第1章 1-3 聖なる武器
とりあえず、レオンと言う危険な奴が勇者候補の一人であることは分かった(知りたくはなかったが)。
結局のところ自己紹介をすることになり、異世界に一番遅く現れて、皆を待たせたという理由でトップバッターに俺が指名された。
「江西 紬、年齢は15歳の高校生です。趣味は漫画読むことと、スポーツで主に球技が好きかな?特技は特になくて、身長は167㎝で体ぎゅむ」
「誰もてめえのそんな細かい情報に興味ねえんだよ」
レオンが俺の口を押さえ、俺の紹介は途中で強制的に終了させられた。
「俺の名前は 近藤 礼恩17だ」
あまりに素っ気ないレオンの紹介が終わった。
自分の紹介がマヌケに思える簡潔さではないか、自己紹介で少し緊張していたのが悟られないように平静を装う。
「私の名前は 斎藤 結奈です。15歳の高校一年生です。宜しくお願い致します」
ユナと名乗った女の子は眼鏡をかけていて、身長は150~160㎝程度であろうか、髪は少し茶色っぽい黒で、腰くらいまで伸びており、読書などが似合いそうな可愛い女の子である。
出来ればこの子がパートナーが良かったなと思いつつ、異世界側の住人である、自分たちを補佐してくれる立場にあるらしいパートナー側の自己紹介へと移行した。
「ご機嫌麗しく、勇者候補であられるお三方。名門であるバーナード家の長男である、このギーシュ・バーナードがパートナーになったお方には、必ず勇者にして見せましょう」
ギーシュと名乗った金髪の男は、見た目は自分と変わらないくらいの年齢だろうか?身長は少し自分よりも高く、目つきが鋭く、どこか貴族の様な雰囲気を漂わせていた。(貴族に会ったことなど実際にはないので想像だが)
「バーナード家とは、過去に勇者のパートナーを何人も輩出した一族なのじゃよ」
導師タウが一言補足説明を入れる。
そして次の人物が紹介を始めた。
「初めまして、僕はライオス・フィリップスです。気軽にライとでも呼んで下さい」
さっきのギーシュとは違い、馴染みやすそうなタイプだ。
ライと名乗った男は、見た目の年齢は自分とは変わらないか少し上であろうか?身長は自分より頭一つ高く、緑色の髪をしており、部活などの優しい先輩といった感じの雰囲気だ。
最後に一人残った女の子が紹介を始める。
「私の名前はルティ・ルーティス。よろしく」
あっさりとした自己紹介で終わったルティ、と名乗った女の子は、黒髪のショートカットで、身長は自分より少し低く、白いキレイな肌で、少し気が強そうだが美人である。
一通りの自己紹介が終わり遂に武器が渡される。どんな武器が渡されるのかとワクワクが止まらない。(出来れば変な武器でありますように)
「それじゃあ武器を渡そうかのう、江西 紬君、ワシの前に来なさい」
胸が激しく鼓動を高める中、導師タウの前に行く。すると俺の手が強い光に包まれる。
目も開けられない強い光の中、俺の手に何かが触れる感触がした。
その何かを掴むと光は消え、手で握り絞めていた物を見る。
「えっ、普通の剣じゃん」
剣を握ったことなどないのに、何故か妙に手に馴染む剣を握りしめる。
王道の武器にガッカリした俺は早くも魔女を倒すことを諦めて、ハーレム路線で行こうと固く決意するのであった。




