青春ミステリから新本格まで鬼才―米澤穂信
こちらは2015年に活動報告で書いたものを改稿したものです。
米澤先生、このミス2年連続1位※おめでとうございます!
2年連続3冠達成!? 凄すぎる! パチパチパチ! というわけで、読書の履歴書は米澤穂信特集です。(※宝島社『このミステリーがすごい!国内編』ランキングは2015&2016年版のもの)
あらかじめ断っておくと、私は米澤先生の“とても良いファン”ではありません。
作品が掲載された雑誌を追って買うほどではないし、未読作品もあります。
なろうでミステリ好きな作者さんとメッセージ等をやりとりさせていただき、自分は大したファンじゃないのだ、ということを思い知りました。
なのにお前がホノブを語るのか! とお叱りを受けそうですが、ミステリを浅く広く好む薄っぺらな愚者のいち感想としてお読みいただけると幸いです。
ファースト・ホノブは、『インシテミル』でした。
「このミス」ランキングベスト10に入っていたから、本屋で手に取ったのだと思います。
綾辻先生の『迷路館の殺人』を彷彿とさせる舞台装置、新本格的なロジックに、ライトノベル的な要素――面白く読んだのは記憶していますが、それから古典部シリーズに出逢うまで、まさか同一の作者のものだとは思いもよらず。
アニメ化された大人気・古典部シリーズ(※2017実写映画化)に行きつくまでに、さらに間がありまして、次に読んだのは『儚い羊たちの祝宴』――圧倒的な世界観にぞっとするような結末の落とし方。短編集で、作品ごとに出てくるお屋敷や館の描写が見事すぎて……これで一気に米澤作品にハマることに。
そして、『ボトルネック』『リカ―シブル』『犬はどこだ』『追想五断章』『さよなら妖精』、最終的には『折れた竜骨』で完全にノックアウトされました。
今でこそファンタジーと本格推理が融合された作品が出回るようになりましたが、こちらは2010年刊。先駆者といっていいでしょう。魔法が生きるファンタジーの世界に本格推理の要素が見事に調和された作品です。米澤作品でどの作品が一番見事かをあげるとしたら、私は『折れた竜骨』を選ぶかもしれません。
古典部シリーズに行きついたのは、その後。
しかも、最初に読んだのが『クドリャフカの順番』だったものですから、「いままで読んだ作品と全然世界観が違うじゃーん!」と思ったんです、実は。でも結局、古典部シリーズにどっぷりハマりましたからね。不思議なものです。アニメも大いに楽しみました。
シリーズで好きな作品は『遠回りする雛(短編集)』。特に『心当たりのある者は』――とある校内放送から物騒な結論を導き出す、安楽椅子探偵的な作品なのですけど、この作品のロジックは見事としか良いようがないでしょう! そうだ! この前バトンの項目で『これを描かないと死にきれないという作品はあるか?』という質問に私、「なんもない」と情けない回答をしたんですけど、ありました!
『心当たりのある者は』的な作品を描いてみたいです。(※2016描きました。『戻るには遅すぎる(https://ncode.syosetu.com/n6270cw/77/)』という中編です)
小市民シリーズの作品のベストは『シャルロットだけはぼくのもの』です。最高! 今のところ『秋期限定栗きんとん事件』まで刊行されていますが、雑誌でシリーズの短編が発表がされているので、続刊に期待。図書委員の詩門くんが活躍するシモンズ・シリーズも良いです。特に好きなのは、「913」。本になる日が待ち遠しいったら。
ちなみに、2017このミス1位をとった『王とサーカス』は未読! 痛恨の未読!!
『さよなら妖精』がストーリー的には面白かったけど、キャラクター的に惹かれるものがなくて、続編を読む気がなかなか起こらなかったためです……駄目ですね。これは読もう。
(※2017読みました。トリックよりも動機重視。作品を通して訴えられるテーマにぐっときた)
2016年1位だった『満願』は読みました。正直すごく好み、とは思わなかったけど、米澤先生のお得意な結末の短編集という印象でした。あ、面白かったですよ!
(※2018実写ドラマ化)
そういえば、古典部シリーズの最新作が雑誌に掲載されたそうで! 今は、シリーズの最新本を楽しみにしています。(※2017『いまさら翼といわれても』刊行)
最後なんとも締りがない感じになりましたけど、私の、米澤作品愛伝わったかな……あ、あやしい。
米澤先生の回はまたリベンジするかな。
2015.12.4
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2015年当時の記録があまりに古くて、2018年現在の情報を注釈で入れてみました。
こうして俯瞰すると、米澤先生の勢いが感じられます。
何を隠そう、自分が『なろう』に投稿をはじめた直接のきっかけは、古典部シリーズとそのアニメを観たことで、読み返すたび観返すたび懐かしい気持ちになります。活動報告のコメント欄で、「なぜクドリャフカから読み始めたのか?」と不思議がられましたが、近所の図書館にあったからです。シリーズ中、クドリャフカと『ふたりの距離の概算』の二冊しか置いてなくて、しかも『ふたり~』は延滞されて借りられなかったので、待ちきれなかった羽野はシリーズ全巻購入し、どっぷりハマる運びとなったのでした。延滞してた人のおかげですね。
2018.10.10