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【超ネタバレ】『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』感想【もうお前本読むな】

 こんにちは。

 しくじり読者、羽野ゆずです。


 話題の相沢沙呼『mediumメディウム霊媒探偵 城塚(じょうづか)翡翠(ひすい)』を読みました!!

 いや~お勧めしていただいたとおり面白かったです。一気読みしました。これは、今期の何らかのミステリ関連賞を取ることは確実でしょう。

 

 ところが――


 本書を手にするまでに、私は読者として、思いっきりしくじっていました。

 尊敬するミステリマニア・庵字さん(https://mypage.syosetu.com/775838/)のエッセイ

『この「本格ミステリ」が読みやすい!』(https://ncode.syosetu.com/n6260dy/)でネタバレを読んでしまっていたことです。

 ※ご本人に許可をいただけましたので、作者名・作品名を掲載させていただきました。庵字さん、ありがとうございます。


 庵字さんが『読了後に読んで』と警告してたというに! この大馬鹿ものが!!


 しかし、こちらのネタバレを拝読しなくても、私は購入を迷ったとき該当作品のネタバレ感想を読まずにいられないタイプなので、どうせ行きついていたでしょう。

『この「本格ミステリ」が読みやすい!』は、全く悪くありません。(強く主張)

 また、こちらのエッセイ。文才が素晴らしく、ネタバレを読んでなお面白い!読みたい!と唸らされたので購入に至った次第です。すごいですよね、それって。



※※以降は本書のネタバレしかありません!※警告!※注意!※※注意なんだからね!!※※










 もういちど、こんにちは。

 しくじり読者です。いきなり最強最大のネタバレをしますからね? 戻るなら今ですよ。






 しくじり読者は前知識として、主人公の香月(こうげつ)が連続殺人犯であることを知っていました。翡翠がインチキ霊媒師であることも。


 連続殺人犯視点の【インタールード】が入ったとき、「あぁ香月は筆名で、鶴岡が本名なのね」と気づきました。しくじり読者ならではの勘で。

 

 私にとって相沢先生は一人称で描かれる印象が強いのですが、本書は三人称で書かれています。

 まあ、そうなりますよね。語り手が香月だったら、表現の制約が多くて不自由になるし。


 どうも、相沢先生のデビュー作『午前零時のサンドリヨン』からキャラとの相性が良くない私。内容は文句なく面白いのですが、読んでいるうちに何故だかイライラしちゃうんですね。

 でも、本書は大丈夫でした。

 三人称で書かれていることもあり、翡翠の(彼女いわく)ぶりっ子キャラも気になりませんでした。だって、ちまたにこういう、あざと可愛い美少女キャラなんて溢れてるでしょ。

 そのキャラ付けさえも伏線になっているのですが、正体を現したあとの彼女のほうがよっぽど……ううん。やっぱり男性読者と女性読者の印象は違ってしまうのかなぁ。


 最終章の翡翠もまた、テンプレキャラです。

 なんと表現したらいいんでしょ。あざと毒舌美少女キャラ? 本性をみせた後もなお『キャラ』っぽくて、この後また違う本性を隠しているのだろうか?と疑ってしまったのですが、疑りすぎ?

 この世にキャラクター産業が浸透しすぎているからでしょう。

 キャラクターを伏線として「使い捨てた」のは、やはり斬新に感じました。



 しかし、この作品を描くにあたり、作者さんはどれほどの労を費やしたのでしょう。

 それぞれの事件の解決。プラス真の解決。

 ひとつの謎で、ひとつの短編ができるのではないか。魅力的な謎と解決に溢れています。


 特に私が好きなのは、「水鏡荘の殺人」で翡翠がみた夢(霊視)から香月が推理を組み立てるくだりです。

 

 ○○(容疑者たち)が私の顔を近くでみて、手をのばしてきた。直後に意識がなくなった。


 こういった語りから、香月は翡翠が「キャビネットの鏡」に共鳴したと推理し、最終的に唯一の犯人を突き止めます。

 この推理がたまらなく好き。本書のなかで私のベストですね。

 殺人事件でありながら、「日常の謎」を描く作者さんならではのテイストが感じられる謎解きで、始終楽しませていただきました。


 ここまできたら正直にいいましょう。

 翡翠が披露した、ホームズばりの超絶名推理よりも好きでした。

 もう個人の好みの話になりますが、霊媒&推理作家の連作推理小説で良かったんじゃない? なんて……。

(翡翠の推理【真の解決】は素晴らしいんでしょうけど、「ちょっと待って。それ本当?」とページを遡り中断しても、理解できない箇所がありました。私の頭の問題か…)



 まとめ!! 


 終盤の驚きが魅力、とだけ評されるのは不本意と思えるほどの力作でした。

 傑作、快作、はたまた怪作。様々な呼び名をさらう作品だと思います。けれど、私にとってこの作品は膨大な労を費やされたであろう、まぎれもない『力作』でした。



 始終テンション高め、乱文エッセイにお付き合いいただきありがとうございました。



H31.11.29

++++++++++++++++


次は、『紅蓮館の殺人』を読みます。今度こそ、私しくじらない。ネタバレなしで読ム。 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 【商業作品『medium 霊媒探偵城塚翡翠(相沢 沙呼)』のネタバレ有り!】 庵字様のレビューに始まり、羽野様のエッセイに後押しされ、ずっと気になっていたmedium、ようや…
[一言]  こんにちは、A字です(笑)。  今は評論やエッセイでも、ほとんど「○○という作品のネタバレがあります」と断られているので、いいですよね。昔はその辺りいい加減で、『アク○イド』とか『オリ○ン…
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