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初めに
死の商人と言われるもの達がいる。
彼らが売るものは人に、力を与え、格差を作り、欲望を煽り、希望を砕き、死をまき散らす。
武器を売り、戦場を周り、火種に息を吹きかけるように燃え上がらせる。
燃えるものは様々で野望でもあり、恐怖でもあり、また命でもある。
彼らがいるところには戦争がある、いや戦争があるところに彼らがいる。
問題はどちらでもいいのだ。
相手が欲しいものを売り、自分は利益を得る。
そして売る、潤う、また売る----
誰でもできる単純作業を繰り返す。
ただ歯車を回す。淀みなく、滞りなく。
それが彼ら武器商人。そう、死の商人。
これはある一人の商人の話。