で爆発させるなり好きに攻撃してきてください」
「ちっ。あんまり俺を下に見てると、後悔するぜ!」
「・・・・」
「ぐああ!」
「おや、情けない。あなたが切りかかってきたんです。その痛みを私と共有したぐらいでこのざまですか?」
「ひっ!」
「では試しに私の腕を切り落としてみてください。ほら上手に、私が握っててあげますから」
ザシュゥッ!!!
「ぎゃああああああ!!!」
「おやおや、腕が切れているのは私ですよ?あなたはその感覚と同じものを共有しているだけ・・・・・・さあ、今度は左腕です。次はもっときれいに切り落としてみましょう」
とまあ、こんな感じで毎回この悪魔は勇者をいたぶって遊ぶのだから、たちが悪い。おかげで、精神崩壊した勇者からは何も聞き出せずに朽ちるため、わりかし困るのだ。
「・・・どうせ3人とも精神崩壊して、うんともすんとも言わぬのだろう」
「おおお!流石我が君、囚人の様子をこれだけの報告で見抜かれるとは・・・・」
「いや、いつものことだから。となると、放っておいても邪魔なだけだな。モイヒレリッシュのもとにでも連れて行って、実験台にでもさせろ」
「御意」
・・・・はあ。では、我が日常風景へどうぞご案内いたします・・・・・・・・