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第5章 5=9 異世界に出会いを求めたの間違いであったのだろうか?

このエピソードは元勇者視点です

 ユウトは手傷を負っていた。

 魔女は勇者候補の殺害をユウトに命じた。

 ユウトは最初に勇者候補のユナを狙ったがかつての仲間パーティーであるジャックに阻まれて逆に傷を負った。

 しかし全てはユウトの予想の範囲内であった。


 「ジャックの片腕を切り落とした、そして俺も手傷を負わされた。

  これで魔女も文句は言うまい」


 魔女によるユウトの監視は最初と比べて弱まったがまだ監視が無くなった訳ではない。

 ユウトは流石に勇者候補の1人くらいは本当に殺さなければならないかと考えていた。

 勇者候補はかつての自分と同じで真実を知らずに利用されている哀れな羊だ。それでも必要ならば躊躇ためらわず殺そう、すでにかつての仲間を手にかけた自分だ、そうユウトは自分に言い聞かせた。


 「何処で間違えたのだろうか?

  いや、全ては異世界アヴェルトに召喚された時点で定められていた運命か。

  ならば奴らに復讐を、鬼畜外道となろうとも手段など選ばずに」


 ユウトは口に出して自分の復讐心を燃え上がらした、自分の力の原動力である憎しみを強めるために。




 ユウトは傷をいやすために2~3日体を休めた。

 ユウトはかつて使えた魔法の便利さを痛感した、勇者候補であった昔ならば自らも治癒魔法を使えた。

 あまり得意ではなかったのでパートナーのクルミに治癒魔法をかけてもらうことがほとんどであったが。

 昔を思い出して思わずユウトの顔から笑みがこぼれた、あの頃に戻れるのであれば自分はどんなことでもするだろう。


 「勇者になどならなければ、大切な人を巻き込むこともなかったのに」


 しかし自分が出来ることは復讐だけだ、そう思いユウトは重い腰を上げた。

 魔女の次の指令がユウトに下されていた、勇者候補の1人である真宮寺隼人しんぐうじ はやとを殺せということだ。

 ハヤトは勇者候補の中で1番の武功を上げていた。

 勇者候補の中で現在最も力があるであろう、魔女にとって1番危険な勇者候補であった。


 「魔女の奴も俺への監視を強めるだろうな、残念だがコイツには死んでもらうか」


 ユウトはそう言うとハヤトがいる場所へと移動を始めた。

 謎の勇者候補と黒い仮面の魔人の戦いはすぐそこまで迫っていた。


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