海外ドラマ・The Mentalist【メンタリスト】から得ること
いろいろと本当にご無沙汰していて申し訳ありません。文章を書くのも久しぶりでエッセイなどでリハビリして、じょじょに浮上していきたいです。
お久しぶりです。
完結設定にしておりましたが、なんと前回の投稿から約一年が過ぎていました。はぁあ……。月日の早さっていうヤツは本当に……しびれますね。
我が家にとうとう、アマ〇ンFire TV Stickがやって参りました!
持っていないことを友人に明かしたら、プライム会員になっている意味がない、と嘲笑され、そこまで言われたら買うしかないわ、と観念したわけです。(もちろんセール価格のときに買った)
話題の映画、ドラマ、バラエティ番組などなど。
さまざまなジャンルを網羅しています。アニメ版バナナフィッシュはPCで観ていましたが、やっぱりテレビ画面のほうが見やすい。
音声検索も使えるし、ユーチューブも視聴できるので、家族皆ですっかり頼りきっています。
私がとりわけ嬉しいのは、海外の名作ドラマがコンプリート・シリーズで揃っていること。
ボーンズやグッドワイフなど並行して楽しんでいますが、今回は取り上げるのは『メンタリスト』。
キャッチコピーは――“それは、超能力ではない。「超・心理術」である。”
パトリック・ジェーンは、卓越した洞察力と人の心を操る「超・心理術」で、次々と凶悪犯罪を解決していく犯罪コンサルタント。だが、彼の手法はしばしば過激で、同僚たちでさえ困惑してしまう。CBI(カリフォルニア州捜査局)とFBIに協力しながらも、ジェーンは独特のウィットと魅力、そしてメンタリストの心理術を駆使して体制をすり抜け、忌まわしい過去に立ち向かう。(ワーナー海外ドラマ公式ページより抜粋)
主演のサイモン・ベイカーが、イケメンで素敵で癒されるという魅力も大きいですが、全米視聴率ナンバーワンの冠に恥じない、面白さは折り紙つきです。
過去に妻と娘を殺した殺人鬼レッド・ジョンとジェーンが対決する、という大筋はありますが、一話完結でテンポ良いストーリー運びといい、飽きさせない工夫が各所に凝らされています。巧みな伏線、意外な犯人など、ミステリーとしても十二分に楽しめます。
小説を書くとき生かせるかも、と参考になったシーンがいくつかあって、忘れないうちに記しておきます。
シーズン1に、私が大好きな『血染めのジャガイモ』というエピソードがあります。
(以下ネタバレを含みます。ご注意ください)
メンタリストのジェーンは、真犯人がリグスビー捜査官にかけた暗示(催眠術)を解こうと、昼間の公園に連れていきます。
どうして公園なんかに? と連れ添った同僚の女性に不思議がられますが、ジェーンは、リグスビーをトランス状態に導くために、なんとブランコを利用するのです。
ブランコって? そう、公園の定番遊具の、あのブランコです。
「ブランコを見て。上がって、下がって。上がって、下がって。人生と同じ。上がって、下がって……」
ブランコ乗った少年が描く等間隔の放物線。それを目で追って、じょじょに表情がうつろになっていくリグスビー。
ここで注目すべきは、リグスビーの背景に〈シーソーで遊ぶ親子〉が映りこんでいる点でしょう。
ブランコと同じように、シーソーが上がって下がって、上がって下がって……。
背景にピントは合っておらず、ぼやけており、子どもたちの楽しげに遊ぶ声も遠いとこから聞こえているようで。
リグスビーじゃないのに、まるでこちらも暗示にかけらているような浮遊感を味わうことができます。造り手が観る側に仕掛けた演出です。
どうやらリグスビー捜査官は幼少の頃にトラウマがあるようで、楽しげな親子で賑わう公園という舞台設定もなんだか意味深。
そして、物語の終盤、真犯人と対峙する夜の屋上でのシーン。
リグスビーを暗示で呼び出した犯人は、
「あの赤毛の娘(リグスビーの想い人)のように、私のことも守って?」
と語りかけますが、その際、ブロンドに近い犯人の髪色が〈赤いネオン〉に照らされ、まるで赤毛のようになっているのです。また、無事に暗示が解けて、確保されたシーンでは〈青いネオン〉に照らされ犯人の顔色が蒼ざめている。
このシーンが、夜の街の屋上である必然性が感じられ、ストーリー展開に恐ろしく調和していました。
自分が小説を書くとき何気なく選んでいる舞台、公園や学校など。
なぜ学校の、しかも空き教室でなければならないのか。理科室、もしくは体育倉庫のほうがふさわしいのではないか。今後よくよく検討してみようと思います。
さらに別のエピソードでも見どころがあるシーンが。
とある田舎で殺人事件が起こるのですが、さびれたゲームセンターの店長が証言するシーンです。
店長の古ぼけた汚いオフィスで、あやしげな風貌の彼を尋問するCBI捜査官。
興味深いのは、捜査官の背景には何の変哲もない壁とか、デスクが映りこんでいるのですが、店長の場合は黄ばんで歪んだブラインドや、どこぞやのアイドルの水着ポスターが背後に映っていて、彼の怪しさやダメな感じが誇張されています。
人物だけでなく画面全体に注目すると、『メンタリスト』はどのシーンも非常に良く作り込まれていて、すごいなあと思いました。視点を少し変えると作り手のちょっとした工夫や、こだわりに気づけて楽しいです。
以上、苦手な情景描写をなんとか味方にできないか、とか苦心している羽野でした。というか、ただの趣味の報告でした。
推理小説も色々と面白い作品を読みましたので、次はミステリの話題にしようと思います。