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第6章 6-2 懐かしの再会

 ツムギとルティがベルンの村の入口で出会った女性は勇者候補であるハヤトのパートナーであるエリカであった。

 夜中であるため周りは暗く、相手の顔をハッキリと見えはしなかったが背丈はツムギよりも少し高いくらいであった。


 「久しぶりねエリカ、エリカが居るってことはこの村に居る勇者候補ってのは確かハヤト?とか言った勇者候補だったのね」


 ルティは共に勇者候補のパートナーとして教育を受けたエリカに挨拶を交わした。

 ルティは久しぶりに会う知り合いに出会い少し嬉しそうであるが、キョロキョロと辺りを見回していた。

 戦闘から既に3日近くの時間が経過したことから居ないとは思いつつもルティは元勇者であるユウトが居ないかと淡い期待をしていた。


 「いや~本当に久しぶりっすね、ルティ。

  それで一緒に居るそちらの男性は誰っすかね?」


 エリカは何となく予想は付いたがルティに尋ねる。

 

 「そういえばエリカは全員の勇者候補が揃う前に出発したからツムギに会うのは初めてよね?私のパートナーで、異世界アヴェルトに最後に召喚された勇者候補のツムギよ。」


 ルティはエリカにツムギを紹介するとツムギ自身もエリカと挨拶を交わした。

 ルティは軽い挨拶を終えるとエリカに本題である、黒い仮面の魔人について尋ねた。

 ルティがエリカにその話を切り出した頃に丁度、後続のフランたちもようやくツムギたちの居るベルンの村の入口へと辿り着いた。


 「ようやく着きました~、もう体力の…限界です。」


 フランはそう言うとうつ伏せに倒れ込みそうになったが倒れる前にジャックが片手でヒョイと抱え上げた。


 「そんなに辛けりゃ言えば運んでやったのによ、セリーヌの奴の弟子なら知らない仲でもないしよ」


 「いえ、仲間パーティーの1人として足手まといになるようなことは出来ません」


 フランはジャックの申し出を頑なにフランは拒んだ、しかしフランは肩で息をしていて見るからに限界であることは明白であった。

 フランが潰れるほど疲れるのも無理はなかった、ルーアンの村からベルンの村までは大分急いだ移動であったし今夜は夜通し移動していたのである。

 ツムギも本来の体力では(女神の加護の無い場合)ヘバッテいたであろう。


 「今夜は遅いから話は明日にしましょっか?ルティ。

  私のパートナーのハヤト君も寝ていますし、明日の朝にハヤト君を連れてルティたちの居る宿まで行くんでそれでいいっすよね?」


 ルティはすぐに話を聞きたかったがエリカはこれ以上は話すつもりはないようで口をつぐんでいた。

 ルティは諦めて他の皆と宿屋へと向かうことにした。

 ベルンの村は大きく栄えていたので宿屋も立派で大きな物が多かった、しかしあちこちで戦闘の後のような破壊された跡がチラホラと見受けられた。

 宿の部屋は男性陣と女性陣で分けたがヴィルヘルムだけは1人でないと休めないといい、金銭的には余裕があったため1人で部屋へと向かった。


 「さてと、それじゃあ僕は自分のお仕事をしますか」


 ヴィルヘルムは1人部屋の窓を開けると白い鳩が1羽ヴィルヘルムの肩へと止まった。

 ヴィルヘルムはその白い鳩の足に手紙を結び付けると再び窓から外に離した、ヴィルヘルムはツムギたちの動向を賢人会へと逐一報告していたのである。

 ヴィルヘルムは賢人会への報告の義務を果たすと、今着ている服装を露出の多い服装に変えてベルンの夜の街並みへと外出をした。


 「美女が1人でいれば情報も得やすいだろうしね」


 ヴィルヘルムは言い訳をするように独り言を口にし、情報収集を始めた。

 大きな村ならば魔女に通じる魔人も、女神を信奉するあまり人殺しも辞さない過激派の連中も少なからず居るであろう。

 ヴィルヘルムは賢人会の自分たちが絶対であるという考えも、女神が絶対的な正義であるという考えも納得出来なかった。

 観光気分が半分、情報収集が半分の気持ちで夜の酒場へとヴィルヘルムは姿を消した。

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