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【感想】第28回鮎川哲也賞『探偵は教室にいない』

 こんにちは。

 北海道では、平成最後の初雪が降りました。皆様お元気でしょうか。

 文庫になるまではとても待てず、鮎川哲也賞『探偵は教室にない』(川澄浩平著)を購入しました! 軽く感想を。


※以下、ネタバレを含む可能性があります。未読のかたはご注意。※



 以下、帯より抜粋。


『謎と出会い、わたしたちはすこしだけ大人になる。――北海道の中学校に通う少女・真史まふみが出会う、ささやかだけど、とても大切な謎。』


 北海道の中学校を舞台にした、日常の謎の物語です。

 誤解をおそれず感想を述べるならば、取り立てて特徴もない青春ミステリです。

 正直、「よくこの作品が受賞したなぁ」と思いました。色々な意味でです。


 というのも、去年の受賞作はミステリランキングを席巻した『屍人荘の殺人』(今村昌弘著)だったから。屍人荘~では斬新なクローズドサークルの設定が話題になりましたよね。


 鮎川哲也賞の選考ともなれば、選考委員の先生らも並々ならぬプレッシャーを背負われると思います。

 去年の実績があるにもかかわらず、今年はまったく違う雰囲気の作品を受賞作に選ぶなんて失望……なんてバカな。とんでもない!!

 私は鮎川哲也賞がますます好きになりました。

 めちゃくちゃ偉そうな表現ですが、『探偵は教室にいない』をよくぞ選んでくれました! という感じです。


 読みやすい、という前評判でしたが、読みやす過ぎて一晩で読み終えてしまいました。もっと読みにくくていいよ! と思ったくらいです。


 探偵役は、学校にまなぶべきことはないと不登校を貫く少年、歩。ヒロインはバスケ部の長身女子、真史。名前が男女逆転っぽいのも面白いです。

 提示される謎は、はたして謎といえるのかもあやしい、青春のすれ違いです。

 どのエピソードも読後感が爽やかなのに、口のなかで噛み損ねたラムネの欠片みたいに不思議と心に何かを残していきます。

 私の語彙では上手く表現できませんが、とりあえず只事ではない作品です。

 ところどころに馴染みのある地名が登場するのも楽しい。(特に高速バスの休憩所のシーンはにんまりりちゃいました。) 道民のひいきでそう感じられるのでしょうか。


 ただし、物語として綺麗に収束しているとは決していえません。

 歩が不登校になった明確な理由も明かされていないし、各人の成長に一応の幕も引かれていません。これは続刊があるということでしょうか。そうですよね? だったらいいな……。


 ちなみに。優しくて穏やかなのに狡猾なところがある岩瀬京介が好みです。



H30.11.26

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