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第4章 4=13 初代勇者の目を持つ者

このエピソードは元勇者視点です

 ユウトは百近い魔物の軍団が旅立つのを見送った。

 女神側の人間が魔物を一網打尽にするために勇者候補を囮にした作戦が立案された、しかしその作戦は未来を予知したウァサゴによりすでに魔女の耳へと入っていた。魔女はその作戦を逆手に取り勇者候補2人を葬るように魔物たちに命令を下していた。

 魔女は笑みを浮かべている、今回勇者候補を2人殺すことができれば残りは2人でその上自分の陣営には未来を見通す力を持つ者までいるのだ、長い女神との戦いも遂にチェックメイト寸前まで追い込んだのだ。

 魔女は見目麗しい容姿をしているが時折醜く顔を歪ませる、復讐をする者の醜悪さが表面かおへと出ているのであろう。ユウトは仮面の下の自分の顔もまた醜く歪んでいるのだろうと思った。


 「そろそろか」


 ユウトは誰にも聞かれないようにポツリと呟くとその場を立ち去りとある場所へと移動した。ユウトが向かった場所は洞窟であった、その洞窟で息を潜めてある人物が訪れるのを待った。

1~2時間程度の時間が過ぎた頃にユウトが身を隠した洞窟に誰かが向かって来る音が聞こえた。


 「我は遂に自他共に認める魔女様の片腕となったのだ」


 1人で大声を出して悦に入っているのは初代勇者の目を取り込み未来を見ることができるようになった魔物、ウァサゴであった。そしてユウトが待ちわびていた人物だった。

 ユウトは物陰に隠れているのを辞めてウァサゴの前へと身を晒した。


 「何故、貴様がココにいる?」


 ユウトの姿を見たウァサゴは驚きの表情で問うた。

 ウァサゴが驚くのも無理はなかった、この洞窟は初代勇者が死んだ場所であり、魔女と魔女の信頼の厚い極一部の魔物しか知らない場所である。


 「何故俺がこの場所を知っているかだって?この場所は初代勇者が死んだ場所だからさ。そして俺がココにきた理由はお前が1人でこの洞窟へと来る未来を見たからさ」


 ウァサゴはユウトの言っていることが何一つ理解できずにいた。

ユウトは魔女の監視が外れていることを確認するとは饒舌じょうぜつに語り出した。


 「ウァサゴ、お前の役目は終わったのさ。俺が女神を殺す偽の未来を魔女に伝えた時点でお前はもう用済みだ」


 「偽の未来?貴様は何を言っているのだ?」


 「ウァサゴ、お前は未来を予知していたんじゃない、未来を予知させてやってたんだよ。俺によってな」


 ウァサゴはユウトの発言を鼻で笑った。ユウトがそんな力を持っている理由が見当たらない、ただの妄言であると。

 ユウトは自分が付けている黒い仮面の額に手をやり話を続けた。


 「初代勇者の力は魔女も、そして女神ですら扱うことはできない。扱うことのできる者は異世界アヴェルトでただ1人、初代勇者のみだ」


 ユウトの付けている黒い仮面の額から目玉がギョロリと開かれる、その瞳は黄金に輝いてた。


 「初代勇者は自らが死ぬときに未来を見通す力を持つ瞳をこの黒い仮面に埋め込んだのさ、いずれ自分と同じ境遇におちいるであろう勇者たちの復讐の手助けをするためにな」


 ウァサゴはユウトの言わんとしていることの全部は理解できないが魔女様を欺き何かを企んでいることは間違いないであろう、そう考えウァサゴはユウトを始末するべきであると考えた。

 そして初代勇者の目を所持する者同士の戦いが始まった。


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