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第5章 5-3 物知りフラン

 ヴィルヘルムが黒い仮面の魔人の殺害指令を下したのは賢人会であった。

 黒い仮面の魔人のこれまでの凶行は導師タウの殺害、そして先代勇者のパーティーのメンバーである女神の巫女セリーヌ、そしてクロードと2人を手にかけた(セリーヌとクロードは一命を取り留めたが昏睡状態であるが)。

 異世界アヴェルトにおける重要な人物たちが襲われたことにより、賢人会のメンバーは自分たちも狙われる可能性があるとヴィルヘルムに殺害の指令を下したらしい。


 「まあそんな訳で剣聖である僕に黒い仮面の魔人を殺せと無茶振りされてね」


 ヴィルヘルムは参ったなと笑って説明した。

 ツムギは前からヴィルヘルムの剣聖と言われているのは何故なのか気になっていた。剣聖というからには剣の腕が立つのであろうがそれだけではないのだろう。この機会に尋ねることにした。


 「剣聖って何なの?」


 「剣聖ってのは、精剣マクスウェルを扱うことのできる者に与えられる称号みたいなものだよ、精剣は精霊の加護を受けれるので火、水、風、土の強力な魔法を扱えるのさ」


 ツムギはヴィルヘルムの説明で1つ引っかかった、聖剣でなく精剣なのかと。

 ヴィルヘルムの説明でツムギが理解していないであろうと感じ取ったのか、フランが補足で説明をしてくれた。


 「昔は精霊の加護を受けられる剣を扱う者は剣精と言われていました、しかし何時いつしか精霊もまた女神様の庇護下であると言われ、女神様の聖なる力の一端であるとされて剣聖と呼ぶようになったんです。

 ちなみに精剣でも残念ながら魔女を傷付けることはできないらしいですが」


 フランが説明を終える、するとツムギだけでなくルティとヴィルヘルムもそうだったのかと初めて知ったリアクションをしていた。

 ツムギは持ち主であるヴィルヘルムが何故知らないのかと非難の眼差しを向けた。


 「いや~、その力が何処からきたかよりもどう使うかが僕は大切だと思うんだよね」


 ヴィルヘルムは良いことを言った風にしてごまかした。

 ツムギはこのメンバーの中では一番幼いフランが一番知識があるであろうと思い、フランを褒めて頭を撫でた。


 「セリーヌ様の下で色々と学んでいましたから」


 フランは褒められたのが嬉しいのか、頭を撫でられたことが嬉しいのか照れながらもニコニコしていた。

 ツムギは歳の離れた妹がいたらこんな感じなのかと思ったが、優秀な妹と比べられるのを想像したら特に取り柄のないツムギはシンドイのかも知れないと思い直した。


 「それじゃあ確認するけど魔女のいる城に向かうルートのおさらいをするわよ」


 ルティはそう言って地図を取り出して皆に広げて見せた。

 既にツムギたちはルート決めていた、最短距離を選べばいち早く魔女に辿り着くことができるが強力な魔物が多くいる。そのため少し遠回りをしたルートをツムギたちは行く予定であった。

 しかし改めて地図を見てツムギは気になる場所があった、その場所は廃れた村が少しある程度で何もないとルティはツムギに説明した。

ツムギはその場所に聖都で感じた嫌な予感の何倍もの負の予兆を感じた、それでもツムギは心の何処かでその場所に行かなければいけない、そんな気がしてならなかった。


 「仕方ないか、ツムギがそのルートが気になるならそこから行きましょ」


 「そのルートだと他の勇者候補たち全員に先を越されちゃうよ、ツムギ君?」


 ルティはアッサリとツムギの改めて選んだルートを採用した。

 ヴィルヘルムは一番遠回りになるので反対したが多数決で3対1となりヴィルヘルムは仕方なく折れた。

 ツムギたちが新たに選んだルートはくしくも先代勇者であるユウトが異世界アヴェルトに再び戻ってきた時に現れた場所を通るルートであった。


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