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第6章 6-1 黒い魔人を追って

 ツムギの仲間パーティーとユカの仲間パーティーは行動を共にすることとなった。ユカは自分の命を狙ってきた黒い仮面の魔人、先代勇者であったユウトとはなるべく関わりたくはなかったのだが。

 ユカは今まで自分たちを助けてくれたジャック(かつての先代勇者の仲間)がユウトを止めようとするのを手伝うためであった。

 ユカのパートナーであるライオスは反対したが、勇者候補の1人であるユカはどの道ユウトに命を狙われる可能性があるのなら一緒にいた方が良いというフランの言葉に従う形となった。


 「それでユウトさんて方に会うには何処に行けばいいんでしょうかね?」


 ユカは他の皆に相談するように尋ねた。

 誰も心当たりが無いのか答える者はいなかった。


 「何処に居るのか分からない以上は向こうが襲ってくるのを待つしかありません。

なので当初の目的通りに魔女が居る城を目指すのはどうでしょうか?」


 フランが妥当な提案を上げると誰も反対はしなかった、それに代わる案を誰も浮かばなかったので一行は魔女の居る城を目指すこととなった。

 ツムギたち一行は準備を終えてルーアンの村から出発しようとしたが1人の村人が慌ててルーアンの村に駆け込んできた。


 「ベルンの村に魔物が攻め込んで来たらしいぞー」


 村人の1人が村中に大声で知らして回った。


 「ベルンの村って何処にあるの?」


 ツムギはルティに尋ねる。

 ルティはツムギに説明をした、今いるルーアンの村から北西に行った所にある村で距離は歩いて1日程度であると。

 ツムギはルティの説明を聞くとどうするべきか悩んだ、助けられるなら助けたいが今から向かったところで間に合うのであろうかと。

 とりあえずツムギは現状を知るべきと考えて駆け込んできた村人に現在の状況を聞くことにした。


 「ベルンの村に攻めてきた魔物たちは勇者候補とその仲間が全部倒したらしいぞ、

  ただその戦いで勇者候補は傷を負って仲間は何人も死んだらしい」


 村人の話を詳しく聞くと、北西のベルンの村に魔物が攻めてきてから既に3日の時間が経っていた。

 そして魔物を率いていたのは黒い仮面を付けた人物であったと村人は答えた。

 魔物を殺したのは勇者候補だとも、魔物を率いていたハズの黒い仮面をつけた人物だとも言われていて、情報は混乱して何が正しい情報なのか分からない状態であった。

 ベルンの村に居る勇者候補の容態も、傷を負ったらしいが重症なのかカスリ傷程度であるのかも定かではなかった。

 ツムギたちは皆で話あった結果、ベルンの村に居る勇者候補が重症だった場合、フランの治癒魔法が助けになるかもという理由でツムギたちはベルンの村に寄ることにした。


 「ところでベルンの村に居る勇者候補って、ツムギ君は知り合いなのかい?」


 ヴィルヘルムがツムギに尋ねる。

 ベルンの村に居る勇者候補の名前が分からなかったので、ツムギは答えに詰まった。

 今回異世界アヴェルトに召喚された勇者候補は全部で4人である、ツムギとユナがこの場に居る以上はレオンか、まだ会ったことはない最後の勇者候補であるハヤトとなる名前の勇者候補のどちらかであろう。


 「ベルンの村に居るのがレオンなら一応顔見知りだけどね、もう1人のハヤトって奴なら顔も見たことないよ」


ツムギはベルンの村に居る勇者候補の容態も気になるが、それ以上に黒い仮面の魔人である先代勇者の存在の方が気になっていた。


 「ムカつくレオンの奴が重症なら是非見ときたいところよね」


 ルティは憎まれ口を叩いたが、何処か落ち着かない様子であった。

 ツムギはそんなルティを見ると仕方のないことだと思った、自分が憧れていた先代勇者が魔女の下僕となって、悪事に手を染めていることを知ったのだから。

 ルティは早く先代勇者のユウトに会い、かつてのパートナーに裏切られたという誤解をといて罪を重ねるのをいち早く止めたかった。

 ツムギたちは日が落ち夜となったが急いでベルンの村を目指し進んだ。

 夜は魔物たちの力が強まり活発になることからフランは野営を提案したが、ルティは1人でも突き進む勢いであったため夜通し歩を進めた。


 「灯りよ」


 ルティが声を上げた。

少し遠目であるが村の明かりが灯っているのがツムギにも見えた、ルティは更に足を速めて村へと急ぐ。


 「フランとユカは後からゆっくりでいいから、ライオスとジャックは2人を頼む」


 フランとユカの体力はいっぱいいっぱいで歩くのも辛そうである、ツムギはライオスとジャックに声をかけ面倒を頼むと、1人先走るルティの後を追いかけた。

 村はもう見える位置まで来たとはいえまだ暗く視界は悪い、何処から魔物が飛び出してくるか分からない。

 普段のルティならば周囲にも気を配っているはずだが今のルティは普段通りとはいえなかった。

 ツムギの心配は杞憂で終わり、魔物と遭遇することはなく村まで辿り着いた。

 村の入口は激しい戦闘があったのであろうか破壊の後が多く見られた。


 「こんな夜明けに旅人が到着するのは珍しいですね~、魔物との戦いで少し荒れてるけど魔物はもう居ないので安心してください」


 村の入口で背の高い女性がツムギとルティに話かけてきた。

 その女性は勇者候補のハヤトのパートナーであるエリカであった。


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