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第8章 8=11 固執する理由

このエピソードは元勇者視点です

 ユウトはディルビルを殺した後、すぐに次の行動へ移った。

 自分の行動は(魔女の側近を殺したこと)時期に魔女の耳へと入るであろう、しかしユウトにとってそれは好都合であった。

 ユウトはトールのことを知るために初代勇者の瞳で未来を見た時に復讐を遂げる未来まで一緒に見ることが出来た、自分が今まで1番見たかったが見ることが出来なかった未来を予期せずに見ることが出来たことはユウトにとって幸運であった。

 しかし、その未来を現実にするためにはすべきことがあった、そのためにユウトは下準備へと移っていた。


 「ようやく、復讐を終えられる」


 ユウトは感慨深く呟いた。復讐のためにかつての仲間まで手にかけたユウトにとっては復讐を果たすことだけが心の拠り所と言える程だった。

 しかし、ユウトには1つ不安を拭えないことがあった。それは自分が会った勇者候補の1人、確かツムギとかいう名だった男のことについて。


 (魔女の奴は勇者候補の中の1人としか認識していないであろう。

何故俺は奴が気になるんだろうか? 

初代勇者の影がチラついた所為せいだろうか?

いや、それだけじゃない。自分の中の誰かが訴えかけてきている感覚)


 ユウトは自分の不思議な感覚に覚えがあった。

 かつて自分が勇者候補の時に感じた不思議な感覚、初めて見る物をまるで見たことがあるかの様な感覚。

 そして未来の危険な出来事を誰かが囁く様な、それのお陰で勇者候補の時に危険を回避したこともあった。


 (初代勇者の瞳で未来を見通す感覚とは、似て非なる感じなんだが)


 初代勇者の瞳の力は文字通り視覚から情報を得る感覚だ、それと比べると勇者候補の時に感じた感覚は言葉では表しづらい感覚だ。無理に例えるならば、まるで夢の中の出来事のような

 再び異世界アヴェルトに来てからはあの感覚1度も味わうことはなかった、ツムギとかいう奴に会うまでは。


 (奴は何者なんだ!?)


 ユウトはツムギの存在がどうしても頭から離れなかった。

 復讐が最終段階まできた今、万が一にでも不安要素を残しとくべきではないとユウトは考えた。ならば取るべき手段は一つしかないではないか。


 (奴には舞台から退場してもらおうか)


 ユウトはツムギを{ある場所}へと呼び出すことにした。

 そう場所でユウトは魔女を出し抜くためにしなければならない行動があった、魔女を殺すために必要な下準備を。

 そこでユウトはついでにツムギを始末しようとしていた。


 (さて、呼び出して素直に来るとは思えないから餌を用意しなくてはな)


 ユウトはツムギを呼び出すための餌を用意することにした。

幸いなことに、かつて自分が勇者候補の時に助けた少女がターゲットのパートナーであった。その少女は言動から察するにまだ自分に勇者候補だった頃の馬鹿でマヌケなお人好しの幻想を持っているようだ。

 あの少女を1人呼び出すのはさほど難しくは無いであろう、自分がかつて助けた少女の名前をユウトは懸命に思い出そうとした。


 (確かルティとか呼ばれていたかな)


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