終章 end-5 勇者候補集結
ツムギは聖都に到着するとすぐに賢人会に呼び出された。勇者候補とそのパートナーであるツムギとルティの2人は賢人会が居る建物へと案内された。
ツムギとルティは建物の中の一室に通されるとそこには5人の老人と自分たち以外の勇者候補とパートナー全員の姿が在った。
「これで全員揃ったようじゃの」
長椅子に座る5人の老人の1人が口を開いた。その老人はかつてツムギが魔女との内通の疑いが浮上した時にレクターと名乗った賢人会のメンバーの1人であった。
レクターは今回の魔女との戦いの作戦を勇者候補であるツムギたちに伝えた。
作戦の内容は聖都での籠城戦で魔女と魔物たちの攻撃を凌ぎつつ別働隊で動く勇者候補たちが魔女を討つというシンプルなモノであった。
「斥候による報告によれば魔女は2~3日の内に聖都に到着するであろうとのことじゃ」
レクターはそう言うと細かい作戦の内容は各自に追って連絡する、そう言って他の賢人会のメンバーと共に慌ただしそうに部屋を後にした。
部屋に残された他の者たちも部屋を出ようとしたが勇者候補のユナのパートナーであるライオスがその場に居る勇者候補たちに1つの提案を打ち出した。
「どうだろう、この機会に皆の顔合わせをしないかな?
この場に居ない仲間たちも含めて」
ライオスの提案は互いの情報を共有することで勇者候補同士での連携を図ろうとした。
勇者候補の1人であるハヤトは無視するように部屋を出ようとしたが、もう1人の勇者候補のレオンがハヤトを止めた。
「魔女を倒すのは俺だ、他の奴と馴れ合うつもりは無い」
ハヤトは鬱陶しそうにレオンの手を跳ね退けると扉のドアノブを回した。
「他の奴らの手の内を知ってるほうが自分が魔女を討つ可能性が上がると思うがね」
レオンがそう言うとハヤトは部屋から出ようとしたが足をピタリと止めた、少し熟考した様子を見せてからライオスの提案を受け入れた。
ツムギは少し以外であった、レオンが一番ライオスの提案を跳ね除けると思ったからだ。レオンにも考えがあるのだろうが異世界を救うために他の者と協力しようとしたことがツムギは少し嬉しかった。
魔女を討つ使命を与えられた勇者候補の4人は互いの現状の仲間たちの顔合わせをするため、1時間後に広場で落ち合う約束をするとそれぞれの仲間の居る場所へと戻って行った。




