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終章 end-4 聖都到着

 ツムギは誤解を何とか解くと再び聖都へと向かうために馬車の待つ場所へと戻ろうとした(村の人間はまだ疑惑の目でツムギを見ていたが)。


 「ありがとうございました。旅の無事を祈ってますね」


 プリシラは笑顔でツムギを送り出した。

 ツムギはプリシラの笑顔を見ると満足するように馬車へと乗り込んだ。

 ツムギたちが村から離れると村の町長はプリシラに話しかけた。


 「悪い方ではなさそうだが、あれが異世界アヴェルトを救う勇者候補とは多少心配になるのう」


 「私は悪くないと思いましたよ、急ぎの旅じゃなかったら私もツムギさんに付いて行きたいくらいでしたもん」


 プリシラのツムギに対する意外な評価に町長は多少驚きの表情を見せたがたで食う虫も好き好きか、と町長は納得し小さくなっていく馬車を見送った。



 ツムギは激しく揺れる馬車の中で居心地の悪さを感じた、理由は馬車の乗り心地の悪さが原因では無く、自分の周りの空気の悪さのせいであった。

 村に寄る前まではツムギの横に座っていたフランであったが今は離れた位置に座っている。ルティはツムギから多少離れて座り、ツムギと顔を合わせないようにそっぽを向いた。  

ヴィルヘルムは村に寄る前と変わらぬ態度で馬車から見える景色を楽しんでいた。

ツムギは誤解を解いたつもりであったがどうやら完全でないことにようやく気付いた、何か話題を見つけて悪い空気を変えようと頭を悩ませた。


 「何であの村の人たちは避難してなかったのかな?」


 ツムギはとりあえず頭に浮かんだ疑問を言葉にした。


 「聖都に避難してない人間は生まれた村を離れるのを拒んだ人間と、あとは逃げたくても逃げる手段が無い人間ね。まあ、大半が後者でしょうけどね」


 ルティはツムギに説明をした。

 大半の異世界アヴェルトに住む人間の移動手段は徒歩であった、大量の物を運ぶ商いをする人間が使用する動物は異世界アヴェルトにも居たが移動速度は馬とは比べものにならない遅いスピードである。

 そして普通の人間が聖都に移動する際に危険が伴う、大半は魔物による危険である。魔物から護衛する力を持つ者の多くは聖都へと収集を受けているため移動できずにいた。

 そしてそれは村を魔物から守る存在もまた同じで今は手薄になっている、そのためにツムギたちが救った村と同様に魔物が攻めてきたら手の打ちようが無いのであった。


 そんな話を聞きながら村に立ち寄ってから丸3日をかけてツムギたちは聖都へとようやく到着した。

 聖都は最初ツムギが訪れた時とは雰囲気がまるで違っていた、その雰囲気はこれから魔女との戦いが戦争であることを強くツムギに感じさせた。

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