天才そして女王―アガサ・クリスティー
推理作家は、圧倒的に女性が少ないように感じます。
私自身、好きな女性作家といえば、堂々と挙げられるのは宮部みゆきさん以外にいないという有様。
が、世界中の誰もが知っている「ミステリーの女王」といえば、アガサ・クリスティーです。
集中的に読んだのは、中学・高校時代。
図書室にある赤色の背表紙(ハヤカワ文庫)をかたっぱしから借りて読みました。
(あの頃は集中力があって良かったなあ……ほんと、ね)
『アクロイド殺し』が面白すぎて、テスト前で勉強しなきゃいけないのに読むのを止められず、特に種明かしのシーンでは、トイレに行きそびれそうになるほど読む手が止まらず……。
あの種のトリックに最初に出会ったのが、アクロイド殺しだったんです。
もう衝撃過ぎて、しばらく動けませんでした。(←必然的にテスト勉強も出来なかったという)
こういう体験はなかなか出来ないと思います。幸せな思い出です。
『そして誰もいなくなった』『オリエント急行殺人事件』でも、鮮烈な驚きを得られました。
あの頃は、まだ本格推理小説に手をつけていなかったので、何もかもが新鮮だったのです。幸せな読者でした。
ミスマープルもチャーミングで好きですが、やっぱりポアロが好き。
ポアロシリーズで一番好きなのは、『カーテン』。あの作品の、ポアロの幕の引き方……正直、推理小説といえるかは微妙ですが、結末のせつなさが堪らないです。
クリスティの死後出版の契約がなされていて、しかし、出版社にせっつかれる形で1975年にクリスティが公開の許可を出しますが、公開されたその翌年にクリスティが死去しているという。何とも作家の情念が感じられるエピソードではありませんか。
絶対読みたい!と願いながら、未読なのが『象は忘れない』。傑作と名高いので、余裕ができたらぜひ読んでみたいです。現在、『ひらいたトランプ』を再読しているので、クリスティの話をちょっとだけしてみました。ではでは。
(2016.4.27)
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今は、宮部みゆきさんだけでなく、今邑彩さんと恩田陸さんの作品にもハマっています。
私にとっての「天才」は、「誰も思いつかないことを考え付く」人です。
その意味で、『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』を執筆していた頃のクリスティは間違いなく天才であったと……。死後契約の作品を出版社にせっつかれる、ってすごい。
『象は忘れない』、まだ読めていません。
今年テレビでやっていた、スペシャルドラマ『そして誰もいなくなった』が色々な意味で衝撃的でした。
(2017.6.15)