第4章 4=12 未来を予知する魔物
このエピソードは元勇者視点です
~~~~時間はツムギが魔女裁判にかけられていた時間に戻る~~~~
ユウトは魔女と魔物が開く宴へと参加していた。
魔女は大変上機嫌であった、長く取り組んでいたことが遂に成就したのである。そのことによる戦果は女神側が組織した魔物討伐の手練れをことごとく殺すことができた。新しく手に入れた力は魔女の悲願である女神抹殺の大きな助けとなるであろう。
魔女は1人の魔物に賛辞を贈った。
「今回の戦果の立役者であるウァサゴよ、そなたに望む褒美を何なりと贈ろうぞ」
ウァサゴと呼ばれた魔物は恭しく首を垂れて口を開いた。
「我ら魔物たちの母代わりとなっていただいた魔女様にご恩返しは当然のことです。我らの憎き仇である女神を殺すためにできうることは何だっていたしましょう」
魔女は満足気に頷くと玉座から立ち魔物たちの方へと歩き出す、魔物たちは喝采を上げるが魔女が手をサッと上げると魔物たちは黙り魔女が口を開く。
「妾が女神を殺し異世界の神となろう、そして魔物と言われ蔑まれたそなたらが今度は逆に人間を虐げ蹂躙せよ、これは傲慢な女神への復讐だ。
ウァサゴよ、そのためにもそなたの未来を見通す力を期待しておるぞ」
魔女の激励を受けてウァサゴは長い舌を出した。ウァサゴの長い舌の中心には金色の瞳の目玉がくっ付いていた、その舌に付いた目玉はかっての初代勇者の目であった。
初代勇者が死んだ際に片目は岩で潰れたが残った目玉をくり抜き魔女はウァサゴの舌にと移植をした、そして長い時間をかけてその力を使いこなすことに成功したのである。かつて魔女を苦しめた初代勇者の力を魔女は手中に収めたのであった。
「何という僥倖か、女神の殺される未来が見えました」
ウァサゴは突然言うと女神の死を予言した、その予言に魔物は沸き魔女は満面の笑みを見せる。魔物たちはウァサゴに問い詰める、女神はどのように死ぬのか、一体誰が憎き女神を殺したのかを、魔女も知りたくてウズウズしていた。
しかしウァサゴは言い渋った、焦らすというよりも口にしたくないかのように。しかし魔女も言葉を待っている以上ウァサゴは仕方なく重たい口を開く。
「元勇者であるそこの人間です」
ウァサゴはユウトを指差した。魔物たちは明らかに落胆している、女神を殺すという一番の手柄が自分たち魔物ではなくよりによって人間に横取りされるなど納得いかない様子である。しかし魔女は大変な喜びようである、女神が死ぬなら誰が殺そうとも魔女には関係ないようであった。
ウァサゴの予言を聞いた魔女の様子を見てユウトは仮面の下でニヤリと笑った。




