新本格のはじまり―綾辻行人
(せっかくなので、当時の出だしを)
突然ですが、備忘録的な感じで、今迄読んできた本や漫画を気まぐれにさらっと語ろうと思います。本はほとんどミステリになると思われます。
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今回は綾辻行人先生。
実は、かの有名なアナザーが未読なので語るか迷ったのですが……。
中学校まで、ポアロやホームズ、宮部みゆき先生の作品しか読んでいなかった私にとって、『十角館の殺人』は衝撃的でした。
これをきっかけに、「新本格」と呼ばれるジャンルに手を出し始めたので、思い出深い作品です。
一番好きなのは『迷路館の殺人』。
この作品では、被害者の首を切断した理由が、斬新というか、自分が犯人の立場でもそうしたかもしれないという不思議な説得感があって、感動した覚えがあります。
叙述トリックさえも、陰鬱な雰囲気も抜群に冴えていて、マイベスト館です。
最新作『奇面館の殺人』はミステリ初心者向けになったというか、ロジックがスッキリしているのが印象的。
館シリーズの他で、おすすめなのは『どんどん橋、おちた』。もう圧倒的。
この本の帯には『無理、無理、犯人を当てるなんて』という文句が書いてあって、読後、本当にそうだと思った(笑)
短編集。読者への挑戦つきです。叙述トリックをメタレベルで解明できるか? テーマになっています。
ああ、大好きなのに、いざこうして記録しようとすると陳腐なものにしかなりません。
作者あ行から始めるつもりでありましたが、思い浮かべてみたら『あ』に偉大な作家が沢山いすぎて、このコーナーは『あ』で終了してしまうかもしれない……。
(2015.12.7)
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この記事を書いてからすぐ、『Another』読みました。
面白かったです。館シリーズも素晴らしいけど、綾辻先生はこういう物語がお好みなのかな、と感じました。圧倒的なストーリーテラー力と、引き込まれる文章。
この作品を読んで、自分の文章って「、」が多すぎるのかな、と減らしてみたりもした。(しかし今は戻ってしまっている^_^;)
寄せられたコメントでは、『迷路館』『時計館』『暗黒館』が人気のようで。(しっかし暗黒館の分厚さといったら)
叙述トリックは、それ自体のインパクトが強すぎて、物語が仕掛けに準じてしまうのが難点だと思っています。が、『迷路館』と『Another』はそんなことないです。名作です。
『あ』で始まるミステリ作家さん、ほんと多いです……。
ミステリ好きの本棚の『あ』率が高い、って分かる気がする(笑)
(2017.6.15)