ユーモアミステリの王様―赤川次郎
今更ですが、本エッセイに推理小説を布教する意図はございません^_^;
まだ「あ」の作家……。先は、長い。
知名度抜群、赤川次郎先生です。
『三毛猫ホームズシリーズ』が大好きでほぼ読破しているので、読んだ冊数だけならダントツにトップの作家さんです。中学校の図書室で、こちらのシリーズを読んでいる少女をときどき見かけました。友達になりたかったなぁ。
何度かドラマ化されているので、ご存知のかたも多いと思いますが一応。
『三毛猫ホームズシリーズ』の主人公は、三毛猫・ホームズ。事件現場では、鋭い推理力を発揮して、人間たちにヒントを与えてくれる、チャーミングで気高い雌猫ちゃんです。
主人公の片山刑事は、血が苦手(刑事なのに)で高所恐怖症・女性恐怖症という、ちょっと情けない性格ですが、優しく穏やかでモテない設定ながらも、事件中に出会った女性たちからモテまくります。押し倒されたりもします。(でも皆、ワケアリの女性だという)
妹の晴美は、兄と真逆の性格で、明るくて好奇心旺盛。晴美にぞっこんな、正直者で大食漢の石津刑事もいい味出してます。
さて、ユーモアミステリの作風の印象が強い赤川先生ですが、第一作の『三毛猫ホームズの推理』では、前代未聞の大掛かりな物理トリックが用いられています!
本格ミステリ好きにおすすめするとしたら、やはりこちらの作品でしょう。
デビュー作『幽霊列車』も良いですねぇ。
野心が見え隠れする良作といいますか。ユーモアミステリの作風を生かしつつ、意外な動機など、ミステリ的な驚きも詰まっています。
中年刑事と女子大生のコンビって、「なんだかなぁ」と思うのですが(なんかやらしい…)、探偵役の永井夕子が瑞々しく描写されていて、オッサンじゃなくても、「エヘ~」となっちゃいますね。若いわりに、しっとり落ち着いているというか。
幅広い世代から愛されている赤川先生の作品。
当時小学生の私でも、スラスラと読めた記憶があります。しかも一人称じゃなくて、三人称だったはず。
「どんな文体だっけ?」――この前、実家に帰ったとき、作品を読み直してみたら、
「・・・・・」と、言った。
「・・・・・」と、言った。
このパターンの連続でした!! わりと頻繁に!
あれえ!? こんなだったっけ!? セリフが多いから読みやすかったのかな。(もちろん全ての作品がそうじゃないです。このとき読んだのは、『三毛猫ホームズの犯罪学講座』でした。)
ともあれ、物語の面白さ、台詞のセンス、ストーリーのテンポの良さが抜群なので稚拙な感じは全くしません。でも、真似はできないなあ。
(2016.6.10)
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ユーモアミステリ作家は、赤川先生が元祖で、東川篤哉先生が二代目と(めっちゃ勝手に)思っています。
上に挙げた作品は、日本推理作家協会の『ミステリーの書き方』における、赤川先生のエッセイと一緒に読むと奥深いです~。
(2017.6.16)
しかし、次に挙げるのは、「い」の作家かもしれない……。